コーチングとは?意味と3つの基本、今すぐ使えるコーチングスキルを紹介

コーチングとは?意味と3つの基本、今すぐ使えるコーチングスキルを紹介

コーチングとは、個人や組織が現状から理想の状態に到達することを、より早く、より効果的に実現するための人材開発技術です。コーチングは様々な分野で利用されており、昨今のビジネス業界では1on1として再び注目を集めるトレンドとなっています。今回は、そんなコーチングの意味や基本、具体的なコーチングスキルをご紹介します。

コーチングの意味

コーチングという言葉が、現在のように「稽古をつける、指導する」といった意味で使われ始めたのは1950年頃からです。コーチングの由来は「コーチ(Coach)」から来ており、元は「馬車」という意味でした。馬車が「人や物を目的地まで届ける」という役割を持つことから使われ始めたと言われています。

コーチングとティーチングの違い

コーチングと同じような意味で使われる言葉に、「ティーチング」があります。一見違いがないようにも感じるコーチングとティーチングですが、実は指導する対象との関わり方に大きな違いがあります。

コーチングを受ける人のことを「クライアント」と呼びますが、コーチングの特徴はクライアントである個人や組織の目的・目標を達成するために理想の状態を引き出す点にあります。「クライアントに何かを与えて理想に近づける」のではなく、「クライアントが持っているものを引き出して理想に近づける」のがコーチングです。コーチングは引き出すことで理想に近づけるアプローチであるため、コーチが質問をして、クライアントに話してもらうことが進め方の基本となります。話す割合でみると、7割近くはクライアントが話をします。

ティーチングとは、コーチングの特徴と逆のアプローチをします。つまり、「クライアントに何かを与えて理想の状態に近づける」のがティーチングの特徴です。ティーチャーの持つ知識や経験、知恵をクライアントに提供することが目的であるため、コーチングとは逆にティーチャーが話す割合が必然的に多くなります。日本の学校教育ではティーチングがメインとなっており、教師が一方的に情報を発信する形式を取っています。

コーチングが活きるビジネスシーン

では、そんなコーチングはどんなビジネスシーンで必要となるのでしょうか。

コーチングが活かされる主なビジネスシーンとしては、「マネジメント」「教育」「コンサルティング」が挙げられます。

昨今、マネジメント手法として上司と部下が1対1で定期的に面談をする「1on1」が注目を集めていますが、実は1on1はコーチングスキルを使ったマネジメント手法です。

また社員の教育では、コーチングを活かすことで「考える力」「問題解決力」を鍛えることができます。先にも述べたように、日本の学校教育では教師の発信する情報をインプットすることが大半を占め、自分で考え、問題を解決する勉強はあまりしません。社会人では、問題解決力が求められる機会が多いため、社員の教育ではコーチングを取り入れる必要があります。特に、OJTなどの1対1の教育はコーチングが活かされるポイントです。

そしてコンサルティングとは、「問題解決力」が特に試される職種です。コンサルティングを簡単に言い換えると、「クライアントの抱える問題を引出し、解決方法を提示すること」と言えます。このクライアントの抱える問題を引き出すとは、クライアントの現状と理想の状態を引き出すこととも言えるため、コンサルティングではコーチングのスキルが必須とも言えます。

 

コーチングの3つの基本

では、そんなコーチングを行うにあたっての基本を見ていきましょう。

コーチングを行うにあたっての基本は、「インタラクティブ(双方向)」「オンゴーイング(現在進行形)」「テーラーメイド(個別対応)」の3つです。

参考:『コーチングの教科書』(伊藤守、2010年刊)

インタラクティブ(双方向)

インタラクティブ(双方向)は、コミュニケーションの基本とも言われており、「会話はキャッチボール」という言葉をご存知の方も多いと思います。普段の会話の中ではそう難しくない「インタラクティブ」ですが、立場での上下関係が存在する場合では、立場が上の人ばかり話していて、立場が下の人は聞き役になっているというケースがよく見られます。先にも述べたように、コーチングはどちらかが一方的に情報を発信するのではなく、コーチとクライアントとの双方向のコミュニケーションによって成立します。

オンゴーイング(現在進行形)

オンゴーイング(現在進行形)とは、言い換えると「継続」になります。一度身に付けた習慣や癖は、意識していてもすぐに直せるものではありません。教えてもらった瞬間はできるかもしれませんが、気付くと元に戻っていることがほとんどです。何かを継続するとき、「3」という数字が壁になると言われています。3日間しか続かない「三日坊主」や、恋愛では付き合ってから3か月過ぎると倦怠期に入ると言われています。また、3か月の後の壁は3年であり、人は習慣を変えるのに3年かかるとも言われています。ですから、コーチングは1度きりの教えではなく、継続的に行うのが基本です。

テーラーメイド(個別対応)

コーチングは、基本的に1対1で行います。その理由は、人によって成長の速度や効果的な関わり方が異なるからです。例えば学校のテスト勉強をするときにも、ひたすらノートに書き写す人もいれば、単語帳を使う人、声に出して読む人、ただ黙読する人など、勉強方法は人によってさまざまです。また、「ほめて伸びるタイプ」「叱られて伸びるタイプ」というように、関わり方についても人によって最適なものが異なります。コーチングでは、クライアントの目的・目標を達成するため、クライアントに合わせて最適な学習方法や関わり方を選択する必要があります。

参考:『コーチングの教科書』(伊藤守、2010年刊)

コーチングスキル

コーチングの基本を押さえたところで、実際にコーチングで使われているスキルを3つの基本に沿っていくつか紹介していきます。

インタラクティブのスキル:ペーシング

インタラクティブの中では、質問力や傾聴力など様々なスキルが必要とされますが、その中でもクライアントに話しやすい印象を与え、話を引き出しやすくするスキルに「ペーシング」があります。

ペーシングとは、クライアントの話し方、状態、呼吸に合わせていくスキルです。ペーシングで合わせるポイントには、「話し方」「状態」「呼吸」の3つがあります。

「話し方」で意識するのは、声の調子や話すスピード、声の大きさと高さ、話すリズムです。

「状態」では、クライアントの表情や感情に注目して明るさや暗さを合わせていきます。

「呼吸」では、クライアントの肩、胸、腹部に注目し、呼吸のリズムを合わせていきます。

オンゴーイングのスキル:プランニング

オンゴーイングでのポイントは、継続性によっていかに学びを習慣にまで落とし込むかにあります。どんなにいいことを学んだとしても、それによって日々の生活に変化がなければ意味がありません。そのため、コーチングは学びが身に付くようなプランニングが必要となります。そのプランニングとは、「コーチング→実践→振り返り」のサイクルを数か月単位で回すことです。先に述べたように、人は「3」の数字が壁となるので、3か月毎に「コーチング→実践→振り返り」のループを回すことをおすすめします。

テーラーメイドのスキル:行動特性による分類

人は、それぞれによって性格や個性、願望が異なります。コーチングにおいては、その違いを理解した上で関わることで、クライアントとの信頼関係が構築され、クライアントの成長をより促進することができます。クライアントの性格や個性、願望を理解するためには、目の前のクライアントがどんな傾向を持っているのかを、しっかりと観察・分析する必要があります。

観察・分析をする際には、ただ見るのではなく、見るべき観点を意識しながら行うことが重要です。そこで今回は、行動特性分析の理論として世界80か国以上で利用されている『DiSC』理論をご紹介していきます。

 

DiSC理論では、人の行動傾向を「D」=主導型、「i」=感化型、「S」=安定型、「C」=慎重型の4つに分類します。

D=主導型(Dominance)タイプ

主導型は、自分で仕切ること、自分なりのやり方で成功することを好みます。そのため人にコントロールされることを嫌がり、意思表示もはっきりとします。行動力のある主導型との適切な関わり方は、チャレンジングな目標を一緒に定め、実際の方法については本人に一任することです。ポイントとなるのは「自分で決めている」という感覚を本人に実感してもらうことです。その感覚がないと、モチベーションが著しく下がる傾向があります。

i=感化型(influence)タイプ

感化型は、社交的で人との交流を好みます。感情表現が豊かであり、周りの人を明るくするとともに、明るく社交的な場を好みます。その一方で、人に仕事に対する厳しさに欠ける傾向があります。人との結びつきを重視する感化型は、「受け入れられる」「属している」ことに心地よさを感じます。コーチングの中では、「褒める」ことや「コーチと一緒に取り組んでいく」ことを意識することがポイントとなります。

S=安定型(Steadiness)タイプ

安定型は、慣れ親しんだ方法や定められた方法に従うことを好みます。そのため変化を嫌い、新しいことへの適応が遅い傾向があります。予測不能よりも見通しのあるものを好む安定型のクライアントとの関わり方では、目標に対するアクションを一緒に具体化していくことがポイントとなります。やることが明確であればあるほど行動へのハードルが下がり、コーチングから実践への移行がスムーズになります。

C=慎重型(Conscientiousness)タイプ

慎重型は、感情よりもデータや数字といった事実を優先し、論理的な事実に基づく納得感を好みます。そのため、感情論や説明のつかない現象、根拠のない推測や改善策には拒絶反応を示します。慎重型のクライアントにコーチングをするときは、「なぜ改善が必要なのか」「なぜその行動が効果的なのか」について納得いくまで質問を受け、説明する必要があります。本人のなかで論理的に納得のいくものでなければ、結局実践に移されることはありません。ですので、とことん付き合う姿勢でコーチングに臨む姿勢がポイントとなります。

まとめ

コーチングとは、目的や目標の達成にベストな状態へとクライアントを導くことであり、ビジネスでコーチングを使うことによって、部下や同僚、お客さんを成功と達成に導くことができます。もしも、「これからコーチングについて勉強してみたい。」「今すぐにコーチングスキルが必要だ。」という方がいましたら、この記事を参考にしながら、コーチングの基本から実践してみてはいかがでしょうか?

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