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従業員エンゲージメントとは、従業員が所属している会社に対して持つ貢献意欲のことです。昨今、この従業員エンゲージメントを高めることが組織づくりに欠かせない要素であるとして注目されています。今回は、この従業員エンゲージメントの概要と注目されている理由、高めるメリット、高める方法についてご紹介していきます。

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、先ほども紹介したように、従業員が抱く貢献意欲のことです。この「エンゲージメント(Engagement)」という言葉は、元は「約束・誓約・従事・没頭」という意味の英語であり、日本ではマーケティング用語として使われる場合と人事・組織開発用語として使われる場合の2パターンがあります。

マーケティング用語として使われる場合は、顧客が企業やサービス、商品、ブランドに対して抱く愛着と、愛着を持っている顧客が取る行動のことを指してエンゲージメントと呼びます。主にSNSやwebサイトに関連して使われることがほとんどであり、SNSやwebサイトを通して顧客とのつながりを深めるための指標として、「いいね!」などのアクションを活用します。

帰属意識とは

エンゲージメントと似ている概念に「帰属意識」が挙げられます。帰属意識とは、実用日本語表現辞典によると、「ある集団に自分が属している、その集団の一員であるという意識」のことです。この帰属意識は、企業や民族などさまざまな規模・単位について用いられます。この帰属意識が高い人は、所属している集団に対する愛着や興味・関心を持ち、その集団に所属したいという気持ちが強くなると言われています。反対に帰属意識が低い人は、その集団の中に自分の居場所がないと感じ、集団に対する愛着や興味・関心を失います。企業における帰属意識とは、今自分が所属している企業に対して、「所属していたい」という意識を持つことです。 「この企業に所属していたい」という意識、帰属意識が高かったとしても、「給料が良いから仕方なく仕事をしている」「できる限り楽して給料をもらいたい」という考えを持っている可能性があります。そういった理由から、帰属意識についてはその必要性が疑われ始めているのです。

エンゲージメントと帰属意識との違い

では、エンゲージメントと帰属意識は、どのように異なるのでしょうか。

一つは企業・組織に貢献しようとする気持ちの違いです。例えば、企業・組織に対する愛着や居心地の良さを感じている状態も帰属意識が高い状態と言うことができます。必ずしも帰属意識が高いからいって、企業に対する貢献行動が多いというわけではありません。しかし、エンゲージメントは、企業・組織の業績に貢献しようという動機がセットになるため、業績との連動性が高いのが特徴です。

また、一番大きな違いは、帰属意識・エンゲージメントが持つベクトルの向きです。帰属意識は社員から企業・組織に対する一方通行のものです。しかし、エンゲージメントは、社員から企業・組織、そして企業・組織から社員という双方向のものです。社員と企業・組織のそれぞれがその成長に対して同じ方向性を共有し、お互いが貢献していこうという姿勢です。高いエンゲージメントを有する企業や組織は、社員個人の成長や貢献が組織の業績向上につながるだけではなく、企業・組織の業績が社員個人の成長に貢献しています。

エンゲージメントが注目される理由

では、このエンゲージメントが日本で注目されるようになった理由は、一体何でしょうか?

その答えとしては様々なものが考えられますが、主な理由には「人材不足による人的資本への重要性が増したこと」と「従業員の主体的な働きが求められるようになったこと」の二つが挙げられます。

エンゲージメントの注目理由①人的資源の重要度の増加

日本の人口は減少し続けており、2050年には人口が1億人を切るという予測まで出ています。そして、それに合わせて労働人口も次第に減少していくため、多くの企業は人的資源をより一層重要視する傾向にあります。また、働き方への捉え方も大きな変化を迎えており、転職の一般化から人材の流動性が高まっているため、優秀・有望な人材を流出させないための施策に注目が集まっています。そんな人的資源への注目度が高まっていくにつれて、組織と従業員のつながりを示す従業員エンゲージメントへの注目度も高まっているのです。

エンゲージメントの注目理由②働き方の変化

ダイバーシティが叫ばれて久しい今日この頃ですが、社会に溢れる情報の倍増と社会構造の複雑化により、社会の多様性は増し続けています。そんな社会の多様化と変化の急速化によって、かつて機能していた機械的な企業の仕組みでは対応しきれないケースが増えています。この状況の中で企業が柔軟な対応を取っていくためには、従業員それぞれが主体的に考え、行動することが欠かせません。従業員エンゲージメントが注目を集めているのは、従業員エンゲージメントを高めることと主体性を高めることが深く関係しているためでもあります。

エンゲージメントを高める効果

従業員エンゲージメントを高めるメリットとして、人材の流出を抑えることや主体性を高めることなどが出てきました。では、従業員エンゲージメントを高めることによって、それらにどのくらいの効果がもたらされるのでしょうか?そこで以下より、従業員エンゲージメントを高めることで得られる効果について解説いたします。

エンゲージメントと生産性の関係

エンゲージメントの高い組織は、生産性と収益性が20%も高く、顧客からの評価に関しても10%も高かったことが分かりました。また、欠勤日数に関しては37%も低く、安全に関する事故に関しては48%と、約半分ほどまで事故が少なかったことが報告されています。

エンゲージメントと離職率の関係

アメリカのコンサルティング会社であるCEB(Corporate Executive Board)社が2004年に発表した「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」で発表された報告では、従業員エンゲージメントが高い従業員の離職率と従業員エンゲージメントの低い従業員の離職率には大きな差があったと述べられています。

具体的には、従業員エンゲージメントの高い従業員が1.2%の離職率を記録したのに対し、従業員エンゲージメントの低い従業員は9.2%の離職率を記録したという報告があります。

高いエンゲージメントが企業にもたらすもの

それでは高いエンゲージメントはどのような効果をもたらすのか、より具体的に見ていきましょう。

企業の高収益

エンゲージメントが高い社員とは、企業・組織への貢献意欲が高い社員ということです。そのため、企業・組織の成長や業績に貢献するために、自分自身の能力を高めたり、高い目標を掲げて取り組んだり、周囲の社員を巻き込むなど、組織全体の目標達成に貢献することが考えられます。米GALLUP社の『State of the Global Workplace Report』では、エンゲージメントに関する企業収益関連の調査報告が行われています。この調査では同一組織におけるエンゲージメントが高い集団(上位25%)と低い集団(下位25%)を比較しました。その結果、エンゲージメントが高い集団は、低い集団よりも20%以上の高収益に貢献したことがわかりました。

高い生産性

また、エンゲージメントが高い社員は、内容は違えど、組織をよりよいものにするという強い動機を持っています。そのため、周囲を巻きこんでプロジェクトを推進したり、業務改善のために意見やアイデアを発信したり、集中して業務に取り組んだりすると考えられます。実際のところ、エンゲージメントの高い社員が多い企業や組織は、生産性が高いと言われており、前述の米GALLUP社の調査によると、エンゲージメントの高い組織は、生産性と収益性が20%も高く、顧客からの評価に関しても10%も高かったことが分かりました。また、欠勤日数に関しては37%も低く、安全に関する事故に関しては48%と、約半分ほどまで事故が少なかったことが報告されています。

低い離職率

エンゲージメントが高いとは、組織と社員の結びつきが強いということです。組織と社員が何で繋がっているかは、組織の理念や方針、風土、文化、人間関係、成長の機会が豊富なことなど、組織や個人によって大きく異なります。ですが、その結びつきがあるため、エンゲージメントが高い社員は離職率が低い傾向にあります。実際のところ、エンゲージメントが高い社員の離職率(1.2%)は、エンゲージメントの低い社員の離職率(9.2%)よりも90%近く低いという調査結果もあります(『State of the Global Workplace Report』、米GALLUP社)。

エンゲージメントの現状を知る

それでは、このエンゲージメントを高めるために人事としてはどのような施策を取るのが有効でしょうか。

エンゲージメントを高めるためには、まず組織の現状をしっかりと把握する必要があります。社員が何にエンゲージメントを感じており、何がエンゲージメントを下げているのかを、調査を通して明確にしていきます。調査方法としては、基本的にはアンケート調査になりますが、エンゲージメントを計測するための指標にはいくつかあり、集計には統計解析の知識とノウハウが必要になります。ですので、多くの企業ではエンゲージメントの調査ツールを導入して行われています。

エンゲージメントサーベイは、あくまでも組織の現状を教えてくれるだけのものなので、その結果を受けて、理想の組織に向けた施策を企画、実施していくことが最も重要です。また、このサーベイを定期的に実施することで、その後の変化を計測し、定期的な人事施策・制度の見直ができます。

エンゲージメントを高めるには

エンゲージメントの調査を行なったら、その結果をもとに、組織の理想の状態について考えることをオススメします。組織の最優先課題とは、組織の理想と照らし合わせた時に、最もギャップとなるところです。ですので、調査の後、組織としてどこに取り組んでいくことが効果的なのかを検討します。

組織として取り組んでいく課題が分かったら、エンゲージメントを高めていくための制度改善や施策の実施に移ります。例えば評価に対する納得度や自身の仕事への重要感が得られていない場合には、評価制度の改善やピアボーナスなどの新しいシステムの導入なども有効です。理念やビジョンへの共感が課題という場合は、理念浸透研修やビジョン策定のワークショップを実施することも良いでしょう。また、社内のコミュニケーションに課題がある場合には、階層を超えてカジュアルに意見交換をしあうような段飛び懇談会や部署を超えたメンター制度などを導入することもおすすめです。

理念とビジョンを浸透させる

従業員エンゲージメントを高めるためには、経営理念とビジョンの浸透が欠かせません。経営理念とビジョンが浸透することで、従業員は自身の業務が何に繋がっているのかを明確にすることができます。そして、企業の目指しているものと、従業員個人が目指しているものに共通点があるとより一層従業員のエンゲージメントは高まります。

社内コミュニケーションの改善

従業員エンゲージメントに影響を及ぼすものの一つとして、社内の人間関係が挙げられます。社内の人間関係は労働環境とも深く関係があり、良好な人間関係は従業員エンゲージメントを高めるために欠かせません。従業員それぞれが主体性に発言と行動を起こすためには、その土台となる人間関係が重要なポイントとなります。

マネジメントの改善

従業員が組織に貢献しようと主体的に動きたいと思っていても、それが全く許されないようなマネジメントの下では、せっかくの主体性も発揮されなくなってしまいます。もちろん、報連相を徹底したり、指示を出さなければならない場面もありますが、部下が当事者意識を持ち、主体性を発揮できるようなマネジメントが必要になります。

チームビルディングを行う

組織が目指すものは一人では成し遂げられないものがほとんどであり、だからこそメンバー同士の助け合いや協力は欠かせません。チームビルディングを通して、目的を共有し、それぞれの役割を明確にし、目標達成までの段取りを設計することで、自分が勤める業務の価値をより一層感じられるようになります。

従業員が成長できる機会と仕組みがある

自身が持つ理想のキャリアや将来像が、今の仕事の先に叶うという見通しがつくか否かによって、従業員エンゲージメントは大きく左右されます。昨今は転職も一般化しつつあるため、もし今の職場で理想に近づけないと分かれば、転職でキャリアアップを図ろうとする従業員も出てきます。ですので、今の仕事の先にどんなステップアップが待っているかを明確にすること、そしてキャリアに関する情報が透明になっていることがポイントとなります。

正当な評価が与えられる人事評価の制度

従業員が主体的に行動をし、組織に貢献しようと思っていても、それらが全く評価されない仕組みの下では、せっかくの意欲が阻害されてしまいます。従業員に主体的に行動してほしいと考えるならば、主体的な行動が評価されるような仕組みづくりが欠かせません。

まとめ

帰属意識とは、「組織に所属していたい」という意識のことであり、社員の流動性が高まったことから注目され始めたものです。ですが、昨今では社員一人ひとりの生産性を高めることも同時に求められており、帰属意識を高めることが組織のニーズと合わなくなってきています。そんな中、離職率と生産性を同時に改善するエンゲージメントへの注目が高まっています。

エンゲージメントとは、組織への貢献意欲のことであり、『State of the Global Workplace Report』では、エンゲージメントが高いほど、収益・生産性・離職率が改善することが報告されています。

エンゲージメントを向上するためには、組織と社員が今・どこで・どのくらいつながっているのかを測定することが重要です。そして、組織の現状と理想を照らし合わせて課題点を洗い出し、人事施策や制度改善に落とし込んでいくことが必要となります。

もし、帰属意識を高めることや、従業員満足度の調査に疑問をお持ちの方がいましたら、エンゲージメント調査を検討してみてはいかがでしょうか?この記事を通して、組織と社員が強く結びついた、より良い組織にしていくために貢献出来たら幸いです。

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