研修内容ってどうやって決めたらいいの?昨今、多くの企業で自社の研修を内製化しようとする動きがあり、研修担当者の中にはこのような悩みを抱いている方もいるのではないでしょうか?そこで今回は、研修内容の決め方を「内容の抽出」「順序付け」「学習方法の選択」3つのステップで紹介します。
研修内容はどう決める?内容の抽出方法と順番のつけ方、学習方法を紹介
研修内容を決める準備
研修内容を決めるにあたって最も重要となるのは、「その研修でどんな課題を解決したいのか?」というポイントです。研修というのは、その企業が持つ課題を解決するために実施するものです。ですので、研修内容を決めるときには、まずその課題を確認するところから始めます。
研修で解決したい課題を見つける方法としては、『研修のゴール』と『対象者の現在地』を照らし合わせて、ゴールと現在地の間にある改善点をリストアップする方法がおすすめです。
研修のゴールとは、研修を実施した結果として、現場でどんな行動が行えるようになってほしいかという理想のことです。そして、対象者の現在地とは、その理想に対して現状でどのくらい行動できているかを表します。理想の状態を実現するためには、研修を通してこの2つの間にある障害を取り除き、行動を促進するものを補っていく必要があります。
研修の目的・ゴールの設定方法について詳しく知りたい方はこちらへ。
研修内容を決めるステップ①:内容の抽出
ではまず、研修内容を決める最初のステップである「内容の抽出」について見ていきます。研修内容を抽出する方法はいくつかありますが、今回はその中からマトリクスの表を使ったフレームワークをご紹介します。このフレームワークは、研修のゴールと現在地の間にある障害を『ブレーキ要因』、行動を促進するものを『アクセル要因』とし、また行動する本人の要因を『内側の要因』、本人の外側にある他者や環境を『外側の要因』として、2軸の4象限マトリクスでまとめたものです。4象限のそれぞれに入る例としては、下記のようなものが挙げられます。
- 本人の内側にあるブレーキ要因
- 他責の考え方、自身の欠如など
- 本人の内側にあるアクセル要因
- 明確なキャリアイメージ、実現するためのスキルなど
- 本人の外側にあるブレーキ要因
- 業務量の多さ、会社からの期待が正しく伝わっていないなど
- 本人の外側にあるアクセル要因
- 上司の支援、行動が報われる人事評価など
研修内容を決めるにあたって、課題を明確にしたい場合には、例を参考にしながら下記の図を参考に4象限を埋めてみてください。
4象限に書き込んだ中には、研修では解決できない要因も含まれていることがあります。ですので、4象限にある研修内容の候補の中から研修で扱えるものを抽出しておきます。
研修内容を決めるステップ②:順序付け
扱うべき研修内容が決まったら、次はその内容を解決に適した順番で並べていきます。ここで注意するべきポイントは、2つあります。
ブレーキ要因を先、アクセル要因を後にする
先ほどの4象限で扱ったブレーキ要因とアクセル要因ですが、この2つを研修で扱う時には、ブレーキ要因を先に扱い、アクセル要因を後に扱います。これが逆になっていると、「アクセルをたくさん踏んでいるけれど、ブレーキがかかっているため前進しない」という事態が起こりかねません。ですので、まず先に障害を取り除いてから行動を促進するための内容を扱っていきます。
例えば、「自信をつける」ことと「スキルアップ」の2つを扱う研修があった場合には、「自信がない」というブレーキ要因について先に扱い、ブレーキを外してからアクセル要因である「スキルアップ」を扱っていきます。
マインド→ナレッジ→スキルの順番
何かを学習するとき、その内容を「マインド」「スキル」「ナレッジ」の3つに分類することができます。マインドとは、意識や姿勢といった心のあり方を表し、スキルとは技術を表します。そしてナレッジとは、インプットする知識のことです。研修では、学習内容をこの3つに分類して、マインド→ナレッジ→スキルの順になるように並べます。
研修内容を決めるステップ③:学習方法の選択
研修内容と扱う順序が決まったら、最後に研修内容に適した学習方法を選択していきます。そこでこれより、研修で使われる主な学習方法をご紹介していきます。
レクチャー型
レクチャー型とは、講義形式で行う指導・学習の方法です。ほとんどの場合、講師が一方的に参加者に話しかける形で行われ、研修の中では主に、ナレッジを学習するときに使われます。
ディスカッション型
ディスカッション型とは、参加者同士が話し合いをすることで学習する方法です。参加者同士で話し合う機会を設けることで、自分にはなかった観点や、分かったつもりになっていたけれど実は理解が曖昧だった点に気付くことができます。
ロールプレイ型
ロールプレイ型とは、実際に研修内容が活かされる場面を想定して実践的に学ぶ学習方法です。ロールプレイのなかでは、参加者は役を演じたり、それを観察することで学びを得ます。様々な役割を演じることで、普段は気付けないような他者の気持ちに気付くことができるといった効果があります。
ケーススタディ型
ケーススタディ型とは、研修内容に関連する実際に起きたケースを取り上げ、そのケースから法則や解決策を見つける学習方法です。実際の場面を想像しながら学ぶことができるため、実用的な学びを得られやすいほか、学びを現場に持ち帰りやすくなるといった効果があります。
ゲーム型
ゲーム型の学習方法とは、研修内容に沿った能力や意識が試されるゲームを通して、気付きと経験を得る参加型の学習方法です。ゲームを活用するメリットとしては、参加者の普段のあり方や関わり方、振る舞いがゲームの取り組みに現れるため、ゲームが終わった後の振り返りで内省しやすくなるという点が挙げられます。
まとめ
研修内容は、企業の持つ課題から逆算されて作られるものであり、企業の持つ課題は企業によってさまざまです。ですので、研修を設計・依頼するときには、まず自社の課題の抽出から始めていく必要があります。もし「これから研修を内製化していきたい」「今ある研修をブラッシュアップしたい」「新しく研修を作っていきたい」という方がいましたら、自社の理想と現状のギャップを明確にし、課題の抽出から始めてみてはいかがでしょうか?この記事を通して、研修に携わる方の役に、少しでも立てたならば幸いです。
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