新入社員が入社すると、初期教育として研修がスタートしていきます。
しかし、研修が明けて各部署に配属されていったにもかかわらず、新入社員がモチベーションを維持できず、パフォーマンスが上がらないばかりか早期離職にまでつながってしまったというケースも多く耳にします。今回は新入社員のモチベーション低下の原因を探り、モチベーションを維持・向上させるためのヒントをご紹介します。
新入社員が入社すると、初期教育として研修がスタートしていきます。
しかし、研修が明けて各部署に配属されていったにもかかわらず、新入社員がモチベーションを維持できず、パフォーマンスが上がらないばかりか早期離職にまでつながってしまったというケースも多く耳にします。今回は新入社員のモチベーション低下の原因を探り、モチベーションを維持・向上させるためのヒントをご紹介します。
モチベーションとは「行動意欲を起こさせる刺激や誘導」と日本語で表されます。つまり、モチベーションの低下とは行動意欲の低下であり、仕事の切り口でいえば、仕事において行動する意欲が湧かない状態ということになります。入社したての新入社員が一体なぜ行動意欲が湧かない状態にまでなってしまうのでしょうか?
一般的に新入社員が仕事でモチベーションを維持できない理由としては、入社後のギャップが大きく関与していると考えられています。入社前に抱いていた職場や仕事への理想と、入社後の実際とのギャップに失望して行動意欲を失ってしまうということです。新入社員の早期離職者を対象に平成25年に厚生労働省が行った調査によると、早期離職を決めた三大理由の第1位は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」、第2位は「人間関係がよくなかった」、第3位は「仕事が自分に合わない」という結果が出ています。この早期離職の理由にこそ、モチベーションの低下を引き起こす入社後ギャップの要素が隠れていますのでひとつずつみていきましょう。
採用時に掲載している内容では、土日祝も休みで残業時間は平均20時間以内と書いてあったのに、実際に働いてみたら、仕事内容によっては土曜日が休みではなかったり、思っていた以上に業務の時間がかかり、残業が多くなってしまうと「思っていた仕事生活と違う」と当然ながらギャップを感じてしまいます。
新入社員にとって新入社員として入社する会社は社会人として最初にくぐる登竜門であり、先輩や上司というのは社会人になって初めて一緒に仕事をする人ということになります。ここで関係をうまく築けないと、日々の業務でもコミュニケーションギャップが起きてしまいミスにつながったり、孤独を感じてしまったり、新入社員にとっては大きな精神的負荷になってしまうことは想像に難しくないでしょう。
新入社員に限らず、仕事を通して成果が目に見える形で出たり、自身の成長を感じられればモチベーションは当然あがりますし、その仕事へのやりがいも見出しやすいものです。もちろんコンスタントに成果を出すことができれば良いのですが、新入社員はなかなか芽が出ずに苦しむ人の方がほとんどではないでしょうか。こうした状況の中で、最低限のフォローアップも無いまま放置されてしまえば、どんな人でも自分の存在価値が見出だせなくなり、踏ん張る気力も湧いてこなくなってしまいます。社会人として、地道に成果に向かってやり続ける継続の力が必要となりますが、経験の無い新入社員にとっては想像以上に厳しいものに感じられることを忘れてはいけません。
ここまで新入社員がモチベーションを維持できない原因についてご紹介してきました。
しかし、原因を理解しても対策を講じないままでは一向にモチベーションを維持できず、早期離職者の数が減ることはありません。またモチベーションを維持させようとがむしゃらに激励しても、むしろ状況を悪化させてしまいます。モチベーションが維持できない原因を理解した上で、どう新入社員と関わっていくのかによって、モチベーションの維持向上の成否が決まるといっても過言ではありません。
ここからは新入社員のモチベーションを維持するために外せない3ステップをご紹介します。
信頼関係を築く上での第一歩は、何よりも相手を知ろうとすることです。新入社員たち若手世代は「ゆとり世代」や「さとり世代」とよばれ、先輩社員たちが持つ常識とは違った価値観を持っています。まずは彼ら・彼女らの特徴を知ることが、新入社員に最良のアプローチをするうえでの根本理解になるでしょう。
若手世代の育った環境は情報技術の急速な発達してきた時代です。彼らはデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、ITリテラシーが非常に高く、コミュニケーションの方法もSNSをはじめとしたバーチャルに特化しています。反面、同世代や同じ価値観を持った人間が集まったコミュニティ内で生活をしてきたため、異なる世代や価値観を持つ人間とのコミュニケーションは苦手な傾向にあります。同時に、少子化による保護主義が台頭した時代変遷の影響から、この世代はチャレンジよりも安定を取り、自分から主体的に物事に取り組むことが苦手です。このような特徴から新入社員世代は、コミュニケーションやモチベーションの管理に対して繊細な注意を向ける必要があることを押さえておきましょう。
新入社員と接する際のキーワードは「オープンマインド」です。新入社員世代は情報を自ら取得し、自分なりの理解や納得を持って選択・行動する傾向にあります。この傾向は仕事にも反映され、与えられる仕事に対して常に「必要性」や「意義」を求めており、納得しないまま仕事を与えられることはモチベーション低下に直結します。モチベーションを維持しつつ、仕事に邁進してもらうためにも、会社がどのような方針でいるのかや所属する部署の目標、与えられる仕事はそれらの達成のために確かな意義を持つことをしっかり伝えていきましょう。また、職場において先輩や上司側から信頼関係を築いていきたいという受け入れる姿勢をオープンにすることもコミュニケーションを円滑にするために積極的に行っていきたいポイントになります。
いざ新入社員とコミュニケーションをとる上で大事なのは傾聴の姿勢です。仕事においてはコミュニケーションの発信が先輩社員・上司からになりがちなため、ついつい一方的なコミュニケーションになってしまいますが、それは本質的には良いコミュニケーションとは言えません。まずは新入社員から報告や相談、連絡などを受けた際に、しっかりと向きあうことから始めましょう。会話の中で適度に相槌をうったり「分かるよ」「そうだね」といった共感の態度を示すことで新入社員は話しやすくなります。また、新入社員たちは職場という未知のコミュニティに参加する上で心理的に不安や強いプレッシャーを抱えている状態にあるので、悪気がなくとも無関心な対応はネガティブな方向に捉えてしまう可能性が高くなります。実務的なことにとどまらず、趣味や人柄についてなど、適度な距離感の話題からプライベートな理解を深めていくコミュニケーションを取ることが信頼関係を築く上で大切になります。
仕事に対するモチベーションを向上する方法として目標を設定することが代表的にありますが、今までの生活で目標管理をした経験が乏しい新入社員にとっては現実味が薄く、そもそも目標設定の段階で挫折してしまう人も少なくありません。しかし、同じ部署の年次や性格特性の近い先輩をロールモデルに設定することで、「そこに至るには何が必要だろうか?」という視点で考えることができ、イメージも湧きやすくなります。壁にぶつかった時には直接その本人にフィードバックを求めることもできますので、ロールモデルの設定をすることは自分自身でモチベーション管理をしていく方法を覚えるという意味でもよい方法と言えます。
ロールモデルを設定し、目標に向かってまい進してくれるようになれば、続いて行うべきことは成長プロセスでの姿勢や取り組みに対する評価です。逆に、成果に対する評価の代表例は、営業職に対してのインセンティブや表彰などですが、これはあくまで「結果」ありきで新入社員にとっては少し遠い道のりに感じてしまいます。しかし、承認は必ずしもこのような実績を出すことによってのみ得られるものではありません。特に、成長プロセスでの姿勢や取り組みによってもたらされた結果に対して先輩社員や上司から承認や評価をもらえることは、「この調子でがんばろう」と成果に向かうにあたっての精神的な支えにもなります。
ご紹介した通り、信頼関係の構築・適切な見通し・プロセスへの承認といったステップをしっかりと踏んでいくことで、知らず知らずのうちに新入社員のモチベーションが低下するといった自体は防ぎ、モチベーションを維持してもらうことが可能になります。もし仮に、労働時間のこと、人間関係のこと、成果のことで悩みが発生したとしても、その新入社員がありたい姿に対して今はどの位置にいて、前に進むためには何をしていくべきなのかということを、一緒に考えるパートナーとして関わっていくことができます。ここからは先述の3ステップを踏まえたうえで、モチベーションの維持・向上につなげていく日常の中で是非とも実践したい関わり方についてのポイントをご紹介します。ぜひ現場での新入社員への関わりのヒントにしていただければと思います。
職場においてのコミュニケーションは必然的に先輩社員・上司側から後輩である新入社員に対して行われる事の方が多いです。この機会を利用して必要なタイミングで適切な言葉をかけることにより新入社員のモチベーションを引き出していきましょう。具体的には仕事を任せるタイミングで「この仕事は○○分野に強い○○さんにぜひ頼みたい」といったように明確なファクトによって期待をもってこの仕事を任せているのだということが伝わるとよいでしょう。これを受けた新入社員は先輩社員・上司からの信頼と期待に応えようという「ピグマリオン効果」によってモチベーションの向上を図ることができます。そして、もちろん仕事を達成した暁にはしっかりと評価をしてあげる事が大事です。
自身も日々の業務に追われ多忙な日々の中で、自分でやってしまったほうが早いと感じることも当然あるかもしれません。しかし、そんな時こそ新入社員を育てるチャンスでもあります。「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」という言葉があります。答えを教えるのではなく、その答えに至るプロセスを自分のものにすることで、自ら考え一人で魚を釣ることができるようになります。例えば、営業であれば提案書を先輩社員や上司がつくってしまうのではなく、その一部を任せながら提案書作成のプロセスを理解してもらい、徐々にその範囲を広げていきながら、最終的には顧客のニーズに合わせた提案書を自ら作成することができるようになる、といった具合です。それは、できなかったことができるようになる成長のプロセスそのものであり、主体性や自信を育む大切なきっかけにもなります。
新入社員が相手だとどうしてもコミュニケーションの方向は先輩社員や上司から新入社員に一方通行になってしまいがちです。そのことを理解したうえで、先輩社員・上司はその矢印を逆にするように心がけてみましょう。話をしているときには「◯◯さんはどう思う?」「よりよくできるとしたらどんな工夫ができるかな?」など、質問をしながら相手から答えを引き出していくことで、答えを教えてもらう思考習慣ではなく、自ら考える思考習慣を身につけることにもつながります。これを積み重ねていくことで、自分で問題解決をしていく力がついていき、自己管理能力が高まっていきます。
社会人として未熟な新入社員は、仕事をしていく中で先輩や上司がどうしても叱らなければいけないミスや間違いをおかす場面が発生します。その時はしっかりと叱りましょう。しかし、「感情的に怒る」のではなく「論理的に叱る」ことを意識してください。前者はミスそのものやミスをした“本人”に対して怒りという感情をぶつけることであり、後者はミスが起きた“原因”を追求し、どこが良くなかったのか、どうすれば改善でき、今後同じミスの再発防止を行えるのかなどの確認作業であるという違いがあります。プロセスの中で何が問題だったのかを論理的に叱ることは、プロセスをしっかり見ているという証であり、プロセスを改善していくモチベーションが向上します。
今回は新入社員のモチベーションの維持について、維持できない原因から対応策となるモチベーション管理方法、日常の関わりのヒントについて一通りご紹介いたしました。モチベーションの低下を防ぎ、維持や向上へとつなげるためには先輩・上司と新入社員との間に信頼関係を基にして健全で適切な指導が必要になります。本文中でも取り上げましたが上司側と新入社員側には大きなジェネレーションギャップが存在しています。まずは社会人として活躍する先輩・上司たちが率先してこのギャップを乗り越え、右も左もわからない新入社員たちに手を差し伸べてあげる事が第一歩になります。
そのマインドセットへのアプローチ、間違っていませんか? アチーブメントHRソリューションズでは、人の行動の根源である「マインドセット」に着目し、個人の「内発的な動機付け」に基づくアプローチによって、人財育成や組織開発を成功に導きます。
正しく研修に取り入れた企業様では「社員の離職率が30%減った」「売上が昨年対比160%を実現した」といった成果を生み出し、進化を続けています。 専門コンサルタントがプロの視点であなたの問題を解決する道筋を示しますので、真に価値のある教育施策を共に考えていきませんか?