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指示待ち社員の心理的傾向とは?原因と対策のヒント

指示待ち社員の心理的傾向とは?原因と対策のヒント

いつも誰かの指示を待ってしまう「指示待ち社員」。今よりもっと主体性を発揮してもらうにはどうすればよいのか。頭を悩ませている人事担当者や上司の皆さんも多いのではないでしょうか? 指示待ちの状況を改善するためには、「指示待ち社員」と呼ばれる方の心理的傾向を理解する必要があります。今回の記事では、指示待ち社員の心の中を覗いてみたいと思います。そして社内の原因を分析し、対策と成長のヒントをご紹介します。

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指示待ち社員とは?

指示待ち社員とは、「指示がないと動けない」「言われたことしかやらない」といったタイプの社員を表す言葉として使われています。どのような背景で指示待ち社員が注目されるようになったのでしょうか?

1990年以前は、単純な作業を多くの人手をかけて行うことが多い時代でした。その頃は他の人の連絡や指示を待って仕事をせざるを得ない状況も多く、上司の指示通りしっかりと仕事をしていれば評価されていました。しかし、時代が変わり単純な作業はIT技術を活用することで指示を待つことなく簡単にできるようになりました。そこで、若手社員であっても主体的に付加価値を生むような仕事をすることが求められるようになり、「指示待ち」のネガティブな側面がクローズアップされるようになってきたと言えます。

指示待ち社員の心理的傾向

このようにテクノロジーの進歩によって会社を取り巻く環境が大きく変わり続ける現代では、自ら考えて臨機応変に対応していく力が求められています。しかし、「主体性を発揮しよう」というメッセージを発信するだけでは問題は解決しません。指示待ちになってしまう状況を改善していくためには、彼らが指示待ちになってしまう心理的な理由を理解する必要があります。3つのタイプに分けて、指示待ち社員がどんなことを考えているのかご紹介します。

目標欠如型

目標欠如型は、会社や上司、自分に対して明るい将来像を描くことができていません。心の中を覗くと、以下のような声が潜んでいることでしょう。

  • 「この仕事にはどんな意義があるんだろう?」
  • 「尊敬できる上司や先輩がいない。」
  • 「会社がどう社員を評価しているのか基準もよくわからない。」
  • 「なるべく余計な仕事は増やさないでおこう。」

このタイプは、まずは自分のキャリアが見えないことで目標が欠如しています。自分がなりたい姿がはっきりしないため、言われたことだけこなしていればいいやという思考に陥っています。

また、上司や先輩を尊敬できないと思った背景には何かきっかけがあるかもしれません。例えば、会社の愚痴や他人の悪口ばかり言っている、指示がころころ変わるといった姿を見て、自分はそうなりたくないと思っている可能性があります。

リスク回避型

リスク回避型は、ミスや失敗をすることを過度に恐れています。心の中を覗くと、以下のような声が潜んでいることでしょう。

  • 「勝手に行動したらまた怒られるんじゃないか?」
  • 「自分から動いて失敗するのが怖いな。」
  • 「余計なことをすると損するのは自分だから様子を見よう。」

このタイプは、実は元々はやる気があるタイプです。しかし、どこかでミスや失敗をした時の体験が尾を引いています。その何らかの体験が強く記憶に残り自分の中で解決できていないために、リスクを避けるようになった可能性があります。

自己肯定感欠如型

自己肯定感欠如型は、仕事だけではなく自分自身に自信が持てないために人前で萎縮してしまいます。心の中を覗くと、以下のような声が潜んでいることでしょう。

  • 「今、行動した方がいいんだろうか?それとも余計なことだろうか?」
  • 「今さらこんなことを聞いたら、上司は怒るだろうな。」
  • 「忙しそうだから、話しかけるのはやめておこう。」

このタイプは、頭の中では考えていても声にならないことが多いです。コミュニケーション自体が苦手で他者に気を遣い過ぎていたり、何事も不安な気持ちが先行したりするため、行動が遅れてしまいます。


このようにタイプ別に見ると、主体的に行動できなくなっている背景は明確に異なることがわかります。一人ひとりの原因を探り、それらを1つずつ解決していく必要があります。

指示待ち社員になってしまう社内の原因

ここまで指示待ち社員とはどのような社員のことを表し、どのような心理的特徴があるのかをご紹介してきました。指示待ちになってしまう場合、本人だけの問題ではなく、社内にも原因があることがあります。

パワハラ等の劇的な体験

劇的な体験とは、極度の緊張や恐れといった強い印象を残す出来事のことです。このような体験がきっかけで指示待ち社員になってしまうことがあるので、十分に注意が必要です。職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)は職場全体の士気や生産性を低下させると指摘されています。特に以下のような社内の状況は、社員の心の傷として深く刻み込まれ指示待ちにさせてしまうことがあるため、早期改善と本人へのフォローが必要です。(2021年4月東京人権啓発企業連絡会パワハラ事例集を基に作成)

「勝手なことをするな!言う通りにしていればいいんだ。」

自分の判断だけで勝手に行動せずに、上司の意見や判断を仰ぐことは大切なことです。しかし「言う通りにしていればいい」という言葉には語弊があります。部下は今後挑戦する意欲を失くし、上司や先輩を尊敬することはできなくなってしまいます。上司に逆らうと自分が損をするという意識が植え付けられてしまう可能性もあります。したがってこのような言葉は、目標欠如型やリスク回避型の指示待ち社員を生んでしまう原因となります。

大勢の前での叱責

部下がミスや失敗をした時にもパワハラは起こりやすくなっています。例えば、周りに社員が大勢いる前で感情的に怒鳴りつけるといった行為は相手を萎縮させ、自己肯定感欠如型の指示待ち社員に繋がる可能性があります。

また、メールでも同様の状況は起こり得ます。実際に、ある課長が業務成績が悪化している社員のやる気を問題視する内容のメールを赤字の大きいフォントで作成して当課全員を宛先に入れて送ったという事例がありました。こういった行為も社員の精神的苦痛を助長します。社員の業績向上という本来の目的を達成するためには、どんな指導方法が効果的なのかを吟味する必要があります。

もちろんパワハラに該当するような振る舞いはなくしていかなければなりません。しかし、このようなパワハラに含まれなかったとしても、部下にとって上司の言動は重要な意味合いを持ちます。せっかくこれから成長していくはずだった社員が目標ややる気、自信を失い「指示待ち社員」になってしまわぬよう、感情に任せた言動には注意をしましょう。

学習性無力感に繋がる体験

学習性無力感とは、抵抗したり回避したりすることができないストレスの渦中に置かれているうちに、そのストレスから逃れようとする行動を起こさなくなってしまう現象のことです。「何をやっても無駄だ」「頑張っても意味がない」という気持ちになります。学習性無力感に繋がる具体例をご紹介します。

マイクロマネジメント

マイクロマネジメントとは、上司が部下の業務を事細かにチェックし過度に干渉してしまうマネジメントのことです。特に学習性無力感に繋がりやすい特徴として以下2つが挙げられます。

  • 部下の仕事のスケジュールや段取りを全て指示する
  • 部下のアイディアや提案を否定しがちである

部下が考える前に上司が指示を出してしまうので、部下はだんだんと自分で考えることをやめる、例え上手くいかなくても上司の責任だと考えるようになるといった悪影響があります。

そして上司に提案をしても日常的に繰り返し否定されることが続くと、「自分は何をやってもダメだ」「どうせまた失敗する」という思考に苛まれます。たとえ上司や同僚が本人のためを思って指導をしているつもりでも、的確なフィードバックを含まない否定は学習性無力感を生み出します。

仕事の成果が認められない

日常的に社内で仕事の成果が承認されないということが続くと、「正当に評価されていない」「何をしていても評価されない」と感じる場面が増えていきます。そうすると「何をしても無駄だ」と学習してしまい、能動的に働きかけることがなくなっていきます。

このような学習性無力感は日常的な出来事の積み重ねによって生まれ、結果的に指示待ちという状態を作り出します。また、学習性無力感は周囲にも伝染することがあります。例えば会社がより良くなるような意見を上司に伝えても否定されることが続けば、本人だけではなく周囲で聞いている人にも「何を伝えてもだめだ」という諦めの空気が流れます。実際に行動した人だけではなく、周囲も行動しても状況が変わらないと学習してしまうのです。

指示待ち社員の成長のヒント

それでは、指示待ち社員には今後どのように成長を促進したらよいのでしょうか?冒頭で述べた指示待ち社員の心理的傾向に合わせた対策方法をご紹介します。 指示待ち社員になってしまうのを回避するためにも、以下の3つのポイントを実践しておくことが重要です。

キャリアプランの醸成

目標欠如型の社員には、キャリアプランの醸成が有効です。それぞれの仕事にはどのような背景があるのかを説明し、どのようにお客様や会社、社会に貢献しているのかを実感できるようにします。そして成果を上げればどのように評価されて、自分の成長に繋がっていくのかを具体的にイメージできるように共有しましょう。社内で活躍している様々な上司や先輩の話を聞く機会を作ることも有効です。そうすることで自分のなりたい将来像が明確になり、キャリアプランに向かって努力するようになると主体的に働くことができるようになります。

支援関係の構築

リスク回避型の社員やマイクロマネジメントに慣れてしまった社員には、本人の力を引き出す支援が必要です。まずは本人と上司の間に信頼関係がなければ、支援は始まりません。信頼関係を構築するためには、現在のありのままを受け止めて意識的に意見を傾聴し、協働作業の時間と空間を大切にしましょう。そして上司の指示を待つことに慣れてしまっている状況を改善するためには、何事も本人が自己決定するプロセスを支えましょう。もともとやる気があった社員も多いので、本人の能力を活かすことができる役割やプロジェクトを任せることで主体的に行動できる機会を作りましょう。そして成果が出た際には十分に承認することが大切です。

モチベーションの確認

自己肯定感欠如型の社員やパワハラ体験がある社員には、本人のモチベーションを確認することが有効です。自信や楽しみが欠如している状態なので、まずはできていることを承認し、仕事が楽しいと思える成功体験を多く積んでもらうことが大切です。

まとめ

指示待ち社員とは、誰かの指示があるまでなかなか動けない社員のことです。しかし、自分から望んで指示待ちになっている社員は少ないでしょう。今回ご紹介した心理的傾向を理解し、社員が持っているやる気を引き出すような関わり方を目指しましょう。また、社内に原因がある場合には職場環境の改善から始める必要があります。

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