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パワハラ対応で押さえるべき窓口対応から措置までの流れ

パワハラ対応で押さえるべき窓口対応から措置までの流れ

パワハラが発生したとき、企業内でどう対応するかは明確になっていますか?昨今、ビジネスだけでなく、スポーツや教育の場でもパワハラの問題をよく見かけます。それもそのはずで、パワハラの相談件数は年々増加しており、2016年には年間の相談数が7万件を突破しました。日本全体でパワハラへの意識が高まっている今、自社でいつパワハラが発生してもおかしくありません。パワハラが発生したときに、その対応策が整っていなければ大きな混乱につながるでしょう。そこで今回は、パワハラが発生したときの対応方法や、対応にむけて必要となる準備事項についてご紹介します。

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パワハラ対応のながれ

もしパワハラが発生していた場合、パワハラが発生するところから事態が収拾するまでのフローは、おおよそ下記の通りです。

パワハラ対応の多くは、窓口での相談か第三者からの告発によってパワハラが発生するところから始まります。パワハラが発生していることをきちんと把握するためには、企業の中に相談窓口を設け、窓口担当を決めておくことが欠かせません。窓口でパワハラの情報をしっかりと収集し、パワハラが発生したら調査に入ります。その調査を基に結論を出し、最終的な措置を決定します。では、それぞれのフローにおける対応のポイントを詳しく見ていきましょう。

関連記事:パワハラとは?パワハラの定義と対策方法を紹介

パワハラ発生!相談を受けるときの対応

先ほども記載した通り、パワハラ対応の多くは、窓口での相談か第三者からの告発によってパワハラが発生するところから始まります。そのため、相談の受け方は、パワハラ対応において最も重要なステップです。相談の受け方でミスをしてしまうと「相談者からクレームを受ける」「相談者への被害が拡大する」「相談に来なくなってしまう」といった、問題の悪化を招きかねません。パワハラは非常にデリケートな問題です。ポイントをしっかり押さえ、急がず焦らず対応することが大切です。

パワハラの相談を受けるときの流れは、「アイスブレイク」→「相談」の順番に進めていきます。それぞれの段階で注意するポイントがありますので、一つずつご紹介していきます。

アイスブレイク

相談者が窓口に来るときは、周りに相談できる人がいなくて困っていたか、周りに相談しても解決できなかったケースが多く、最後の砦として窓口に来ます。相談に際して不安や緊張を少なからず持っていますので、内容を聞く前にしっかりとアイスブレイクの時間を取り、相談の際に話しやすい関係と雰囲気を作るのがポイントです。アイスブレイクに有効なものとしては「自己紹介」「プライバシーの保護」「飲み物の提供」などがあります。

自己紹介

まずは自己紹介です。お互いのことを既によく知っている場合には省いても構いませんが、そうでなければ自己紹介から始めるのが定石です。事前に相談者の情報をメールなどで入手している場合でも、改めてお互いの自己紹介をしします。自己紹介をする意味は、お互いの情報を交換すること以上に「この人に自分を紹介した」と相談者に認識してもらう点にあります。自分は何も言っていないのに、自分のことをよく知っている人間と対峙すると、心理的な抵抗が生まれやすいとされています。

プライバシーを守ることを伝える

相談事を聞く上では、相談者のプライベートな話を聞くことが多くなります。ですので、相談を聞く前に「相談に関するプライバシーは完全に守ること」「第三者に情報を伝える必要がある場合には、その理由を説明すること」「第三者にどんな情報を伝えるかを共有したうえで、相談者の了承をもらってから伝えること」をしっかりと説明しておきます。相談の内容が不本意に広まることへの不安は、相談者の多くが持つものです。相談しやすい関係を築くためにも、個人情報を守る旨はきちんと伝えておくことが重要です。

飲み物を出す

相談者の持つ不安や緊張をほぐすものの一つに、飲み物があります。飲み物には乾燥した口の中を潤す効果もありますが、それ以外にも「視線を外す理由を作る」「体を動かす理由を作る」「会話にゆとりを持たせる」「考える時間をつくる」などの使い道があります。ですから、話し合いの際に出す飲み物は、単に水分補給のためではなく、話しやすい雰囲気を作るための道具にもなるのです。相談を始める前に、お互いの飲み物を用意するといいかもしれません。

相談

アイスブレイクで相談者の緊張がほぐれたら、少しずつ本題に入っていきましょう。相談を聞くときに気を付けるポイントは、「事情を聴く」「長く聴き過ぎない」「判断しない」の3つです。

事情を聴く

まずは相談に訪れた事情を聴いていきます。「いつ」「どこで」「誰と」「どんなことが」あったのか、5W1Hに基づいて事実を聞いていきましょう。そして、その出来事に対してどう感じたのかも聴きます。出来事を正確に理解することが大切ですので、「○○があったのですね。」「○○ということですね。」と、自身の解釈があっているかを、共感を示しながらしっかりと確認することがポイントです。

長く聴き過ぎない

一度の相談で1時間以上話し続けることのないように、時間を管理する必要があります。ただし、「一度の相談ですべてを聴きなさい」と言いうことではありません。1時間以上聞かないのは、人が集中を保てるのが60分程度だからです。相談者は緊張や不安を持っているので、最初の相談はもう少し短くてもいいかもしれません。そして、何回かに分けて会い、相談を受けることで、相談者と良好な関係を築きやすくなります。人は同じ人や物に接する機会が増えるほど、対象に好印象を持つものです。これは「ザイオンス効果」と呼ばれ、カウンセリングだけでなく、営業やマーケティングでも活用されている心理作用の一つです。

判断しない

パワハラの相談を受けるときは、聴くことに専念するといいでしょう。相談をじっくり聞きながら、相槌と共感、解釈の確認をしながら最後まで聴き切ることがポイントです。相談の内容によっては、今後どうするべきかが明確なものもあるかもしれません。ですが、その場合には、なおさら聞き役に徹する必要があります。なぜなら、どうするべきかが明確な問題には、相談者自身もその解決策に気付いている場合がほとんどです。相談者は解決策を聞くことよりも、話を聞いてもらい、理解してもらうことを目的としている可能性があります。たとえ自分の経験から答えを導き出せたとしても、相談に対してすぐに答えや改善策を返すことは得策ではないようです。

パワハラ対応における事実調査のポイント

相談や告発によりパワハラが発生した場合には、本当にパワハラがあったかどうかを確認する必要があります。このとき、基本的には事実があったかどうかを関係者にヒアリングしていきます。行為者や第三者へのヒアリングを行うには、ヒアリングすることに対して、相談者からの了承をもらうことが大前提です。

行為者へのヒアリング

行為者へのヒアリングでは、相談や告発で明らかになったパワハラと思われる行為をした人物に対して、行為の事実があったかどうか、行為の経緯や意図を確認します。このヒアリングの段階では、行為者がパワハラをしていたかどうかの判断を抜きにして話を聴く必要があります。万が一、行為者がヒアリングの要請に応じてくれない場合には、行為者がパワハラをしているという相談があったことを伝えてもいいかもしれません。

ヒアリングが完了したら、会社側で最終的な判断をすること、会社としての判断が決まるのはおよそいつごろになるのかを行為者に伝えておきましょう。また、今回のヒアリングで得た情報については、他言しないように念を押しておくといいでしょう。ヒアリングの段階で、相談者がパワハラの相談をしていることが周知されることがないように配慮しておきましょう。

第三者へのヒアリング

行為者へのヒアリングをした結果、相談者(告発者)と行為者の見解がすれ違う場合には、パワハラの事実について第三者にも確認する必要があります。第三者へのヒアリングでは、「相談者が○○と言っているが、これは事実か。」「行為者が○○と言っているが、これは事実か。」といった尋ね方は要注意です。相談者と行為者がどのように主張しているかを明確にすると、過度な情報を第三者に与えてしまいます。ヒアリングの際には、「それぞれの主張が正しいか」ではなく、「相談者と行為者の間にどのような行動の事実があったか」を確認することがポイントです。

ヒアリングをする上での注意点としては、相談の情報が拡散してしまい、相談者の職場での立場をさらに追い込んでしまうことです。第三者にヒアリングが必要な場合でも、聴く人数はなるべく少なく留めることで、情報が拡散してしまうリスクを抑えることができます。

パワハラ対応における就業規則に基づく判定

一通りヒアリングを終えたら、パワハラがあったか否かの判断をする必要があります。パワハラか否かを判断する基準が就業規則に含まれている場合には、それに基づいて判断します。自社の就業規則の中にパワハラに関する内容がない場合は、下記を参考にしてみてください。

第〇条 1 全ての従業員は勤務にあたり、パワハラまたはパワハラと疑われる行為をしてはならない。 2 監督者はパワハラまたはパワハラと疑われる事実を認めながら、これを放置してはならない。 3 職場においてパワハラまたはパワハラと疑われる行為を確認した従業員は、速やかに監督者または相談窓口等に報告するよう努めなければならない。 4 パワハラに該当する行為をした従業員は、第△条に定める懲戒処分の対象となる。
第□条 従業員は、下記のようなパワハラ行為をしてはならない。 (1) 優位的な立場の従業員が、優越感を持った言動によって下位の立場にある従業員の感情を害すること。 (2) 体調を壊すまで、あるいは体調を悪くするほどの長時間労働や休日出勤の指示命令をすること。 (3) 職場で大声もしくは長い時間のあいだ部下を怒鳴り、あるいは叱ること。 (4) 部下に雇用に対する不安を抱かせるような言動をし、部下を強制する、あるいは精神的なストレスを与えること。 (5) 優位的立場を利用して不正行為や違法行為に部下を加担させること。 (6) 自身の感情を抑制せず、職場の雰囲気を悪くすること。 (7) 人格を否定するような言動および、欠点を粗探しすること。 (8) 人格を傷つける発言をすること、あるいは他の従業員の前で恫喝的な発言をすること。

また、パワハラに関する就業規則を作成するにあたって、何をもってパワハラであると判断されるのかが不明確な場合には、下記の記事を参考にしてみてください。

「パワハラとは?パワハラの定義と対策方法を紹介」

ヒアリングを通してパワハラがあったか否かが確認できましたら、相談者と行為者に対して措置を施す必要があります。この措置は、「パワハラがあったと確認できた場合」と「パワハラがあったと確認できなかった場合」によって大きく異なります。では、それぞれの場合について見ていきます。

パワハラの事実が確認できた場合の対応

被害者への対応

パワハラがあったと確認できた場合には、相談者を被害者と改めて措置を施します。まず、被害者には調査の結果を報告するとともに、現在の職場への復帰、もしくは現在の仕事と同等の職位への復帰を支援していく必要があります。また、精神状態により休暇が必要と判断される場合には、これにも対応する必要があります。現場に復帰するための支援としては、以下のものが挙げられます。

  • 配置転換
  • 行為者からの謝罪
  • 定期的な相談

行為者への対応

行為者に対しては、懲戒規則や就業規則に則して対処します。パワハラがあったという事実を秘密裏に処理するのは、パワハラの問題がしっかりと解決したかどうかを不明確にし、社内の噂になるなど、かえって問題を長期化する可能性があります。ですので、公正なルールに基づいて制裁内容を決め、社内で「いつ、どのようなパワハラがあったのか」「どんな行為がパワハラだと判断されたのか」「そのパワハラに対してどのような処分が下されたか」を明確に通達することがポイントです。問題と処遇について社内で共有することで、予防の効果も期待できます。

パワハラの事実が確認できなかった場合の対応

相談者への対応

パワハラの事実が確認できなかった場合には、相談者に調査の結果を通知するとともに、「何が誤解だったのか」「今後どうしていくか」を決める必要があります。パワハラの事実がなかったとしても、その職場が相談者にとって理想の職場環境ではないことは明らかです。移れる部署を紹介する、療養のために休暇が必要か聞く、定期的な面談をお願いするなど、事実があったときと同じように対応する必要があります。

行為者への対応

行為者に対しては、調査の結果を通知するとともに、「相談者のプライバシーを配慮すること」「パワハラの疑惑が起こってしまったのは何故か」「どうすれば今後そのようなパワハラの疑惑を生まずに済むか」について話をする必要があります。マネジメントの方法について、社内で提供できる勉強の機会や研修があれば、紹介してみるのもいいかもしれません。

まとめ

パワハラが発生した場合には、プライバシーの関係もあるため、関係者の力を借りつつ慎重に事を進める必要があります。ですが、慎重になるあまりに対処が遅れてしまっては、事態をより深刻にする可能性があるため、慎重かつ迅速な対応が要求されます。素早く正確に対処するためにも、懲戒規定や就業規則といったルールや被害者への措置については事前に明確にしておき、パワハラが発生したときに備えることが重要です。パワハラは2012年から相談件数が上昇し続け、2017年には7万2000件に達しました。この世間的な注目を受け、今までは相談できなかった人も、これを機に相談してみようと決心するかもしれません。ですのでもし、企業内でパワハラ対応の方法が明確になっていない場合は、早めに対応方法を定めることをおすすめします。パワハラへの準備が万全かどうか、対応の流れを今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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