OKRとは?MBOやKPIとの違いや運用上のポイントを解説

OKR(Objectives and Key Results)とは、目標管理手法の一種です。OKRは1970年代にIntelで初めて導入され、現在ではGoogleやFacebook等でも採用されていることで注目されています。今回は、このOKRがどのようなものなのか、同じような目標管理手法であるKPIやMBOとどのように異なるのか、また、運用方法やポイントについて紹介していきます。

OKRとは

OKRとは、Objectives and Key Resultsの頭文字をとったもので、「目標と主要な成果」と訳される目標管理手法です。OKRは、Intel社の元CEOであるアンディ・グローブ氏がMBOを改良して作ったものであり、1970年代にIntel社で初めて導入されました。

当時のIntel社は、マイクロ・プロセッサ市場において、高性能製品を有するモトローラに大変苦戦を強いられていました。しかし、この危機に対して、顧客の総合的なサポートの質で勝負をする「オペレーション・クラッシュ」という作戦を展開し、危機を乗り越えました。この熾烈な競争において重要な役割を担っていたのがOKRだと言われています。

OKRの目的

OKRは、目標管理手法の一つではありますが、その目的は単なる目標の管理ではありません。ただ目標を管理するのではなく、目標とその進捗を組織全体で共有することで、『社員のモチベーション維持と組織全体で大きな成果を作り出すこと』を目的としています。

目標を組織全体で共有するために、OKRでは、Objectives(目標)とKey Results(主要な成果)という2つの要素を幾層にも設定することで、組織全体の目標と個別の具体的な目標のつながりを明らかにしていきます。

ですので、OKRを作成する場合は、作成したOKRを組織の全員がいつでも確認できるように、常に公開しておくことが前提とされています。また、可能であればObjectivesとKey Resultsの進捗も頻繁に更新し、いつでも現在地を確認できる状態が理想的です。

Objectivesとは

Objectivesとは、OKRを行う際に設定する目標のことです。「何を成し遂げたいのか?」「どんな成果を作り上げたいのか?」といった最終ゴールが、Objectivesとなります。Objectivesの設定方法については、SMARTな目標などを参考にすることをオススメします。ですが、企業全体のObjectivesなど、OKRの最上層に設定されるObjectivesについては、組織のビジョンなどを掲げることがあるため、定性的なものでも良いとされています。

SMARTな目標とは、下記の5つの要素を満たした目標のことです。

1.Specific(具体的な目標)
誰が読んでも同じ解釈になるよう、具体的な表現と明確な文章構造で書き表すこと。

2.Measurable(測定可能な目標)
目標の達成度合いが明確に判断できるよう、定量的な数字で書き表すこと。

3.Achievable(達成可能な目標)
設定する目標が机上の空論にならないよう、過去の実績や具体的な根拠を基にした達成可能なものであること。

4.Related(経営目標に関連した目標)
経営方針や事業戦略との一貫性があり、組織の目標に関連性のあるものであること。

5.Time-bound(時間的な制約がある目標)
目標が達成できたか否かを明確にするため、達成までの期日が明確に記されたものであること。

・2020年までに日本一DL数が多いニュースアプリを開発する

・2020年までに自社ブランドの飲食店を10店増やす

Key Resultsとは

Key Resultsとは、設定したObjectivesを達成するために必要な成果のことです。Key Resultsは、一つのObjectivesに対して3〜5個程度が理想な数だと言われています。また、Objectivesと同様に定量的な数字で記述します。

・新規ダウンロード数前期比20%UP

・ユーザのアクティブ率50%以上

・年間売上1億円以上

・店舗マネージャーを10人育成する

OKRの特徴

続いて、OKRの特徴について解説していきます。

達成の基準を高く設定する

OKRでは、Objectivesをやや高い難易度で設定します。具体的に言うと、達成度が6~7割であったとしても十分な成果だと言えるくらいの難易度です。Objectivesの難易度が高いため、それを実現するために必要なKey Resultsも当然レベルが高くなります。

このように、ObjectivesとKey Resultsを高いレベルで設定すると、達成するためには組織や個人の殻を破る必要があります。そこには、新しいアイデアや新しい取り組みが必要となるため、必然的にチャレンジが増え、成功と失敗の数が増加します。これによって組織が活性化し、イノベーションを生み出していくこともOKRで得られるメリットの一つです。

常に進捗を追う

OKRの設定は、一般的な目標管理制度と同じように、1年間~半年のスパンで設定していきます。ですが、その進捗把握に関しては、毎週もしくは隔週で数字を確認していきます。短いスパンで目標の進捗を確認していくことで、目標達成に向けた意識を持ち続けることができます。また、目標達成に向けて取り組んでいく中で、社会や市場に変化が起き、目標を変える必要性が出てきた際には、変更することも可能です。ですが、目標を変更するにしても、その判断をするためには目標の進捗をしっかりと把握しておくことが必要となります。

OKRと他の目標管理手法(KPI、MBO)との違い

OKR以外にも代表的な企業の目標管理手法として、KPIやMBOがあります。それらとOKRとはどう違うのでしょうか。

KPIとOKRの違い

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、主要業績評価指標とも言われます。KPIは、目標に対する達成度を定量的に評価するための指標のことで、OKRにおけるKRと似ているところがあります。ただし、KPIの場合は、部署やチーム単位で行うプロジェクトの達成度を計測するためのものです。それに対して、OKRはプロジェクトや一部門にとどまらず、全社の組織目標に関わるものであり、KPIとは規模観が大きく異なります。また、OKRではやや難易度の高い目標を設定するのに対して、KPIの目標は100%で満足できるものです。つまり、OKRとKPI の違いは、目標の規模と達成難易度というところにあります。

MBOとOKRの違い

MBOとは、Management by Objectives and self-controlの略であり、マネジメント手法の一つです。日本では、目標管理制度の一部として、多くの企業に取り入れられています。MBOとOKRは、目標管理という観点から、その違いが頻繁に比較されており、MBOとOKRは全く別物と捉えられていることがあります。ですが、実は、OKRはMBOを発展させたものであり、根本的な目的はほとんど同じです。

MBOでは、部下が目標の案を作成し、上司(組織)とのすり合わせを行うことで、部下にとっても組織にとっても納得のいく目標を設定します。定めた目標の進捗管理を通して、上司は部下がモチベーションとコミットメントを維持できるようにサポートをおこないます。そして、目標が達成されると、それが部下の自己実現と組織の貢献になるという仕組みです。つまりMBOとは、目標の合意と管理を通して、部下のモチベーション維持と組織への貢献を創ることを目的としています。

一方でOKRは、難易度の高い目標設定と、目標と進捗の全体共有を通して、社員のモチベーション維持と組織全体で組織の成果を作り出すことを目的としています。確かに、目標設定を70%の達成でも十分に満足できるほどの高いレベルで行うことや、目標を組織全体で共有すること、進捗把握を短いスパンで行うという点では違いがあります。ですが、MBOで行う個人目標と組織目標のすり合わせはOKRでも行われるものであり、部下に対する進捗把握と支援はOKRでも行われます。その意味で、MBOで行われていることは、基本的にもOKRでも行われており、OKRの場合はプラスでいくつかの特徴があると考えるとわかりやすいです。

OKRがもたらすメリット

そんなOKRを実施することで、組織には次のようなメリットをもたらします。

業務の効率化

OKRは短いサイクルで目標の達成度や見直しが行われるため、社員の目標に対する意識を高く保つことができます。また、組織の観点から見た業務の優先順位が明確になり、効果的な業務に集中することができるようになります。

コミュニケーションの活性化

OKRを実施する場合、基本的には組織全体の目標を、誰でもいつでも確認できる状態を整えます。そのため、いち社員であっても、その他部門や上司の目標、さらには会社全体の目標を見ることができます。それによって、組織を達成に導くための会話がしやすくなり、組織全体のコミュニケーションが活発していきます。

エンゲージメントの醸成

先ほども述べたように、OKRを実施する場合、社員は会社や部門の目標をいつでも誰でも知ることができます。それによって、自分の普段の業務が会社の目標に対して、どのような影響を持っているのかが感じやすくなります。自身の受け持つ業務が、組織の達成に貢献していることが実感できれば実感できるほど、社員のエンゲージメントは醸成されていきます。ですので、OKRの実施はエンゲージメントの醸成にも効果的であると言われています。

OKRの運用方法

それではOKRを目標管理に導入するには、どのようにすればよいのでしょうか。OKRの運用方法とそのポイントを見ていきましょう。

OKRを運用するには「設定」「進捗確認」「評価」という流れを繰り返すことになります。

OKRの設定

OKRの設定には、「会社のOKR」「部門のOKR」「(マネージャー含めた)個人のOKR」の3段階があります。OKRの決定はトップダウンではなく、各部門や社員によるボトムアップの意見やフィードバックを踏まえて行うのが理想です。ですが、基本的には会社全体のOKRは経営者が、部門のOKRは部門の責任者が、個人のOKRは各自の社員が決めます。

ここで重要なのは、それぞれが定めた目標に一貫性が取れているかどうかについて議論を行い、すり合わせを行うことです。各自が目標を好きなように設定するのではなく、それを元にコミュニケーションを行い、組織全体として納得感のあるOKRを作り上げていくことが必要となります。

OKRの進捗確認

1回あたりのOKRの実施期間は四半期~1年間です。その実施機関の最中には、週1回~隔週程度の割合で進捗確認を行うのが理想です。進捗確認では、目標の数字を更新することはもちろんですが、これまででうまくいかなかった点やうまくいった点、想定される課題や、今後取り組む挑戦などについても共有することをオススメします。

OKRの評価

OKRのサイクルが終了したら、10段階評価やパーセンテージ等を用いて達成度を評価します。この達成度のスコアリングの方法は会社によって異なります。なお、OKRの達成度は、目標管理制度とは切り離し、人事評価に反映させないものだと言われています。

これについては、様々な意見があるところですが、目標管理制度とは切り離す理由としては、「評価につながるという心理的な不安から高い目標を掲げられなくなるため」と「OKRの評価方法と社内の制度の相性が悪い可能性があるため」だと考えられています。

OKRは難易度の高い目標を設定することが前提とされています。ですが、OKRを評価につなげるとその前提が崩れる可能性があるため、評価につなげないことが推奨されています。ですが、目標管理制度で設定される目標と、OKRで設定される目標の内容が大きく異なるということは基本的にはあり得ません。数字については乖離があるとは思われますが、取り組むテーマが全く違うといった場合には、目標管理制度の目標設定か、OKRの目標設定が間違っている可能性があります。目標の内容に類似性があるという点では、OKRと評価はつながっているとも捉えることができます。

OKRの運用上のポイント

では、最後にOKRを実施する際のポイントについてご紹介いたします。

OKRに対する社員の理解

まず運用時には社員に対してはOKRが何かということを説明し、他の目標管理制度の違いについてよく理解してもらうことが必要です。特にOKRの目標はKPIやMBOと異なり、現状よりストレッチした目標が望まれます。この大きな違いについては必ず理解してもらうようにしましょう。

OKRの目標の一貫性

OKRでは会社全体、部門、個人目標が一貫したものでなくてはなりません。その整合性について、社員全員が常に気を配る必要があるでしょう。また、大きな組織の場合は、各部門間での兼ね合いについても注意を払い、コミュニケーションを取っていく必要があります。

OKR進捗確認プロセスの確立

社内コミュニケーションの活性化は、OKRで期待できる大きなメリットの一つです。ですから、自然とコミュニケーションが生まれるような進捗確認プロセスを確立させましょう。その際には、進捗の可視化や共有を促すようなITシステム等の導入も有効です。

まとめ

OKRは、まったく新しい目標管理の手法として考えられがちですが、その実態はMBOを発展させたものであり、MBOと一致する点が多く存在します。そのため、「MBOがうまくいかないからOKRにしよう」という場合には、OKRを取り入れても同じ課題に直面する場合があります。OKRはMBOの発展形であり、MBOの応用版ともいえます。もし、MBOの運用が組織全体でうまくできている企業があれば、その次のステップとしてOKRに取り組んでみてはいかがでしょうか?この記事を通して、より高度な組織づくりへの挑戦に、少しでも貢献できたならば幸いです。

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アチーブメントHRソリューションズ株式会社

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