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従業員満足度(ES)とは?向上のメリットや取り組み事例を紹介

従業員満足度(ES)とは?向上のメリットや取り組み事例を紹介

従業員満足度とは、従業員が会社や仕事に対して抱いている満足度です。昨今、この従業員満足度を向上させることを課題としている企業が多く存在します。そこで今回は、従業員満足度とは何かといった基本の確認から、従業員満足度を向上することでどんな効果が得られるのか、従業員満足度がどんな要素で構成されているのか、そして従業員満足度を向上させる取り組みの事例までを紹介していきます。

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従業員満足度とは

従業員満足度とは、従業員が企業のビジョン、仕事内容、労働環境、職場の人間関係、給与、待遇などを含む、会社全体に対して抱いている総合的な満足度です。従業員満足度はESと表現されることもあります。このESとは「Employee Satisfaction」の略です。

この従業員満足度と関連の深い言葉に、顧客満足度があります。顧客満足度はCSと表現されることもありますが、このCSとは「Customer Satisfaction」の略です。日本では、顧客満足度のほうが広く認知されている傾向にあります。これはかつての日本で、「顧客満足度の向上させることがより良いブランディングと商品開発につながる」という考え方が「いいものを作れば売れる」という日本独自の考えにマッチしたことで流行ったからです。もちろん、顧客満足度の向上は現在においても非常に価値があります。ですが、顧客満足度を追い求めるあまり従業員の満足を犠牲にした結果として、会社のパフォーマンスが下がるというケースが見られるようになると、その注目度は下がっていきました。実際、Google Trendによると2010年を境に「顧客満足度」の注目度が急激に低下していることが分かります。

顧客満足度の検索数推移

昨今の日本では、労働力不足に伴う採用競争の激化がトレンドとなっており、顧客満足度と人材確保の両面にメリットを持つという点で従業員満足度が注目されるようになりました。現在では、「従業員満足度なしに顧客満足度なし」とも言われるほど、顧客満足度よりも従業員満足度が重視される傾向にあります。

従業員満足度の向上で得られる効果

では、そんな注目度の高い従業員満足度ですが、実際に従業員満足度が高まることでどのような効果が得られるのでしょうか。そこで、従業員満足度を向上することで得られるとされている代表的な5つの効果をこれよりご紹介していきます。

人材の確保

従業員満足度が高いということは、従業員が全体的に会社や仕事への満足度が高いということであり、満足度が高ければ高いほど、より長くその企業で働きたいという気持ちになります。そのため、従業員満足度を向上すると従業員の離職率が下がるとされています。また、従業員が満足しながら働いている会社は、その満足度が評判となって会社の魅力にもなります。その魅力が採用においてもポジティブな影響を及ぼし、採用選考への応募者の増加につながります。

モチベーション向上

会社の方針と仕事内容への満足や目標達成に対する承認、自身の成長を実感できることが従業員満足度を向上させます。そして、この満足度は従業員の仕事へのモチベーションを向上させます。「もっと達成したい」「もっと成長したい」という気持ちを持った従業員が増えれば、それが企業の風土にもなります。

生産性の向上

従業員満足度には、上司や同僚との人間関係が大きく影響してきます。ですから、従業員満足度が高い会社というのは、職場での人間関係が良好であることも表しています。良好な人間関係は、組織・チームとして生産性高く働く上では欠かせません。「生産性が高く、成功を収める組織・チームであるために必要なものは何か?」についてGoogleが調査した結果、思ったことを不安なく言える雰囲気や、従業員同士の信頼関係が必要であるという結論が出されました。ですから、上司や同僚との人間関係への満足度を向上させれば、生産性の向上が期待できます。

Google調査に関する詳細は、こちらを参照ください。 心理的安全性とは?Googleが注目した成功するチームの共通点

顧客満足度の向上

従業員の満足度を向上させることが、顧客満足度を向上されていると言われています。従業員それぞれが自身の仕事に満足しているということは、仕事内容に価値を見出しているということです。もし、サービス業で顧客との接客を業務としている従業員が、その接客に価値を感じているとしたら、おのずと接客の仕方にもこだわりが生まれ、結果として顧客の満足度の向上につながります。

従業員満足度を構成する要素とは

従業員満足度を向上させることで得られる効果には、先にも述べたように昨今の日本企業が抱えている課題と大きな関わりがあります。そのために現在、従業員満足度は大きな注目を集めているのです。では、従業員の満足とは具体的にはどのような要素で構成されるのでしょうか?

実のところ、従業員満足度を構成する要素は非常に多岐にわたり、従業員の数だけ異なる要素があるとも言えます。そこで今回は、従業員満足度を構成する要素の中でも重要度の高いものを、フレデリック・ハーズバーグの「動機付け・衛生理論」に基づいてご紹介していきます。

ハーズバーグの動機付け・衛生理論

動機付け・衛生理論は、アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが1950年代後半に発表した研究結果です。この動機付け・衛生理論では、従業員満足度において満足をもたらす要因と、仕事に不満足をもたらす要因は、まったく別のものだと言っています。

動機付け要因

動機付け要因とは、従業員満足度において満足をもたらす要因のことを指します。この要因は、「精神的に成長したい」という人間として高レベルな欲求を満たす要因だとも言われています。具体的な要因としては、下記のものが挙げられます。

  • 目的と目標の達成:チームや個人の仕事をする上での目的や目標を達成すること
  • 成果に対する承認:仕事で出した成果に対して周りからの称賛、表彰を受けること
  • 仕事内容:満足のいく仕事の内容に取り組めること
  • 自分の負っている責任:権限が与えられることや仕事を任されること
  • 昇進:組織内の官位、地位が上がること
  • 成長:自身の能力が伸びていると実感すること

衛生要因

衛生要因とは、従業員満足度において不満足をもたらす要因のことを指します。この要因は、「苦痛や欠乏状態を避けたい」という、動物としての低レベルの欲求であると言われています。具体的な衛生要因としては、下記のものが挙げられます。

  • 会社の方針 :会社の経営理念やビジョン
  • 監督方法 :上司、マネージャーのマネジメント方法
  • 監督者との関係 :上司、マネージャーとの人間関係
  • 労働条件 :雇用形態や労働時間などの就労条件
  • 給与 :労働に対する報酬
  • 同僚との関係 :地位、官位に差のない人との人間関係
  • 私生活の充実度 :満足のいく私生活を送れているか

従業員満足度を向上させる取り組み事例

従業員満足度を向上させるには、上記のように多岐にわたる要素の中から自社が取り組むべき課題を抽出し、改善するための施策を打っていく必要があります。今回は、従業員満足度を向上させる要素のうち、「会社の方針」から従業員満足度を高めたスターバックスコーヒージャパン株式会社(以下スターバックス)の事例をご紹介します。スターバックスはVORKERSが行った「2018年のサービス業界における顧客満足につながる社員満足ランキング」で5位にランクインしています。

今回は、VORKERSが行った「2018年のサービス業界における顧客満足につながる社員満足ランキング」で5位にランクインしたスターバックスコーヒージャパン株式会社(以下スターバックス)が、従業員満足度を向上させる要素のうち、「会社の方針」から従業員満足度を高めた事例をご紹介します。

「顧客満足」は「社員満足」から。質の高いサービスを支える社員満足ランキング

グリーンエプロンブックカード

スターバックスの店内には、グリーンエプロンブックカードと呼ばれるカードが用意されています。そのカードの利用目的は、自分以外のパートナー(店員)で素晴らしい接客をしていた人に、何が素晴らしかったのかをフィードバックするためのカードです。このグリーンエプロンブックカードを5枚もらうと、お店から表彰がもらえるそうです。自身の接客が常に見られているという緊張感と共に、日々の努力や実践がきちんと評価されていることが実感でき、従業員満足度の向上につながっているそうです。

こまめな給与改定

スターバックスは、パートナー(店員)の職務レベルが非常に細かく設定されています。「バンドレベル」という名で呼ばれ、それによって給与が変わります。バンドレベルが上がるには、スキルの習得が必要であり、スキルが身についたと店長が判断するとバンドレベルが上がります。

このための人事考課と給与改定は、アルバイトであっても3か月に1回のペースで行われます。つまり、3か月ごとに給与を上げることも可能だということです。これだけ短いスパンで成長が評価されるからこそ、それぞれのパートナー(店員)が成長に意欲的であり、成長を実感できるのでしょう。

模範的な行動への承認

とあるスターバックスのお店、そこに働く女性社員がある日一人の男性客から相談を受けます。「娘が病気の治療のためにアメリカに行くのですが、日本で最後の朝ご飯は何がいいかと聞いたいら、『スターバックスの焼きたてのシナモンロールがいい!』と言うんです。飛行機の出発が早いのですが、開店時間よりも早い時間にシナモンロールを売っていただけないだろうか?」

女性社員は悩みました。なぜなら開店時間よりも早い時間でのお金のやり取りは禁止されていたのです。ですが、女性社員は悩んだ末にシナモンロールを売ることに決め、その男性客の娘がアメリカに出発する日、シナモンロールを開店前に届けました。

もちろん開店前の売買は規則違反ですので、会社に報告しなくてはいけません。女性社員は報告書を作成して、会社に提出しました。

この内容を耳にした当時のCEOは、本社に勤める全社員が参加する朝礼と全店舗に向けて配信されるメールの中で、この就業規則を破った女性社員の行動を絶賛しました。スターバックスの理念である「人々の心を豊かで活力あるものにするためにーひとりのお客様、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティーから」に基づいたすばらしい対応だと。

スターバックスでは、このような機転の利いたすばらしい対応が多く報告されています。このような対応が生まれるのは、理念に基づいた行動に最大の称賛が贈られるからではないでしょうか。「会社の方針」に基づいて行動をした社員に対して称賛が贈られる、そのような仕組みや制度を導入することで、「会社の方針」という面から従業員満足度を向上することができます。

まとめ

従業員満足度を構成する要素は、非常に多岐にわたります。ですので、一口に「従業員満足度を向上させる」といっても、企業によって取り組むべきポイントは大きく変わってきます。もし、従業員満足度を改善しようとお思いでしたら、この記事を参考にしながら、自社における課題がどのポイントにあるのか、まず始めに洗い出してみることをおすすめします。

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