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カークパトリックモデルとは?研修を4段階で効果測定する方法も解説!

カークパトリックモデルとは?研修を4段階で効果測定する方法も解説!

企業研修の現場では、研修を実施しても現場に研修の効果を活かせていないという問題がしばしばあるようです。人事白書2022のデータによると研修の成果を上げていると回答した企業は、階層にもよりますが最大で14%に留まりました。この問題を解決する手法として、今回は研修や人材教育の評価方法であるカークパトリックモデルについて解説します。

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カークパトリックモデルとは

カークパトリックモデルとは、アメリカの経営学者ドナルド・カークパトリック(Donald Kirkpatrick)によって1959年に公表されました。このモデルでは教育や研修の効果を4段階でまとめており、研修前と研修後の変化を投資効果として評価する必要性を説いています。アメリカでは政府、軍、企業、人道支援などの幅広い分野で活用の実績があり、あらゆる業界で活用されています。特に新入社員研修やオン・ボーディング研修、リーダーシップ研修、ダイバーシティ研修、インクルージョン研修、後継者育成のための研修など、様々な分野の研修において用いられています(Kirkpatrick Partners:The Kirkpatrick Model)。

カークパトリックモデルが注目されている理由

それでは日本において、カークパトリックモデルが注目されるようになったのはなぜなのでしょうか?日本では1990年代にバブル経済が崩壊し、終身雇用や年功序列が見直され、成果主義に基づくキャリア開発が行われるようになりました。それに伴い、研修のコストや効果に関しての関心が高まったことでカークパトリックモデルは再評価され、注目を集めました。

人事白書2022のデータによると研修の成果を上げていると回答した企業は、新入社員研修で14%、管理職研修で9.7%、次世代経営者人材研修で6.9%に留まりました。階層が高く、会社に大きな影響を与えやすいポジションを対象にした研修ほど成果を上げられていないと回答しているのが現状です。そこで、カークパトリックモデルを活用することによって研修の効果を適切に評価し、その結果から研修の改善を行うことで効果をさらに高めることが求められています。また、近年では企業価値を生み出す源泉は人材と言われ、「人的資本経営」という言葉が企業だけでなく政府や投資家などの幅広い層の関心を集めています。カークパトリックモデルを活用し研修の質を高めることによって効果的に人材を育成したいという考えもあるようです。

カークパトリックの4段階評価

ここからはカークパトリックモデルとは具体的にどのようなものであるのかをご紹介します。カークパトリックモデルは研修の効果を 「反応」「学習」「行動」「結果」の4段階 で表しています(鈴木克明『研修設計マニュアル-人材育成のためのインストラクションデザイン-』北大路書房, 2015)。

カークパトリックの4段階評価モデル

レベル1:反応(Reaction)

レベル1の反応は、研修直後の受講者の満足度を指しています。ここでは研修講師の評価や次の研修に向けた準備を行うための情報を得られます。

レベル2:学習(Learning)

レベル2の学習は、どのような知識やスキルが身についたかという学習到達度を意味しています。レベル1での評価が高かったとしても、レベル2で受講者に知識やスキルが身についていないことが明らかになると、受講者の学びは少ないということであり、「ただのウケのよかった研修」ということになってしまいます。そのため、学習到達度をしっかりと測ることが重要です。

レベル3:行動(Behavior)

レベル3の行動では、研修後の現場での実践度合のことを指します。いかにレベル1において評価が高く、レベル2において学習到達度が高くとも、研修での学びが職場での行動に反映される行動変容に至っていなければ、研修を行った価値がないということになってしまいます。レベル3で行動を評価することは、研修の目的である「職場だけでは解決できない部分を解決する」という最も重要な部分が実際の行動として現れているかを測ります。

レベル4:結果(Result)

レベル4の結果では、研修が組織全体にもたらした価値を指します。レベル3で評価した行動が組織全体にどのような影響をもたらしたのかを明らかにするのがこのレベルです。研修の投資対効果(ROI:Return on Investment)がここに含まれます。

レベルごとの効果測定方法

ここまでカークパトリックの4段階評価の内容について解説してきました。ここからは『魔法の人材教育』を参考に、各段階において評価をするための具体的な効果測定方法をご紹介します。

レベル1:受講者アンケート

受講者の満足度を測る方法の例としては、受講者アンケートがあります。受講者アンケートは、研修への総合的な満足度やセクションごとの満足度を測る多段階形式のアンケート、良かった点や改善点などを自由に回答してもらう自由記述形式のアンケートを組み合わせて集計することで、次回の研修への準備を行うことができるようになります。この評価を行うタイミングは研修直後です。

レベル2:事後テスト・レポート

受講者が研修で何をどこまで学んだのかという学習到達度を測る方法の例として、研修内容のテストやレポート、実演があります。この評価を行うタイミングは研修の数日後です。

レベル3:行動チェックリスト

研修で得られた学びが行動変容に至っているかを測る方法の例としては、自己評価と上長評価があります。研修前と研修後を比較して実際の行動を変容させることができたか自己評価を行うだけでなく、他者視点からも実際の行動変容に至っているかを評価します。ここでは、行動チェックリストなどを用いることで、より正確に研修の価値を測ることができます。具体的な行動チェックリストの例を以下に示します。

行動チェックリスト

図の左列には、受講者の理想的な状態を行動レベルで具体的に記入します。受講者とその上長はリストの行動が実践出来ているかを研修前と研修後に5段階で評価し丸をつけます。研修前後でどの程度の改善が見られたのかを比較することによって、研修の効果が可視化できます。この評価を行うタイミングは研修の数か月後です。

レベル4:ROI指標

研修が組織全体にもたらした価値を測る方法の例としては、ROI指標があります。ROI指標の具体的な項目として、定量的目標(売上、利益、顧客満足度、リピート率等)を達成できたかを確認する方法があります。この評価を行うタイミングは6か月から1年後です。

カークパトリックモデルを活用するメリット

ここでは、カークパトリックモデルを活用することによって具体的にどのようなメリットを得ることができるのかを解説します。

これまでは、研修の評価を行っても観点が漠然としており、問題点を整理することが困難でした。しかし、カークパトリックモデルを活用し、研修の効果測定の観点を知ることで問題点を整理することができます。例えば、これまでは研修の満足度が高く良い研修であると考えられていたものが、レベル3の行動も評価してみると研修前と研修後で行動変容が見られなかったという場合を考えてみましょう。なぜ行動変容に至っていないのかを振り返ることによって研修の問題を特定することができます。特定された問題を解決するためには、研修当日のプログラムの見直しや研修前後のフォロー体制の強化が必要になるでしょう。このように、評価すべき観点を知ることによって研修担当者間での議論も進めやすく、効果的な研修改善が可能になります。

カークパトリックモデルを活用する際の注意点

ここまではカークパトリックモデルの活用方法やメリットをご紹介しましたが、実際に活用していく上での注意点を2点ご紹介します。

レベル3以降の評価は難易度が上がる

レベル3・レベル4の評価は、レベル1・レベル2の評価と比較して難易度が上がります。なぜなら、評価指標の設定には担当者のスキルが求められるからです。例えば行動チェックリストなどの評価指標を設定するためには、「現場で成果を出している人の特徴」を網羅的に洗い出し、カテゴリーごとに分類する必要があります。これには担当者の研修設計の知識や現場への理解が必要になります。そして、これらの行動チェックリストを用いてヒアリングや研修前後の評価を行う場合には、受講者の上長など他者の協力を得ることも不可欠です。

研修以外の要因も反映されることがある

研修以外の要因も各段階の評価に反映されることがあることに留意しなくてはなりません。特にレベル4の結果は、研修以外にも競合他社の状況や経営方針といった様々な要因によってもたらされることが多いです。例えば受講者の売上が向上した場合には研修の効果だけでなく、競合他社の減少など外部環境の変化や、社内の他部署による売上貢献といった別の経営努力によって向上した可能性も合わせて評価する必要があります。したがって研修そのものの効果測定のゴールとしては、レベル3の行動変容に焦点を当てることがおススメです。

まとめ

今回の記事ではカークパトリックモデルの活用方法を解説しました。カークパトリックモデルを活用することで研修の効果を明確にすることができます。そこから問題や課題を明らかにし、研修の改善を行うことによって、受講者の行動変容やビジネスの成功へと繋げることができます。是非活用してみてください。

今回ご紹介した受講者の行動変容を評価する「行動チェックリスト」には以下のサーベイを取り入れることで、効果的に研修前後の変化を把握することが容易になりますので、興味がある方は以下からご確認ください。

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今回の記事が御社の研修を評価・改善する際の一助となり、受講者が現場で更なる活躍を遂げられることを願っています。

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