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エモーショナルインテリジェンスがリーダーに欠かせない理由

この記事のまとめ

  • エモーショナルインテリジェンス(EI)は心の知能であり、GEのジャック・ウェルチ氏が重要性を語るように、本からの知性よりもリーダーに不可欠な能力である。
  • EIの向上は、ロレアルやコカ・コーラの事例が示すように、高い目標達成率や収益をもたらすとともに、従業員の転職率を大幅に低下させるなど具体的な経済効果を生む。
  • EIの向上は、ロレアルやコカ・コーラの事例が示すように、高い目標達成率や収益をもたらすとともに、従業員の転職率を大幅に低下させるなど具体的な経済効果を生む。

目次

Boston Women's Business Journalでトップ10のエグゼクティブ・コーチの1人に選ばれたRita B Allen氏がATD2018で語った「リーダーとしてのエモーショナル・インテリジェンス(EI)開発」について、レポートします。

エモーショナルインテリジェンスがリーダーに必要な理由

エモーショナルインテリジェンスとはなにか?

エモーショナル・インテリジェンス(EI)は心の知能と訳され、リーダーが備えるべき能力の1つとして注目されています。日本ではエモーショナルインテリジェンスの指数を表すエモーショナル・インテリジェンス・クオーシェント(Emotional Intelligence Quotient)の方が用語としては聞き慣れている方も多いのではないでしょうか。エモーショナルインテリジェンスは心理学者であるダニエル・ゴールマンが書籍や新聞記事に紹介したことをきっかけに、ビジネス界においても広まりました。

なぜリーダーにはエモーショナルインテリジェンスが必要なのか?

Rita氏はエモーショナルインインテリジェンスとリーダーシップの関係性を示唆する上で、GEの会長であるジャック・ウェルチ氏の言葉を紹介しました。

EQのような情緒的要素はリーダーが備えるべき能力の1つとして外せない。EQを備えているリーダーは、本から得られる知性を持っているリーダーよりも稀であるが、私の経験上はEQという能力を備えていることの方がはるかに重要であると考えている。我々はEQという能力の存在を無視することはできないのだ。

Rita氏は「最高のリーダーは相手の感情をくみ取ってあげることができる」と続けました。

エモーショナルインテリジェンスがもたらす効果

Rita氏はエモーショナルインテリジェンスがもたらす効果として実際のケーススタディを3つ紹介しました。

ロレアルの営業パーソンの事例

ロレアルの営業はEIを土台としたコンピテンシーを備える営業パーソンは そうでない営業パーソンよりも、初年度に91,370ドル多く売り上げ、 収入は250万ドルを超え、更に転職率が63%下がるという結果がでました。(Cherniss,2003)

コカ・コーラの部門リーダーの事例

コカ・コーラではEQのコンピテンシーを開発した部門リーダーは、 そうでないリーダーに比べて目標の達成率を15%以上も上回りました。 EQを開発しなかった部門リーダーは、同じマージンで目標を達成できませんでした。(McClelland,1999)

米空軍の採用における事例

米空軍は高いEQを持つ候補者を採用することで、 転職率を年間35%から5%にまで減らすことに成功しました。 これによって1万ドルの投資によって年間300万ドルを節約したことになります。(GAO Archive)

このようにエモーショナルインテリジェンスの存在は具体的な経済効果をもたらすことを証明しているといえそうです。

エモーショナルインテリジェンスの4つの領域と高めるポイント

Rita氏はエモーショナルインテリジェンスは4つの領域で構成されていると言います。

  • 自己認識(Self awareness)
  • 自己管理(Self management)
  • 社会的認識(Social awareness)
  • 関係性管理(Relationship management)

上記の4つの領域を高めていくことで、EIを開発することが可能になるそうです。

各領域を高めるポイント

では、どうすればそれぞれの領域を高めることができるのでしょうか。Rita氏はそれぞれの領域について、高めるためのポイントを語りました。

自己認識(Self awareness)

  • 自分の感情や自分自身を深く知ること
  • 自分には思考の枠組みがあることを受け入れ、感情が動くきっかけを理解する
  • 自分の感情の他者への影響について理解する
  • 他者からのフィードバックを歓迎する、周りの人の洞察に耳を傾ける
  • 自分にストレスを引き起こすものを知る

自己管理(Self management)

  • 積極的傾聴者になる
  • 目的をもって学習する
  • 呼吸方法を練習する(心と身体をリラックスさせる方法を学ぶ)
  • 自分自身が何を言っているのかを管理する
  • ポジティブであり、ユーモアを使う
  • 変化を歓迎し、受け入れる

社会的認識(Social awareness)

  • 他者を深く理解しようとする、個人的な興味を持つ
  • 他人の状況に自分を置き換えてみる
  • 笑顔で温かいふるまいをする、表現する

関係性管理(Relationship management)

  • 意識的に他者との人間関係を育む
  • 他者の思想やアイデアに対して広い心で受け入れる
  • 肯定的かつ効果的に衝突を解決する
  • 他人の情熱や動機、興味、感情を理解する、受け入れる
  • 意見が違っていても他の人の経緯を払って人の話を聞く

リーダーがエモーショナルインテリジェンスを高める上で力点を置くポイント

Rita氏は特にリーダーのEI開発に関して5つのポイントを紹介しています。

  • 内面の強さを開発すること
  • 共感の文化形成をすること
  • 様々な能力や部署を超えた人間関係を育めるようにすること
  • 継続的な学習に支援や投資をすること
  • 成果をはかるための定性的・定量的な指標を補強すること

まとめ

「エモーショナルインテリジェンスを高める上では、自分のことをどれくらい理解しているかが重要です。何が引き金になってプラスにもマイナスにも自分の感情が動くのか、そのきっかけを知ることから始めましょう」とRita氏は話していました。ぜひできるところから、エモーショナルインテリジェンスの能力開発に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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