リテンションとは?社員をつなぎとめる6つの施策

リテンション(retention)とは、「保持」や「維持」を意味する英単語です。人事領域で使われる場合には、社内の人材の確保と維持を意味します。多くの企業が頭を悩ませているリテンション。労働人口の減少に伴い、近年では人材確保がこれまで以上に重要な課題となっています。社員に対するリテンション施策は、どのようにすればうまくいくでしょうか。この記事では、リテンションが失敗してしまう原因と、リテンションのための施策を紹介していきます。

リテンションとは

リテンション(retention)とは、「保持」や「維持」を意味する英単語です。ビジネスにおいては、マーケティング領域やM&A領域など、様々な文脈において使用されています。この記事では、人事領域のリテンションについてご紹介していきます。

人事領域におけるリテンションは「人材の確保・維持」を意味します。具体的には、「人材流出を防止するためのリテンション施策」といったような使い方をします。

リテンション施策が重要視されている背景

昨今では、採用と同等かそれ以上にリテンション施策を重要視する企業が増えています。なぜでしょうか?

近年の日本では少子高齢化によって労働人口の減少が続いており、国内の多くの企業で人材不足が進行しています。どの企業も採用活動を活発に行っており、売り手市場によって採用コストは上昇傾向にあります。そのため、入社した社員が定着せずすぐに離職してまった場合、採用しなくてはいけない人数が増え、採用コストはさらに上昇していきます。また、同じ部署で退職が相次いで発生した場合、部署の業務にも支障が出ます。さらに、退社した社員の穴埋めが必要となるため、入社してきた社員に対する再教育のコストがかかり、企業の生産性にも影響を与えることになります。こうした背景から、昨今では多くの企業が採用できた人材に長く働いてもらうための施策に注力しています。この「採用できた人材に長く働いてもらうための施策」のことをリテンション施策を言います。

リテンションが失敗してしまう原因

人材不足によって注目度が高まっているにも関わらず、現在のところ、多くの企業ではリテンション施策がうまくいっていないといいます。では、社員のリテンションが失敗してしまう原因は一体何なのでしょうか。

エン・ジャパンの調査によると、社員の退職のきっかけの上位5項目は、順に「給与が低かった」「やりがい・達成感を感じない」「企業の将来性に疑問を感じた」「人間関係が悪かった」「残業・休日出勤など拘束時間が長かった」となっています。

(グラフはエン・ジャパン「8,600名に聞いた『退職のきっかけ』調査」2018年より作成)

このエン・ジャパンの調査を参考に、ここからは社員のリテンションが失敗してしまう原因について考察していきます。

給与の低さを解消できていない

まず社員が退職理由に挙げるものとして多いのが、給与の低さです。給与の低さとは、そもそもの給料が客観的に見て低い場合と、自分の業務に対して給与が釣り合っていないと感じる場合の2つがあります。いずれにせよ、給与は社員の生活や人生設計に直接的に影響します。そのため、給与の低さは社員の満足度を低下させることが多く、リテンションが失敗する原因の最たるものとなっています。

社員に対してやりがいや達成感を与えられていない

次に、社員に対してやりがいや達成感を提供できていない場合です。仕事に対するやりがいや達成感は、社員のモチベーションに深く関わってきます。また、仕事を通しての成長実感や自己実現にも直接的に関わってくるため、この項目が上位に来ていると考えられます。たとえ高い給料をもらっていても、毎日の業務にやりがいが感じられない場合、多くの人が仕事そのものに苦痛を感じるようです。そのため、仕事に対してやりがいや達成感を感じていない社員は会社への帰属意識も低くなり、離職してしまう確率が高くなります。

企業の将来性に対する不安を解消できていない

企業の将来性に対する不安も、退職理由に多いものの一つです。企業の将来性とは、利益率や成長率、社員の増加率などを指します。企業が今後も存続できるかどうかは、社員の実生活や今後の人生設計に大きく関わります。そのため、企業の将来性が上位にランクインしていると推測されます。会社側が想定している以上に、社員は企業の将来性を常日頃から見極めています。変化の激しい現代において企業の将来性を確保することは難しい課題ではありますが、社員のリテンションを考える上では重要な項目です。

社員にとって、円満な人間関係を構築できていない

人間関係を理由とした退社もとても多く見られます。日常的に接する人との関係がうまくいかないと、社員には大きなストレスが溜まり、働くことを苦痛だと感じやすくなります。人間関係の悪化は仕事に支障をきたすことも多く、大変根深い問題です。表面化しない問題も生まれやすいため、対策には慎重さが求められます。

残業や休日出勤などの拘束時間が長い

拘束時間の長さも、主な退職理由の一つです。平日の残業や急に入る休日出勤は、社員のプライベートを浸食します。昨今ではプライベートを重視する人も増えているため、この項目は近年急上昇している項目となっています。また、残業の過多による精神障害や事故は、パワーハラスメントなどコンプライアンスの面から企業に対する取り締まりが強化しています。企業の成長のために労働時間が長くなることは、役職によっては致し方ない面もありますが、拘束時間の長さは常に気を配るべき項目です。

リテンション施策を行う際のポイント

ここでは、リテンション施策を行う際のポイントについてご紹介します。

事前に社内調査を行う

退職の原因は社員によって様々なので、現在の社内でどういった問題が発生していて、どういった原因で退職しそうなのかを見極める必要があります。誰が退職しそうかを見極められるのがベストですが、社員が常に本音を探してくれるとは限りません。匿名で社内問題に関するアンケート調査を行い、割合の多い問題から対処していくのが現実的な対応となります。

原因に合わせた適切な施策を実行する

社内調査で判明した原因に対して、適切な施策を実行します。リテンションのための施策は本当に様々ですが、原因に対する解決策がズレてしまっては何の効果も生みません。予め様々な原因とそれに対する解決策をリストアップしておき、すぐに施策を打てるようにしておくと効果的です。

組織の原因分析ができるエンゲージメントサーベイ

アチーブメントHRソリューションズのエンゲージメントサーベイは、特許技術を用いて組織のエンゲージメントを調査・レポーティングします。また、調査項目の設定や施策の立案を人事コンサルタントとデータアナリストがサポート。測るだけで終わらず、施策で完結するエンゲージメントサーベイをご提供いたします。

社員のリテンションのための施策

次に、社員のリテンションのための施策についてご紹介します。

・人事評価制度の見直し

・企業理念の浸透

・企業のビジョンや事業計画を共有する

・部署異動や配置転換を行う

・働きやすい労働環境を整える

・社風に合った人材を採用する

では、それぞれについてご紹介していきます。

人事評価制度の見直し

給与の低さに対しては、人事評価制度の見直しを行うと効果的です。社員の実力や実績に応じた適切な評価を行い、必要に応じて賞与も与えることが重要です。給与を引き上げるのはなかなか難しい問題ではありますが、給与を低く維持した結果、社員が退職してしまう方がリスクとなります。社員が相次いで退職してしまうと、他の社員への業務のしわ寄せが負担となって、さらなる退職を呼び込みます。また、新しい人材を採用するためのコストも上昇していきます。内部留保を出し惜しみせず、社員に還元することが大切です。

企業理念の浸透

社員がやりがいや達成感を感じられていない場合、その原因の多くは社員が会社での働く意義を見出せていないことにあります。これに対しては、企業理念を浸透させることが有効な解決策です。企業理念が浸透することで、社員には明確な意識付けが行われるようになります。

理念とビジョンを浸透する3つのソリューション

「自社の経営理念は明確になっているが、その理念が思うように社員に浸透していかない……」そんなご相談を多くの企業様からいただきます。アチーブメントHRソリューションズは、「診断ツールによる診断」「策定と浸透戦略のコンサルティング」「浸透を促進する研修」という3つのソリューションを組み合わせて、企業様の理念浸透をご支援いたします。

企業のビジョンや事業計画を共有する

企業の将来性への不安に対しては、企業のビジョンや事業計画を共有することで対応することが重要です。来年、会社はどういった事業を中心に展開していく予定なのか、年間目標は何なのかなど、できるだけ具体的に示します。会社の将来性への不安は、経営層が明確なメッセージを発信して社員を説得することでしか解決されません。全社会議や月初会議で、定期的にビジョンや事業計画を共有すると効果的です。

部署異動や配置転換を行う

人間関係で悩んでいる社員に対しては、まず社内に相談窓口を設け、その社員の悩みを聞くことから始めます。明らかに問題がある場合は、部署や当該社員に注意を加え、静観します。それでも解決しない場合は、社員の部署異動や配置転換で対応します。その際、あくまでも左遷ではなく、人間関係の都合で異動となったことをしっかり伝えることが重要です。これが左遷と受け取られると、社員のモチベーションが下がるため、また別のリテンション施策が必要となってしまいます。

働きやすい労働環境を整える

拘束時間の長さに対しては、働きやすい労働環境を整えることで対応します。まずは労働時間を減らすことが重要ですが、解決策はそれだけではありません。各社員の能力や体調に合わせた就業時間や就業場所を設定することも一つの方法です。例えば、体調がすぐれない社員に対しては昼からの出勤や早退を行えるようにすると効果的です。また、家やカフェで作業してもよい職種は、積極的にリモートワークを導入すると社員の満足度も向上します。

社風に合った人材を採用する

これは解決策ではありませんが、社風に合った人材を採用し続けていくことが、リテンションの予防策としてとても有効です。社風とマッチした人員を採用することで、人材の定着率が高まり離職率が下がるため、結果的に採用コストも抑制できます。そもそもリテンションをしなくてもいいようにする、という方法もあります。

まとめ

本記事でご紹介したリテンション施策は、「人事評価制度の見直し」「企業理念の浸透」「企業のビジョンや事業計画を共有する」「部署異動や配置転換を行う」「働きやすい労働環境を整える」「社風と合わない人員はそもそも採用しない」の6つです。リテンション施策は本当に様々な方法があるため、まずは目的を明確にした上で、社内調査を実施して自社の不満の源泉を調査し、それに対して適切な施策を選択して実行していくことが重要です。

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アチーブメントHRソリューションズ株式会社

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