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コミュニケーション能力に対する企業と新卒社員の認識のギャップ

コミュニケーション能力に対する企業と新卒社員の認識のギャップ

日本経済団体連合会が調査している「企業が社員採用時に求める資質」の統計によると、2004年から16年連続で「コミュニケーション能力」が1位となっています。このことから企業は高いコミュニケーション能力を持つ人材が自社で活躍すると見込んでいることが伺えますが、採用段階でどの程度のコミュニケーション能力を求めているのでしょうか?この記事では、企業と大学生の間で生じているコミュニケーション能力に対する認識のギャップに触れながら、採用後の新卒社員のコミュニケーション能力を効果的に高めていくにはどうすればよいのかについても考えていきましょう!

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コミュニケーションの種類

まず、コミュニケーションには「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」の2種類があります。それぞれどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

言語コミュニケーション

言語コミュニケーションとは、言葉を使って情報の伝達を行うことです。話し言葉以外に、手話や筆談も含まれます。

非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションには、表情や顔色、声のトーン、話すスピード、態度や姿勢、ジェスチャー、視線などがあります。メラビアンの法則によると、人と人とのコミュニケーションにおいて話し手のどのような情報が聞き手の印象に影響するかということを調べたところ、言語:7%、聴覚:38%、視覚:55%となり、非言語コミュニケーションが9割を超える結果となっています。

参照:カオナビ人事用語集

したがって相手と良好な人間関係を築くためには、非言語的な要素が与える影響を考慮しながら、効果的なコミュニケーションを取っていくことが重要だと言えます。

コミュニケーション能力の捉え方の違い

実は多くの企業が新卒社員のコミュニケーション能力が十分ではないと考えている一方で、新卒社員自身はそれほど課題感を持っていないことが明らかになっています(加藤里美 et. al.:コミュニケーション能力に関する企業と大学生の認識ギャップ. 日本経営診断学会論集 2016)。なぜこのような違いが生まれているのでしょうか?企業と新卒社員がどのようにコミュニケーション能力を捉えているのかを、調査した文献 (町田佳世子, 2018)をもとに見ていきましょう。

企業が考えるコミュニケーション能力

まず、企業側のコミュニケーション能力の捉え方を確認しましょう。企業側は以下の要素を重要視しています。

  1. 相手の立場に立って考え、相手の気持ちを推測しながら、自分の意見をわかりやすく伝える。
  2. 相手が話しかけやすい明るい態度で接し、良い雰囲気をつくり出す。
  3. 相手の話を傾聴し、指示を正しく理解し、適切な受け答えをする。
  4. 対人関係で衝突が起きた際に適切に対処し、乗り越えられる。

新卒社員が考えるコミュニケーション能力

一方で、新卒社員側はコミュニケーション能力を以下のように捉えています。

  1. 初対面の人とも気軽に話をすることができ、人見知りせずに積極的に相手と関わる。
  2. 相手の立場に立って考えて気持ちを推測する。
  3. 対人関係で衝突が起きた際に適切に対処し、乗り越えられる。
  4. 相手の話を正しく理解し、自分の意見をわかりやすく伝える。

企業と新卒社員の認識の相違点

企業側と新卒社員側でコミュニケーション能力の捉え方に相違点があることに気づきましたでしょうか?ここでは、相違点を2点ご紹介します。

社交性の捉え方

1点目として、新卒社員側は「1.初対面の人とも気軽に話をすることができ、人見知りせずに積極的に相手と関わる」という「社交性」の項目が重要視されていますが、企業側には存在していません。この理由を紐解いてみましょう。大学生の時の関係性構築は比較的自由であり、その関係の継続や解消に対する制約も少ないです。関係性としても友人や先輩・後輩、大学教員の方々など比較的身近なものになります。その際重要になるのは、様々なコミュニティの中で自分という未知の存在を知ってもらうことであり、社交的に振る舞えるかどうかが鍵になると考えています。一方で社会人の関係性構築はお客様や上司・同僚など対象が決まっており、より長く良好な関係を継続することが求められます。例え自分が苦手だと感じる相手であったとしても、仕事を進める上では関係性の構築が必要になる場面もあります。そのような環境の下では社交性よりも、相手の立場に立って物事を考える姿勢が鍵になると考えられています。

自分の意見の伝え方

2点目として、「自分の意見をわかりやすく伝える」という項目は双方に共通していますが、意見を伝える際に同時に行っていることに相違点が見られます。企業側ではまず「相手の立場に立って考え、相手の気持ちを推測する」ことを重視している一方で、新卒社員側では「相手の話を正しく理解する」ことを重視していると報告されています。ここから、企業側は自分の言葉が相手にどのように解釈されるのかを考えたり、相手が言葉にしていない感情も推測しながら意見を伝えたりすることで、うまく仕事を進めていくことを期待していると考察できます。

このように、企業と新卒社員にはコミュニケーション能力に対して認識のギャップがありますので、企業側は単に「コミュニケーション能力の高い人を求めている」と言うだけではなく、具体的にどのような能力を指しているのか提示する必要があるでしょう。

コミュニケーション能力の高い社員の特徴

ここまでコミュニケーション能力とは何であるのかをご紹介してきました。企業においては上司や部下、同僚、顧客との信頼関係の構築が欠かせません。それでは、企業においてコミュニケーション能力が高い社員はどのような特徴があるのでしょうか?

聞き上手であり、相手の意見を引き出すのがうまい

聞き上手な人と話していると、話すつもりがなかったことも思わず話してしまったという経験はないでしょうか?これは「傾聴力」というスキルになります。傾聴力とは、相手の話を熱心に聞き、声のトーンや表情にも注意を払いながら相手が本当に意図することを引き出す質問をする力のことです(図書印刷株式会社)。コミュニケーション能力が高い社員は傾聴力が高く、相手のニーズや課題を見出して適切な解決法を導き出すのが早いという特徴があります。

自分の意見をハッキリと相手に伝えることができる

コミュニケーション能力が高い社員は、何が伝えたい情報なのか、その話をする目的は何かということが明確になっているため、話し相手も聞いていてわかりやすいです。誰にでも理解しやすい言葉を使って説明するので誤解が起こりにくく、コミュニケーションによるトラブルも防止することができます。また、客観的な事実を話してから自分の意見を述べるなど、事実と主観を区別して伝えることができるという特徴もあります。

お互いの共通点を見つけるのがうまい

コミュニケーション能力が高い社員は、初対面の相手や気難しい相手であったとしても親近感を抱かせるのが上手です。特徴として、出身地や年齢、趣味、話題のニュースなど相手の話の中で自分との共通点を探し、効果的にその共通点を引き合いに出して話を進めます。共通点について話すことによって相手との距離が自然と縮まり円滑なコミュニケーションを取ることができます。

コミュニケーション能力が高いとどのようなメリットがあるか

それではコミュニケーション能力が高い人にはどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

社内外で円滑な人間関係を築くことができる

仕事を進めていくためには、社内外の様々なタイプの人々と対話を進め、交渉することが必要になります。対話や交渉がうまく進むかどうかは信頼関係ができているかどうかにも影響を受けますので、社内外を問わず円滑な人間関係を築くことができることは大きなメリットになります。

チームの作業効率がアップする

社内のコミュニケーションが円滑に行われることによって、業務の連携や分担がスムーズに回り、効率的に仕事をこなすことができます。また、チームや職場全体のコミュニケーションが活発になることによって、お互いのタスクを把握しやすくなり、作業効率がアップします。何かトラブルが発生した時にも早期に気づき、早期の対処が可能になります。

ビジネスチャンスが増える

取引先や顧客とのコミュニケーションが活発になることによって、ビジネスチャンスを拡大させることができます。人脈を通じて新たな顧客を獲得したり、顧客のニーズを深堀りすることによって新たなサービス導入を提案できたりといったメリットがあります。組織全体の生産性向上にも繋がります。

コミュニケーション能力を高めるには

ここまでコミュニケーション能力が高い社員の特徴とメリットについて解説しました。それでは、これからコミュニケーション能力を鍛えていくためにはどのような方法があるのでしょうか?まずは個人でできることとして、以下のようなものから始めてみることをおすすめします。

相手に興味・関心を示す

コミュニケーションの基盤になるのは、相手への興味・関心です。無理に興味・関心を持つということは難しいかもしれませんが、良好な人間関係を築きたい相手がいる場合には、相手との話の中で共通点を見つけたり、相手が日頃使っている言葉や行動を観察することで価値観として大切にしていることや思考の軸になっているものを探ってみるとよいでしょう。また、相手に興味・関心を持っていることを伝えるためには、非言語コミュニケーションを意識することをおすすめします。メラビアンの法則によると、表情や顔色、声のトーンなどの非言語コミュニケーションが相手に与える印象に大きな影響を及ぼすとご紹介しました。したがって、「笑顔で接する」「声のトーンを高くする」「背筋を伸ばして話をする」などを意識することによって、相手は自分の話に興味を持ってもらえていると感じることができます。

話すスピードを相手に合わせる

実践しやすい方法として、話すスピードを相手に合わせるというものがあります。こちらも非言語コミュニケーションにあたりますが、「ペーシング」という信頼関係形成に有効とされるカウンセリング手法の一つでもあります。話すスピード以外にも、声の大きさや高さ、リズム、呼吸のペースなどが含まれます。ペーシングを行うことによって一体感が生まれて、相手に安心感や親近感を与えることができます。

バックトラッキングを活用する

バックトラッキングとは日本語でオウム返しとも呼ばれるカウンセリング手法の一つで、相手の言ったことを繰り返して言うことです。ただ何でもバックトラッキングをしていると相手を不快にさせることがありますので、以下に2つのポイントを紹介します。

相手の感情を強調する

バックトラッキングの目的は、相手の話をしっかりと聞いていること、受け止めていることを相手に示すことにあります。特に相手が「嬉しかった」「悔しかった」「辛かった」といった感情を口にした時に、「それは嬉しいですね」「そんなことがあったなんて辛かったですね」というように感情を強調すると効果的です。 

話の内容の確認に使う

相手の話が長くなったり、事実がわからなくなった時などには、相手の話を要約してこちらの理解が合っているか確認すると効果的です。

実際に企業の中でコミュニケーション能力を発揮していくためには、コミュニケーションの土台となる人間の心理学的メカニズムを理解し、DiSCと呼ばれる4つのコミュニケーションスタイルを理解して適応できるようになる必要があります。詳しくはお問い合わせください。

まとめ

今回の記事では、企業の採用担当者が新卒社員に求める能力1位である「コミュニケーション能力」に関して考察してきました。企業と新卒社員が捉えているコミュニケーション能力には、「社交性」と「自分の意見の伝え方」に認識のギャップがあることがわかりました。企業が期待するコミュニケーション能力とは何かということを新卒社員に明示していく必要があります。特に2024卒の新卒社員の皆さんは、コロナ禍の大学生活を過ごしてきたことによって、対面でのコミュニケーションの機会が少なくなっています。御社が求めるコミュニケーション能力を身につけてもらうための教育施策を早期に準備していきましょう。

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