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中堅社員に期待されるコミュニケーションと問題解決力の高め方とは?

中堅社員に期待されるコミュニケーションと問題解決力の高め方とは?

中堅社員は現場の即戦力として役割が多岐にわたり、周囲とのコミュニケーションも増えていきます。そして昨今、問題解決力という言葉をよく聞くようになりました。ビジネスにおいて問題解決力はどの階層においても重要ですが、特に中堅社員にとっては早期に身につけるべきスキルの一つです。今回の記事では、中堅社員に求められるコミュニケーションと問題解決力の高め方に迫ります。

中堅社員に期待されることとは?

入社1~2年目の頃とは異なり、中堅社員になると自立して業務を進められるようになってきます。プレーヤーとして業務を遂行するだけの立場から、主体的にチームやプロジェクトを動かす立場になることで、中堅社員には以下のような役割が期待されています。

後輩の指導・育成

中堅社員は現場で様々な経験を積み、業務遂行に必要なスキルやノウハウを身につけています。したがって、現場のことをよく知っている社員として後輩の指導や育成が期待されています。新卒採用をしている企業であれば、配属先の現場では中堅社員が新入社員の指導を行うことが多いでしょう。新卒採用をしていない企業でも、新しいメンバーのサポートやアルバイトスタッフなどの育成を担当する場合があります。 後輩の指導・育成を行うためには、後輩と信頼関係を築き、タイプに合わせた効果的なコミュニケーションを取る必要があります。また、後輩から相談を受けた時には悩みや問題の原因を早期に見極めて、解決に向けてアドバイスをする必要も出てくるため、問題解決力が重要になります。

リーダーへの成長

中堅社員にはリーダーへの成長、将来的には管理職として組織を牽引していくことが期待されています。そのために、自身の業務に関するスキルアップだけではなく、リーダーに必要な主体性やコミュニケーション能力、問題解決スキルについても習得が期待されています。

後輩育成のためのコミュニケーション方法

まず、後輩の指導・育成のために不可欠なコミュニケーション方法について解説します。中堅社員は、新入社員や若手社員の育成担当となることも多いです。それは実際の職場で身近な存在であるとともに、社会人として悩みを抱えやすい時期の後輩を心理的にもサポートしたりするのは、年の近い中堅社員が適任であることが多いためです。しかし入社1~2年目に生じる気持ちや意識の変化は大きく、中堅社員には入社したての新入社員の気持ちが意外と想像できなくなっていることもあります。また、自分と違うタイプの後輩だと何につまずいているのかが理解できず、うまくサポートができないケースもあります。したがって年次が近いから上手くいくだろうとメンターやOJTを任せきりにするのではなく、後輩を育成するために効果的なコミュニケーションを学んでもらうことはとても重要です。

ここでは、後輩の主体性や思考力、実行力を高めることができるコーチングについてご紹介します。

コーチングとは?

コーチングとは、「相手が自身の理想の状態の実現に向けて、自らの思考と行為を効果的に選択していくプロセスを支援するコミュニケーション技法」です。ティーチングとは異なり、答えの所在は相手にあるということを前提にするため、双方向型のコミュニケーションが特徴になります。コーチングでは、「傾聴する」「質問する」「承認する」という3つがコアスキルになります。

傾聴する

傾聴は相手の心の声を聴き、真意を理解するためのものです。傾聴を行うためには、「相手をわかろう、相手を理解したい」というスタンスが大切です。もし、後輩とコミュニケーションを取るときに「相手にわからせよう、理解してほしい」というスタンスがあるのであれば、それは傾聴を妨げるスタンスですので改善が必要です。具体的には、以下の6つの傾聴法を実践することでより良いコミュニケーション効果があります。

6つの傾聴法
  1. うなづき:相手の話への同意をうなづきで表現する
  2. あいづち:相手の話の合間にあいづちを入れる
  3. 繰り返し:相手が言ったことを繰り返して言う
  4. 言い換え:相手が言ったことを別の言葉で言い換える
  5. ミラーリング:鏡のように相手の動きに同調する
  6. ペーシング:話す速さや声のトーンなどを相手に合わせる

質問する

質問は相手の中にある答えを引き出し、相手の主体性を引き出すためのものです。良い質問は一度に一つずつ、open questionで尋ねることです。open questionとはYes, Noでは答えられない質問であり、相手から幅広い答えを引き出すことができたり、相手に新たな気づきを促すといったメリットがあります。実際に質問する際には詰問にならないよう、以下の3つのポイントに気をつけることをおすすめします。

①人ではなく、事に焦点を当てた質問をする

例「どうして(あなたは)今月の目標を達成できなかったの?」 ⇓ 「今月目標を達成できなかった原因については何が考えられる?」

②否定質問よりも、肯定質問をする

「今月目標を達成できなかった原因については何が考えられる?」 ⇓ 「今月の目標を達成するためには何ができたと思う?」

③過去質問よりも、未来質問をする

「今月の目標を達成するためには何ができたと思う?」 ⇓ 「来月の目標を達成するために何ができると思う?」

承認する

承認は相手を力づけ、自信を高めて成長を育むためのものです。普段のコミュニケーションの中で承認を行うためには、以下の3つの観点を大切にしましょう。

①存在の承認:その人の存在そのものを承認する

例「あなたがいてくれて、職場が明るくなったよ。ありがとう。」

②過程の承認:ちょっとした表情や行動の変化、日々の努力を承認する

例「1か月先までしっかりとスケジューリングしてくれて助かるよ。」

③結果の承認:仕事における成果を承認する

例「立派なプレゼンテーションだったよ。新規契約おめでとう。」

これらのコーチングスキルを向上させ、後輩との良好な信頼関係を築くことで、効果的な指導・育成に生かしていきましょう。

問題解決力の必要性

次に、リーダーへの成長のために不可欠な問題解決力についてご紹介します。

問題解決力とは?

問題解決力とは、「考える」、「質問する」、「書く」、「計画する」という4つの基本能力を土台とした総合力のことです。問題を解決するためには、単純に「このステップを踏んでいけば問題解決できる」というものではなく、あらゆる段取りが必要になります。例えば、上司やクライアントの要求を引き出すために質問したり、提案を文書にまとめたりする必要も出てきます。また、解決までの計画を立ててスケジュール管理もしなくてはなりません。そしてこの流れを進めていく上では「しっかりと考える」ことが大前提になります。このように、**すべてのスキルを駆使して問題を解決する力が「問題解決力」**なのです。

問題解決力

図1:問題解決力は総合力(芝本秀徳, 誰も教えてくれない問題解決スキル

中堅社員に問題解決力が重要な理由とは?

この問題解決力がなぜ中堅社員にとって重要なのでしょうか。新入社員の頃は、目標やゴールがすでに決まっていてある程度先々の見通しがついている仕事を段取りよく進めることが期待されていました。これが中堅社員になるとまだ進め方が確立されていない仕事や、時には会社全体や組織にとってまったく新しい取り組みとなる業務を任せられることがあります。そこで必要になってくるのが、問題解決力なのです。

問題解決力の高め方

ここまで、問題解決力は総合力であると述べてきました。そして将来的にリーダーや管理職として成長していくためには、早期に身につけたいスキルであると言えます。それでは、この問題解決力はどのようにして高めることができるのでしょうか?

潜在的な問題を発見する

潜在的な問題とは、まだ表面化していないけれどこれから発生する可能性がある問題のことです。現状を把握・分析し、問題を見つけていく力を鍛えることで実際に問題が起きるのを未然に防ぐことにも繋がります。 具体的には、3か月~半年先の理想の状態をイメージし、現在の状態が続いた時それが達成するのかどうかを分析します。達成しない場合には、何がギャップとなるのかを掘り下げましょう。それが潜在的な問題(課題)ということになります。

ロジカルシンキングの習慣化

ロジカルとは「論理的な」「筋の通った」という意味です。物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考法をロジカルシンキングと言います。日頃から物事を論理的に捉えながら話すことで、相手にもわかりやすく伝えることができます。このようにロジカルシンキングを習慣化しておくことで、解決したい問題が発生した時にも早期に原因を特定することができます。

クリティカルシンキングの習慣化

クリティカルとは「批判的な」という意味です。これは否定的な意味合いではなく、「その考えが正しいのかを検証して本質を見極める」という意味合いを持ちます。自分自身の思い込みを取り除き、あらゆる角度から別の可能性はないかと問い続けることで、客観的な思考を持つことができます。クリティカルシンキングを習慣化しておくことで物事の本質がより明確になり、問題解決のための適切な解決策の立案に効果的です。

まとめ

中堅社員には、後輩の指導・育成とリーダーへの成長が期待されています。後輩の指導・育成のためにはコーチングスキルを活かしたコミュニケーション、リーダーへの成長のためには問題解決力の向上が効果的です。今回の記事が中堅社員の育成の一助になれば幸いです。

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