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ピッツバーグ医療センターが組織改革を行うために実施した社員研修とは?

この記事のまとめ

  • ピッツバーグ医療センターは、明文化された企業文化がない中、7万人超のスタッフに共通の文化を浸透させるため、4時間限定の研修と数百名のボランティアを募ることで大規模な研修を実施した。
  • 企業文化の改革は、「どのように働くか」という価値観を定義することから始まり、「ロッキーのテーマ」のようにユニークで楽しい手法(Jam Activity)を用いて全従業員の関心を引きつける工夫が重要である。
  • 組織改革の成功には、トップの支援と理想の企業文化をまず壮大に描く設計(Design)、そして現場で文化を伝え続ける管理職やトレーナーのトレーニングが不可欠である。

目次

ピッツバーグ医療センターは組織改革を行うために、大規模な社員研修を実施しました。ところが、スタッフは7万人を超えているため、全員が一堂に介しての社員研修を実施することは非常に難しい状況でした。

では、そういった状況において行われた大規模な社員研修とは、どういったものだったのでしょうか?

ATD2018にて、ピッツバーグ医療センター(UPMC)の研修担当のMatt Belgie氏と研修設計コンサルタントのMeredith Juchiniewicz氏が語った「ピッツバーグ医療センターにおける企業文化を変えるトレーニング事例」をご紹介します。

社員研修を実施するにあたってのポイント

ピッツバーグ医療センターは7万人を超えるスタッフを抱える医療機関です。しかしながら、ピッツバーグ医療センターには、これまで明文化された企業文化というものが存在しませんでした。 そこで、Matt氏を中心とした12名の社員研修チームが組織され、7万人を超えるスタッフに向けて共通の企業文化を浸透させるための大規模な社員研修を実施することになりました。

まず、Matt氏らが実際にスタッフに向けて

「4時間の社員研修を実施するにあたってのポイント」 を示しました。 Matt氏は企業文化を変えるガイドラインとして、4つのステップを提唱し、ピッツバーグ医療センターの組織変革プロジェクトはこのステップに沿って設計され、実行されていきました。

  • 1.Introduction(はじめに必要なこと) 価値観やビジョン、ミッションなどを通して、あなたの企業文化を定義してみましょう。
  • 2.Support(必要な支援) どのような支援があればよいか検討しましょう。
  • 3.Design(何から描くか) 壮大な夢を描くことから始めましょう。
  • 4.Deliver(伝達方法) 型にはまらない方法で伝えましょう。

それでは、ここからそれぞれのステップについてポイントをご紹介します。

企業文化を改革するために必要な4つのステップ

Introduction(はじめに必要なこと)

あなたの職場におけるコアバリュー(働き方に対する考え)を1分間で書いてください

Matt氏のイントロダクションをこんな問いかけからスタートしたそうです。 続けて、彼はこうも質問しました。

「あなた(従業員)は、組織の理念やビジョンが何であるかを知っていますか? あなたの組織の企業文化を説明するように求められた場合、5人の異なる従業員が同じように回答しますか?」

職場の文化づくりをすることは、「どのような価値観を大切にするのか」「どのような行動を取るか」を定義することから始まります。

そして、Matt氏は、仕事をするにあたり、「何をするか」と同じくらい、 「どのように働くか」 が重要であると言います。 ピッツバーグ医療センターは上層部から末端の従業員まで企業が大切にしている価値観を書き出したそうです。 ただ、先ほどの質問にすぐに答えられない社員が多い場合どうすればよいのでしょうか。

Matt氏は自社の企業文化を考えるユニークな手法として"Jam Activity"というユニークな手法を紹介していました。 それは例えば、 「映画ロッキーのテーマ、映画ジョーズのテーマなど複数の曲を流して、自社の企業文化のイメージに最も近い曲を選ぶ」 というものでした。 これなら、企業文化という、やや堅いテーマでもどの従業員相手でも楽しみながら実践できる方法ということでした。

Support(必要な支援)

次に誰からの、どのような支援が必要か検討します。 例えば、

  • トップから企業文化を発信してもらう必要があるのか。
  • 時間やお金はどの程度必要なのか。
  • 他にスタッフを募る必要があるか。

などです。 ピッツバーグ医療センターは医療機関ということや、従業員数が7万以降と非常に多いという状況であったため、全員が一堂に介して社員研修を実施することが難しい状況でした。 従って研修時間を4時間に限定し、かつ12名の研修チームのみならずボランティアを数百名募って、各職場でイントロダクションを実践してもらえるようにしました。

Design(何から描くか)

Matt氏が特に強調していたのが、理想の企業文化を描く上で、いきなり現実的な話をせずにまずは突拍子ないことも含めて、想像の限りをつくして、夢を描くというものです。そこから始めるからこそ、現実的な内容に絞ることができるとも言います。 理想を描く上で、どうしても枠にとらわれることがあるので、そこから出ることが必要なのだということです。

Delivery(伝達方法)

最終的に明文化された企業文化を従業員にどのように伝えるかについては、クリエイティビティが重要です。 企業文化といったテーマに興味がない場合でも、関心をひけるような、クリエイティブな方法や場所を選び、彼らの関心をぐっと引き付けることも効果的でしょう。 そして、従業員が理想の企業文化を実体験できるような機会をつくる上で、企業文化を現場で伝え続ける管理職を動かしていくことや、ボランティアのトレーナーをトレーニングし続けることが必要です。

最後に

7万名を超える組織だと、組織変革も一苦労なプロジェクトです。 今回お伝えした4つのポイントを活用して、ピッツバーグ医療センターで確実に変革の芽は広がっていっているようです。 ぜひ皆さんの組織でも実践できるヒントはありましたでしょうか。参考になるものはぜひ実践してみてください。

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