This website requires JavaScript.
ゆとり世代の特徴とは?接し方や一緒に仕事をする上でのポイントを紹介

ゆとり世代の特徴とは?接し方や一緒に仕事をする上でのポイントを紹介

今の若手層を一言で表すとしたら、それは「ゆとり世代」でしょう。2018年、「フルゆとり世代」と呼ばれる、小学校から高校までの12年間を全てゆとり教育で過ごしてきた1995年生まれの世代が社会人として働き始めました。そこで今回は、ゆとり世代とはどのようなバックグラウンドを持ち、どのような特徴を持つのかを解説します。そして、ゆとり世代の仕事への捉え方を押さえた仕事の教え方や接し方を合わせてご紹介します。

hoge

ゆとり世代とは?

ゆとり世代とは、1987年4月2日~2004年4月1日の間に生まれ、ゆとり教育に基づいて義務教育を受けた世代を表す言葉です。ゆとり世代は、知識詰め込み型教育からゆとり教育へ、ゆとり教育から脱ゆとり教育への移行段階それぞれ経験しています。中でも、1995年生まれは小学校から高校までの12年間をゆとり教育で過ごした唯一の世代として、「フルゆとり世代」と呼ばれています。

ゆとり教育が開始された経緯

ゆとり教育の始まりは、1970年代に詰込み型教育に対して疑問の声が高まったことにあります。詰込み型教育とは、暗記による知識量の増大に大きな比重を置く教育のことです。「知識があってもその知識活かすための思考力がなければ意味がない。」という危機感によるものでした。

また、1990年代の校内暴力やいじめ、自殺、落ちこぼれなどの問題を受け、文部省は社会性の向上や倫理観の構築を目指して「生きる力」を教育の目的に掲げました。この「生きる力」というのは、「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力のことです。また、自らを律しつつ、他人とともに強調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。(21世紀を展望した我が国の教育の在り方についてより抜粋)」としています。

そして、1998年には「ゆとり教育」というスローガンの学習指導要領が完成し、完全週5日制と学習内容の削減が開始されました。

ゆとり教育による学力低下

このように、「思考力」や「生きる力」「豊かな人間性」を重視したゆとり教育ですが、この教育方針による学力低下が懸念され、2008年には学習指導要領が一部改定されました。そして2011年から13年にかけて、改定された学習指導要領が施工され、日本の教育方針は「脱ゆとり教育」へと舵を切っていきました。

ゆとり世代とさとり世代

ゆとり世代と似通った言葉に「さとり世代」があります。さとり世代とは、「車を買わない」「家を買わない」「恋愛に興味がない」といった特徴を持つ現代の若者が、「悟りを開いたように欲がない」ことから作られた造語です。つまり、ゆとり世代とは「ゆとり教育を受けた世代」を指し、さとり世代は「悟りを開いたように欲のない世代」を指しています。さとり世代の対象はゆとり世代とも重なります。ですので、今の20代の若者はさとり世代とゆとり世代の特徴をどちらも持ち合わせているのです。

ゆとり世代の特徴

ゆとり世代の社員に仕事を教えたり、接したりするときにその行動の特徴を掴んでおくことは不可欠です。理解が足りなかったために、「明日から来なくていいと言ったら、本当に来なくなってしまった」という事態も起こっています。そのような事態にならないためにも、ここでゆとり世代の7つの行動の特徴について、その特徴が作られたバックグラウンドから解説していきます。あくまでこのような傾向が指摘されることがあるということであって、常に個人差があることは忘れないようにしましょう。

1.叱られることに耐性がない

ゆとり教育では、順位をつけずにそれぞれの個性を大事にするという方針が取られていました。土日の休みは自分の好きなことに専念できましたし、道徳の時間には答えのない問題に対して、自分で考え、自分なりに答えを出すという教育を受けました。成績が悪くても、それを「個性」として受けとめ、咎められることはありません。その行き過ぎた例として、徒競走の順位を全員1位にする、全員主役で桃太郎の劇を行うなどがありました。周りと比較されない絶対評価の中で、できなくても叱られない環境で育ってきたゆとり世代は怒られることに慣れていません。 「叱る」と「怒る」は厳密に言うと違いますが、上司の立場にある人の多くが「叱る」と「怒る」を混同していることが多いです。ですから、仕事の出来が良くないことに対して上司は叱っているつもりでも、部下は怒られたと解釈してモチベーションを大きく下げてしまうことがよくあります。そして、最悪の場合にはそのまま仕事を辞めてしまうというケースもあります。

2.競争意識が低い

ゆとり教育が始まったことによって、周りよりも良い成績を取ったり、表彰されたりといった勝ち負けにこだわる風潮が弱くなりました。したがって、ゆとり世代は競争意識が低いと言われることがあります。

3.昇進や昇給への執着が低い

競争意識と関連して、昇進や昇給に対してもあまり執着心がないという傾向が挙げられます。役職やお給料にこだわるよりも、仕事そのものに「やりがい」を感じられるかどうかに重きを置く傾向があります。

4.職場の付き合いを最優先にしない

「ゆとり世代は飲み会に参加しない」「ゆとり世代はプライベートを最優先する」というのは、ゆとり世代の特徴としてよく挙げられます。これには、ゆとり教育では好きなことに専念できる時間が多かったという点が大きく関係しています。勉強の量が減り、自分の好きなことに集中できたことで、フィギュアスケートの羽生選手やメジャーリーガーの大谷選手のようなゴールデンエイジが生まれたとも言われています。ですがその反面、ゆとり世代は「○○しなければいけない」という観念が薄いようです。最低限のルールは守りますが、「自分で考えて答えを出す」、「自分の個性を大事にする」という価値観から、周りに合わせるよりも自分のやりたいことを優先する人が多くなりました。

5.仕事の指示待ちが多い

「ゆとり世代には自主性がなく、仕事の指示待ちが多い」というのもよく言われます。ですが、これは自主的に仕事をする能力がないからではありません。なぜなら、ゆとり教育では自分で考え、自分で答えを見つけるということを大事にしていました。ですから、個人によって差はあるにしても、ゆとり世代が他の世代に比べて考える力が弱いということはありません。つまり、指示待ちの状態が起きているとすれば自主的に仕事をする能力がないのではなく、自主的に仕事をするつもりがないのです。ゆとり世代は好きなことを最優先にします。好きなことには時間も労力もふんだんに使いますが、好きでなければ最低限のことしかしません。マニュアルにある仕事しかしないのも、それがお金をもらうための最低限の仕事だと考えているからです。

6.合理的・効率的な思考をする

ゆとり世代では「自ら学び、自ら考え、課題を解決する」という教育を受けてきていますので、古くからある慣習や文化に縛られるということがありません。したがって、「非合理的だ」「非効率的だ」と感じる社内の方法や形式に対しては従わなかったり、改善策を提案したりすることもあります。

7.ITスキルが高い

ゆとり世代では学生の頃から携帯を使ったコミュニケーションツールやパソコン操作に慣れているため、自然とITスキルは高くなっています。インターネットに依存してしまう傾向もあり、先輩社員に聞かずに自分で解決しようとして、インターネット検索に頼ってしまうといったことも言われています。

ゆとり世代の特徴を押さえた効果的な7つの接し方

ここまでゆとり世代の特徴をご紹介してきました。これらのゆとり世代の特徴を押さえた上で、ゆとり世代の部下に早期に仕事を身につけてもらったり、ゆとり世代の同僚と効果的に仕事を進めていったりするためには、どのようなポイントがあるのでしょうか?

1.怒るのではなく、改善策を一緒に考える

ゆとり世代のマネジメントにおいて、怒ることは禁物です。その後の関係性にも致命傷となるので避けた方が良いでしょう。そして、叱るのも極力控えることをおすすめします。「叱る」と「怒る」をうまく使い分けるのは難しく、ほとんどの人は「叱ること」と「怒ること」を混同してしまいます。ただ、本当に必要なときもあるので、ここぞという時にはきちんと叱りましょう。

普段の関わりでは、仕事のミスや失敗に対する改善点を一緒に考えるというスタンスをとりましょう。甘すぎると感じるかもしれませんが、甘い関わりとは決定的に違います。甘い関わりとは、仕事のミスに対して「次は何とかなるよ。」「今回は運が悪かったな。」というような原因や改善点に焦点を当てずに済ませる関わりのことを言います。ですが、ここでおすすめしているのは、まず最初に原因と改善点を自分で考えさせるという関わり方です。「自分が仕事でミスをした」という事実に向き合わせることは、決して甘い関わりとは言いません。「叱る」との違いは、過去ではなく将来に焦点を当てているという点であり、「叱る」と同じくらい厳しい関わり方なのです。その上でどのような改善策が有効かをフィードバックしていきましょう。

2.貢献した点を褒める

ゆとり世代は𠮟るよりも褒めて伸ばすことを意識する方が早く育ちます。例えば「自ら学び、自ら考え、課題を解決する」という教育を受けてきているゆとり社員は、社内の慣習や文化に縛られることなく改善策を提言することがあります。その改善策が組織にとって良い選択である場合には、大いに承認してください。また、ITスキルの高さを活かして、先輩社員よりも難なく新しいITツールを使いこなすことができることもあります。このような貢献できている部分に目を向けて賞賛することによって、モチベーションが高まり、さらに主体的な貢献が増えていきます。

3.相手の考えを受容する

ゆとり世代は、ほかの世代よりも好きなことをする時間の優先順位が高いようです。ですので、まずはその事実を受け入れましょう。飲み会をきっぱりと断る姿勢から、「ゆとり世代は気難しい人が多い」と感じる方もいると思いますが、実はそうではありません。ゆとり世代の思考はすごく単純で、「好きなことならやる」ただそれだけです。例えば、チームでの飲み会に来ないメンバーがいたとしたら、その人には飲み会よりも好きなこと、やりたいことがあるから来ないのです。メンバーが飲み会を断ってまでしたいことが何なのかをそれとなく聞いてみましょう。聞くときに大切なのは、「詮索されている」と思われないことです。休憩のときなどに趣味はなにか、最近何にハマっているのかなどを世間話の一環で聞きましょう。そして、聞いたらしっかり理解を示しましょう。教えてもらったことを一度体験してみるのもいい手です。そのメンバーが好きなことを話題に会話ができれば、その話をするために飲み会に来るようになるかもしれません。ただ、本当に飲み会が嫌いな場合もありますので、その辺はよく観察して判断しましょう。

4.適度な距離感を保つ

先ほどゆとり世代は好きなことをする時間の優先順位が高いと述べたように、職場とプライベートを明確に分ける傾向があります。個人差がありますが、職場では自分のプライベートに干渉してほしくない、同僚のプライベートにも干渉しないと考えている場合があります。仕事では仕事に集中したいため、職場でプライベートな話をしたり、過度に親密な関係性を築いたりする必要はないと考えています。このように仕事をする上で適度な距離感を求める傾向が強い社員には、飲み会やイベントへの参加を強要することはやめて、必要なコミュニケーションは職場で完結させることが効果的です。

5.会社の理念とビジョンへの共感を得る

これも好きなことを優先するという点につながるのですが、ゆとり世代で仕事への自主性がない理由は、仕事をする意味や価値を理解していないからです。仕事を「好きなことをするための我慢の時間」として捉えています。ですから、今やっている仕事の意味や価値をしっかりと理解し、共感してもらう必要があります。そのためにも、まずは企業理念を明確にし、マネジメントする立場の人間が理念をしっかり理解していることが不可欠です。その上で若手社員たちに、企業がどんなビジョンを掲げているのか、仕事を通してどんな課題を解決しようとしているのかを伝えましょう。ゆとり世代は「貢献したい」「役に立ちたい」という意識が強いので、企業のビジョンに共感することで、仕事への意欲や主体性が高まります。

6.目先の報酬で動かそうとしない

ゆとり世代はほかの世代に比べると、お金や地位に対する欲が弱いので、昇進や昇給、インセンティブはやる気の素になりにくい傾向にあります。ですから、目先の報酬を引き合いに出して動かそうとするのはおすすめできません。

7.具体的な指示を行う

具体的な仕事を進める上では具体的な方法と期日を事前に擦り合わせておくようにしましょう。特にゆとり社員は合理的な考え方をしているため、言われていないことに過度に気を回すということがありません。「これは言わなくても察してもらえるだろう」「これは言わなくてもわかっているだろう」と思わずに、後々のトラブルを避けるためにもしっかりと言葉にして伝えるようにしましょう。マニュアルがあるのであれば、それも忘れずに共有しましょう。


関連記事:部下のモチベーションを上げて成果を出してもらう方法とは

まとめ

いかがでしたでしょうか?ゆとり世代と言われる社員の思考の特徴とその背景にある受けてきた教育の違いについて、本記事が役立てば幸いです。

現在、新卒採用市場は非常に激化しており、どこもかしこも人材不足の課題に苦労しています。そのため、どの会社でも新人の育成・マネジメントが大きな課題となってきます。そして、今の若手社員の世代柄と言えば、間違いなく「ゆとり世代」です。ですから、ゆとり世代に適した仕事の教え方を確立することは、これからの企業の成長のために不可欠なのです。ゆとり世代のことを理解できずに多くの人が苦労しています。これを機に若手層のバックグラウンドと特徴を改めて理解し、より良い育成に役立てていただければ幸いです。

アチーブメントHRソリューションズの新入社員研修では、新入社員が即戦力として活躍できるようになることを目的とし、「実行する力(実行力)」「考える力(思考力)」「チームで達成する力(協働力)」という社会人としての基礎力を身につけ、企業の即戦力になることを実現します。

そのマインドセットへのアプローチ、間違っていませんか? アチーブメントHRソリューションズでは、人の行動の根源である「マインドセット」に着目し、個人の「内発的な動機付け」に基づくアプローチによって、人財育成や組織開発を成功に導きます。

hoge

正しく研修に取り入れた企業様では「社員の離職率が30%減った」「売上が昨年対比160%を実現した」といった成果を生み出し、進化を続けています。 専門コンサルタントがプロの視点であなたの問題を解決する道筋を示しますので、真に価値のある教育施策を共に考えていきませんか?

📞03-6435-3791

📧お問い合わせ