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逆パワハラとは?事例、発生の原因、予防策や対処法をまとめて紹介

逆パワハラとは?事例、発生の原因、予防策や対処法をまとめて紹介

職場や飲み会などで問題になっているパワハラ(パワーハラスメント)。最近ではスポーツ業界でも問題になっており、日本各地でパワハラ対策が急がれています。しかし近年、パワハラに加えて、「逆パワハラ」といった新たなハラスメントが問題になっています。逆パワハラとは一体、どういったものなのでしょうか。この記事では、逆パワハラが増加している背景から、その原因と対処法までご紹介します。

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逆パワハラとは

逆パワハラとは、後輩から先輩、非正規社員から正社員、部下から上司など、管理される側から管理する側に対して行われる嫌がらせのことです。パワハラは職場でのハラスメント行為の代表格として定着して久しいですが、一方で近年、ハラスメントに対する意識の高まりを受けて、逆パワハラも注目を集めているのです。

逆パワハラの定義

そもそもパワハラ(パワーハラスメント)とは、厚生労働省によると以下の1~3までの要素をいずれも満たすものと定義しています。

  1. 優越的な関係に基づいて行われること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

パワハラが一般には職務上の地位を利用して上司から部下に対して行われるのに対して、部下から上司など力関係が逆になった状態で行われる1~3の行為が逆パワハラとされています。例えば、業務上の適切な指導に対して部下が上司に対して「そんなきつい言い方はパワハラだ!」などと過剰に反応し、訴えるなどと上司を糾弾するケースがこれにあたります。

逆パワハラが増加している背景

逆パワハラは、なぜ増加しているのでしょうか。その背景には、職務内容や社会構造の変化があると考えられます。

近年、日本においても実力主義の風潮が強まっています。それを受けて、一般社員の中にも実力主義を好む人材が増加し始めているのです。しかし、実力主義の風潮に対応できていない企業も多く、そうした企業では未だに年功序列制度が採用され、年齢や勤続年数によって人事が決定されています。そのような状況下では、実力のある若手が実力のない上司に管理されるという状態が発生します。その結果、実力のある若手が上司に対して過度に反抗したり、指示を無視したりという状況が発生してしまうのです。特にIT関連業務においては、近年のIT産業の急速な発展に対応しやすい部下の方がITリテラシーが高いという状況も少なくないため、逆パワハラの発生事例が増えていると考えられています。

また、非正規雇用の増加も影響しています。近年、特に経営状況の厳しい会社では、正社員の数を絞って、代わりに非正規雇用の採用人数を増やすという状況が多発しています。この場合、一般には正社員が非正規雇用を管理する立場になるわけですが、場合によっては非正規雇用の中にも、年齢が比較的高い人材や、経験豊富な人材が存在します。その場合、正社員側からすれば年齢や経験面から非常にマネジメントを行いづらい状況が発生してしまい、その結果、逆パワハラを受けてしまう場合もあるのです。

逆パワハラの事例

逆パワハラの事例

それでは、逆パワハラにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、逆パワハラのケースを、いくつかご紹介します。

  • ITリテラシーの格差を利用した誹謗中傷
  • 上司より高年齢の部下が、それを利用して上司を馬鹿にする
  • 上司の指示を集団で無視する
  • 上司が自殺し、裁判になったケースも

では、それぞれについてご紹介していきます。

ITリテラシーの格差を利用した誹謗中傷

IT業界は流行の移り変わりが激しく、学んだ知識がすぐに使い物にならないこともあるため、最新の知識においては上司よりも部下の方が詳しいという状況がよく発生します。その結果、「部下の方が上司よりも知識・経験に長けている」という状況を利用し、「え、こんなこともわからないんですか?マネージャー失格ですよ」などと上司を誹謗中傷する部下が登場してしまうのです。

高年齢の非正規社員による逆パワハラ

近年、人材の流動化に伴い非正規雇用が増加していますが、中には正社員よりも非正規雇用の社員の方が高年齢という状況が発生しています。その結果、年齢の差を利用して「正社員のくせに。若いからダメなんだ」などと誹謗中傷を行う非正規社員も増加しています。立場としては正社員の方が上ですが、年齢面では非正規社員の方が上という構造を利用した逆パワハラです。

上司の指示を集団で無視する

部下が徒党を組んで、集団で上司を無視するというのも立派な逆パワハラです。立場としては上司の方が上でも、部下が集団を組むことによってその力関係は逆転します。その集団の力を利用して、上司の指示を無視するという事例が増加しています。

上司が自殺し、裁判になったケースも

逆パワハラが、裁判に発展した事例もあります。2014年、静岡県で50代の静岡市職員が自殺しました。自殺した職員は、新しい部署に異動になった際に、その部署での経験が長い部下から「急に休まないでください」「いいかげんにしろ」などと誹謗中傷を受けており、その結果、その職員はうつ病を発症してしまい、自殺するに至ってしまったのです。2019年の裁判でこの因果関係が認められ、地方公務員災害補償基金静岡市支部は、職員の自殺を公務災害に認定しました。

参考:静岡市職員自殺は公務災害 基金支部が認定

逆パワハラが発生してしまう根本的な原因

それでは、逆パワハラが発生してしまう原因は何なのでしょうか?ここでは、その根本的な原因についてご紹介します。

  • 上司のマネジメント不足
  • 部下が不満や恐れを上手く発散できない
  • 逆パワハラに対する社員の認識が不足している

では、それぞれについてご紹介していきます。

上司のマネジメント不足

まず考えられるのは、上司のマネジメント不足です。マネジメントでは、部下の現状をしっかりと認識し、仕事内容や量を調整することが必要となります。ですが、部下の認識と上司の認識がすり合わさっていない場合、部下は上司に対して不満を抱くようになります。そういった不満が溜まっていくことで、部下によっては上司に対して強く当たってしまうことがあります。

関連記事:マネジメントの意味や目的とは?成果を出す手法までを徹底解説!

部下が不満や恐れを上手く発散できない

また、部下が上司に対して強く当たってしまう原因として、「部下が不満や恐れを上手に発散できない」ことが考えられます。仕事に追い込まれているときに上司からフィードバックをもらったときや、日ごろの不満が溜まったときには、不満や恐れといった精神的な負荷がかかります。そして、精神的な負荷が一定以上に溜まると、人はその精神的な負荷を発散するために感情を表現したり、何かに没頭したりします。例えば、怒る、泣く、スポーツに打ち込む、食事の量を増やすなどです。しかし、この「精神的な負荷の発散」がうまくできない人は、発散の方法として「相手を追い詰める」「脅す」「罵倒する」といった行動をとってしまうことがあります。

逆パワハラに対する社員の認識不足

最後に挙げられるのが、逆パワハラに対する社員の認識不足です。パワハラに対しては近年、報道が盛んなこともあって周知が進んでいますが、逆パワハラについてはまだまだ周知されていないのが現状です。自分が上司に対して行っていることが、逆パワハラに当たると自覚していない社員も多いのです。

逆パワハラの予防策

それでは、逆パワハラを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、逆パワハラの予防策について、人事担当者ができることをご紹介していきます。

  • リーダー層に対し、マネジメント研修を行う
  • 逆パワハラについて、社員に教育する機会を設ける
  • 部下社員に責任や主体性について学んでもらう

では、それぞれについてご紹介していきます。

リーダー層に対し、マネジメント研修を行う

逆パワハラの防止策としては、リーダーが部下に対して適切なマネジメントを行うことが重要です。ですから、まずはリーダー層に対してマネジメント研修を実施しましょう。マネジメントの基本である目標設定や作業工程の管理、業務の割り振りなどを適切に行い、部下へのフィードバックもこまめに行ってもらうようにすると効果的です。マネージャーとして部下からの信頼を勝ち取ることが、逆パワハラ防止への最善策になります。

また、部下とのコミュニケーション活性化についても意識させましょう。リーダーと部下がコミュニケーションをこまめに取ることが、逆パワハラの予防につながります。とはいっても、過度に親密になる必要はありません。例えば部下が体調を崩した際に、「大丈夫か?今日は帰ってもいいぞ」と一言声をかけてあげるだけでも、部下の上司に対する信頼は増加します。「私は部下のことをちゃんと気にかけていますよ」というメッセージをこまめに発信していくことが重要であることを、リーダー層に伝えましょう。

逆パワハラについて、社員に教育する機会を設ける

リーダー層への研修と合わせて、全社員に対し逆パワハラに関する教育の機会を設けることも重要です。そもそも逆パワハラについて社員が認識していないと、その発生を防止することは困難です。新入社員や中途入社の社員に対しては入社研修で周知に努め、全社員に対しても定期的にハラスメント研修を行い、その中の一つとして逆パワハラを紹介するのが良いでしょう。

部下社員に責任と主体性について学んでもらう

逆パワハラの予防策の一つとして、「部下社員に責任と主体性について学んでもらう」という手段があります。上司がどんなに優秀な社員であったとしても、完ぺきではありません。当然ですが、部下にはいくらかの不満が出てしまうでしょう。ですが、部下が不満に直面した時に、主体性や責任感を持てるかどうかによって、不満に対する向き合い方が大きく変わってきます。不満があったときに「上司の所為で」「上司が○○をしてくれないから」といった他責の考え方をした場合、不満がどんどん積み重なるばかりです。一方で、「この不満をどうすれば解消できるか」「自分に何ができるだろうか」という考え方ができれば、上司への提案や行動の改善によって不満を解消することができます。ですから、逆パワハラの予防方法として「部下社員に責任と主体性について学んでもらう」ことがおススメです。

もし逆パワハラが発生したらー逆パワハラの対処法ー

もし逆パワハラが発生してしまったら、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、その対処法について、人事担当者ができることを中心にご紹介します。

  • 逆パワハラを発見したら、第三者として介入する
  • さらなる上長を巻き込んで、会社として対応する

では、それぞれについてご紹介していきます。

逆パワハラを発見したら、第三者として介入する

社内で逆パワハラを発見したら、まずは逆パワハラを行った部下と逆パワハラを受けた上司の間に第三者として介入しましょう。その際には、部下が悪いと決めつけるのではなく、まずは事実確認から行うことが重要です。部下か上司のどちらかに肩入れするのではなく、あくまでも仲裁役として冷静に対応しましょう。

さらなる上長を巻き込んで、会社として対応する

逆パワハラを受けている時点で、その上司本人が当該の部下に対するマネジメントを行うのはかなり困難です。現実的な対策としては、その上司の上長にも助けを求め、会社全体として対応することが必要です。上司についている部下を別の部下と入れ替えたり、当該の上司や部下を別の部署に異動させるといった方法が、解決策として考えられるでしょう。

まとめ

逆パワハラは、非常に対応が難しい問題です。まずは社員教育などを通じて事前予防に努め、もし逆パワハラが発生してしまった場合は、当事者の中に第三者として仲裁で入り問題を処理することを心がけましょう。それでも解決が厳しければ、他の上長を巻き込んで社内問題として対応するようにするのがベストです。

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職場におけるハラスメント対策においては特に2019年5月に労働施策総合推進法が改正され、大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月からパワーハラスメントの対策が義務付けられています。改めて「パワハラの基礎知識をおさらいしたい」「パワハラの効果的な予防ポイントを知りたい」という方のために以下の資料をご用意しております。

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