リーダーシップを発揮する「5つの影響力」とは
この記事のまとめ
- 組織に影響を及ぼす力は、統制的なハードパワー(叱責、報酬、地位)三つと、自律的な風土を作るソフトパワー(知見、信頼と尊敬)二つの計五つのタイプがある。
- 自律的な組織を築くには、ハードパワーを避け、ソフトパワーを極力用いることが重要であり、これにより従業員の帰属意識や生産性の向上が達成できる。
- ソフトパワーを効果的に活用するため、リーダーは学習目的を強調する会話や手順の正しさを確認し、自主的な決定ができる境界線を設定すべきである。
目次
リーダーシップを発揮する手段として、「5つの影響力」というものがあります。そして、その中でも「2つのソフトパワー」と呼ばれる手段が、自発的な組織を構築するためには、非常に重要な要素となってきます。
では、リーダーシップを発揮する手段「5つの影響力」とは、どういったものなのでしょうか?
Ken Blanchard氏の「一分間マネジャー」の共同執筆者であり、多数のKen Blanchard Companies製品を共同開発してきたDrea Zigarmi博士がATD2018で語った、「5つの力の影響~組織的なタブー~」からレポートします。
組織の中にある5つのタイプの力
階層型組織がフラット型組織に移行しつつある現代において、組織の中に影響を及ぼす力は5つのタイプがあると、Drea博士は言います。
組織に影響を及ぼす力
- 間違いを犯した人に対する叱責の影響(Coercive Power)
- 他のことを受け入れるならより多くの報酬を得られる(Rewward Power)
- ポジション、もしくは、人に仕事をさせるための権威・立場の影響(Legitimate Power)
- どのように仕事をすべきかに関する、素晴らしいアイデア、知見を持っている人の影響(Expart Power)
- 信頼と尊敬による影響(Referent Power)
前半の3つは、ハードパワーといい、組織的な統制をする上で重視される力です。 後半の2つは、ソフトパワーといい、自律的な風土をもたらす力です。 リーダーはこれらの5つの力を使って組織を動かしているわけですが、Drea博士らが行った3年間に渡る調査の結果、
「ハードパワーを極力使わずに、ソフトパワーを用いることで、帰属意識や、生産性の向上、自律的な組織を築くことができる」
と報告されていました。
自律的な組織をつくるために
Drea博士は、5つのパワーの影響を効果的に活用するために、リーダーが取るべき戦略は次の3つである、と述べました。
- 目的に向けた会話をすることで、動機づけに対する見通しを持つ
- 手順の正しさを確かめる
- 自律的なサポート原則をマネジャーに与える。
≒ある程度の範囲をはっきり決めて、その範囲内で自主的に決定できるルールをつくる
では、それぞれの戦略で取るべき行動のチェックポイントを紹介します。
動機づける会話の4か条
- 仕事の目的だけではなく、学習の目的を強調する
- 選択肢の探求や別の選択枝を提示し、問題を解決することを助ける
- ゴールを成し遂げることが個人的な価値観にどのように反映しているか尋ねる
- 結果を出すことが、何を意味しているかを尋ねる
手順の正しさを確認するための5つのチェックリスト
- すべてのステークホルダーの声を持っているか?
- 真実を言う人に罰則を与えていないか?
- バイアスに惑わされていないか?
- 意思決定に活用される情報の正確さは確認されているか?
- 適切な時間が経過した後で意思決定の評価はなされているか?
自律的なサポートの3つの原則
- 境界線をしっかり説明し、境界線に基づく選択をする
- 目標設定を協力して行い、組織のニーズに合わせる
- 価値ある情報としての目標とタイムラインを用意する
「正しい目的を認識し、正しい手順で仕事進めることができ、自己判断するための環境が用意された時、ハードパワーによる影響が押さえられ、ソフトパワーによる自律的な組織風土が培われていく」とDrea博士は締めくくりました。
最後に
レポートでは、結論だけを簡単に報告いたしましたが、調査の結果は、5つの力が、感情・モチベーション・心理的ニーズにどんな影響を及ぼすか、についても詳しく言及されていました。どの報告もKen Blanchard氏と共同で仕事をしてきたDrea博士だけに、邦訳されたKen Blanchard氏の主張を裏付ける内容が多く含まれています。 特に、ソフトパワーを組織適用する3つの戦略は、Ken Blanchard氏の書籍で提案するアイデアを実践する上での一つの指針として、参考になるのではないでしょうか?
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