新型コロナが新人育成に与えた影響の調査結果を公開。約半数の企業が「新人育成の7割以上変更」

新型コロナウィルスの流行により、予定していた新人育成を思うように実施できていないという企業様も多い中、弊社では、「コロナは新人育成をどう変えたか?」と題しまして、20卒新人に向けて各社が行った教育施策のアンケートを実施いたしました。
本コラムでは、新型コロナウィルスの流行が、新人の育成と組織社会化に与えた影響のアンケート結果を公開。実態に迫りたいと思います。

目次

新型コロナの新人育成への影響

新型コロナウイルスの流行により、様々な影響があると思います。その中でも、2020年4月入社の新入社員の育成への影響は大きいのではないかと思います。新型コロナウイルスが各社の新人育成に与えた影響について、アンケート調査を行いました。下記は、その集計結果をまとめたものです。

Q1.新型コロナウイルスの流行によって新人育成に影響があった度合いについて教えてください。

約半数である46.8%の企業が、新型コロナウイルスの流行により、新人育成に対して70%以上の影響を受けているということがわかりました。
また、全く影響を受けず、全てを計画通りに行った企業は全体の2.7%であり、97.3%の企業が、新型コロナウイルスにより、何らかの育成プログラムの中止・変更を余儀なくされたことがわかりました。

Q2.新型コロナウイルスの流行によって、変更・中止したものはどのようなものですか?(複数回答)

新人育成への影響の中でも、上位5位が、過半数の方々が影響を受けたものが、「社内で実施する入社時研修」、「歓迎会・懇親会」、「入社式」、「社外に委託する入社時研修」、「勤務場所」でした。厚労省からも公表されている通り、「三密」(密集、密閉、密接)を避け、集団感染の防止に取り組まれた企業様が多かったのではないでしょうか。研修や入社式については、「オンラインへの切り替え」、「換気の徹底や参加者同士の距離を保ちながらの実施」のほか、「中止」や「延期」を余儀なくされた、というお声も多くありました。

入社式、OJT制度への影響

2020年4月7日に緊急事態宣言が発出されました。4月7日から5月6日までの1か月間、7割から8割の削減を目指し、外出自粛や三密を防止するなどの発表があり、新入社員への対応を大きく切り替えた企業様も多くいらっしゃったかと思います。その中でも特に、入社式、OJT制度への影響に注目し、アンケートを取得致しました。

Q3.新入社員の入社式はどのように対応しましたか?

おおよそ40%の企業が、入社式を集合型で実施しているという結果でした。入社式のタイミングが、緊急事態宣言発出前だったこともあり、集合での入社式の実施に至ったケースが比較的多かったのではないかと推測できます。しかし、Q2にて、入社式に影響があった企業が74.8%であることから、集合型で実施した企業の中にも、例年通りではなく、一部形態を変更しながら実施を行った企業がいらっしゃることがわかります。また、全体の38.7%の企業が、入社式の実施を延期、中止していらっしゃり、23.4%の企業が、オンラインや動画配信での実施を行ったという結果でした。

Q4. OJT制度はどのように対応しましたか?

OJT制度については、26.1%の企業が、「特に変更なく実施している」という一方で、27.9%の企業が、OJTの開始自体を延期しているという状況にあることがわかりました。また、20.7%の企業はOJT実施をオンラインへ移行しており、18.9%の企業は実施方法を担当スタッフに委ねているという結果になりました。新入社員のみならず、OJT担当社員のリモート勤務も加速している中、新入社員との関係性の構築やコミュニケーションの取り方に、悩みを抱えるOJT担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

新入社員の在宅勤務状況

2020年4月7日に発令された緊急事態宣言は、 2020年4月16日に対象地域が全国に拡大し、うち13都道府県が、「特定警戒都道府県」に指定されました。それに伴い、在宅勤務の強い推奨もあり、急遽在宅勤務を導入する企業が全国に増加しました。現在の新入社員の在宅勤務状況や、実施に伴って不安に感じていることについてアンケートにて伺いました。

Q5.現在の新入社員の在宅勤務状況について教えてください。

全体の62.1%の企業が、現在新入社員に対して在宅勤務を実施していることがわかりました。特に28.8%の企業では一度も出社をすることなく社会人生活をスタートしている状態です。
しかし、新入社員に取り組んでもらえる業務は限定的になることもあり、十分なインプット期間も設けられない中の在宅勤務となっている企業様も多くいらっしゃることかと存じます。それもあってか、全体の10.8%の企業は「自宅待機を指示し、自宅勤務は未実施」、27.0%の企業は、「オフィス勤務を実施し、在宅勤務は実施していない」という結果になりました。

Q6.新入社員が在宅勤務を行うにあたって不安に感じることを教えてください。(複数回答)

コミュニケーションが希薄化する、という項目が上位2位を占める結果となりました。新型コロナがもたらした影響(自由回答)の中では、上司・先輩・同期以外にも、「顧客との接点を設けられなかった」という回答や、コミュニケーションの希薄化から、「同期同士の絆が生まれづらいように感じる」、という回答もありました。また、自宅待機を指示したままの企業様からは、「モチベーションが下がることが予想されるが、把握が難しく、またフォローもしづらい」というご回答や、「今年の新入社員が来年先輩になった際に、先輩としての知識を教えられるか不安」 という回答もありました。
新入社員が時間を持て余してしまうという回答も45%あり、今年の在宅勤務による不安は、今後在宅勤務が長期化することによって、より、範囲を広げていくことが予測されます。

組織適応に関わる要素への影響

新人の組織適応に関わる4要素への影響についてお伺いしました。
①人脈の学習(新人が業務を円滑に回すために必要な社内の人脈獲得)、②学習棄却(新しい環境では通用しない過去の経験や意識を捨てること)、③評価基準・役割の学習(新しい環境で求められる期待や評価軸の学習) 、④知識・スキルの獲得(新しい環境で求められる知識やスキルの獲得)の4要素に対し、新型コロナウイルスの流行はどのような影響を及ぼしたかをまとめています。

Q7.ここからは新人の組織適応に関わる要素についてお伺いします。
下記に対し、新型コロナウイルスの流行はどのような影響を及ぼしましたか?

上記4要素の中で最もマイナスの影響が大きく出たのは「知識・スキルの獲得」でした。非常にマイナスの影響、マイナスの影響を足すと、73.9%となりました。新入社員に対しては特に、入社後すぐに一定量の知識・スキルの研修を行っている企業様が多い中、研修実施が中止・延期になったことが大きく影響をしている結果であるように思います。
続いて、人脈の学習へのマイナスの影響が57.6%でした。在宅勤務の一番の不安が、コミュニケーションの希薄化であったことと大きく関連がありそうです。
そして、学習棄却については、マイナスの影響が45.0%、変わらないという回答が45%、最もマイナスの影響が少ないのは評価基準・役割の学習でした。
また、各項目、プラスの影響は15%未満にとどまりました。全体を通して、組織適応に関わる要素に対しては、マイナスの影響が大きいことがわかります。

新人育成の実施内容

新型コロナウイルスの流行に伴って、新人育成の実施内容を大きく変更された企業様もいらっしゃったかと思います。変更して対応したもの、例年通りの内容で実施したものも含めて、今年の新人育成の実施状況について、お伺いしました。

Q8.今年度の新人育成について、これまでに実施をしたことを教えてください。(複数回答)

Q9.新型コロナの流行に伴って特に変えたことはどのようなことですか?(自由回答)

◆例年新入社員は約2ヶ月間の研修を準備しているのですが、テレワーク等で人手不足で対応が困難なため、研修は中止となった。
◆GW明けまで在宅で自己学習としたこと。(資格取得に向けた自己学習と社会人基礎力のe-ラーニングの施。)
◆100%在宅で研修実施するために、コンテンツの動画化、zoomで行うために設計し直し。営業の指導方法の変更。
◆社用PC・スマホ・設定マニュアルを新入社員住居へ郵送し、自分で設定させた。設定後、オンライン研修を開始した。
◆ 3月末よりフルリモートになったため、入社式や歓迎会などは延期となりました。
一方、もともと1週間程度の研修予定だったものの、他にやってもらえる業務がない為、研修を4月末までに増やしました。急いで内容を作りながら、すべてリモートで研修を受けてもらっています。
◆研修会場の変更(より広い部屋を選ぶ)や定期的な換気を徹底したりした。

大半の企業が在宅勤務を行う中で、新人育成を実施するために、eラーニングや、社内講師でのオンライン研修を行った企業が多かったようです。自由回答でも、研修が中止になったり、自己学習システムの導入、コンテンツを動画化するなど急遽内容を作った、という回答が多く得られました。一方で、集合研修(社内講師)を実施した企業が47.7%、集合研修(社外講師)を実施した企業が18%にのぼることが明らかになり、集合研修の重要性を感じる結果となりました。

コロナウイルスによる影響

今年度は、新型コロナウイルスにより、各企業が変化を求められ、例年とは違う対応を取る必要がありました。何か月もかけて準備してきた研修を中止、変更して行うなど、人事の皆様にとっては非常に負荷のかかる期間が続いておられるかと思います。アンケートにて、コロナにより中止や変更があったことに伴い、現場にどのような影響が出ているかをお伺いいたしました。

Q9新型コロナウイルスの流行は、貴社の新人育成にどのような影響を与えたと思いますか?(自由回答)

◆入社日からずっと在宅なので、学生から社会人へ切り替えるキッカケが弱い。
◆十分な教育をうけられない事で不安があったと思う。日々変わる日程でさらに不安になったと思う。配属後も休業があったりとなかなか気持ちよくスタートを切れない事により、モチベーションが下がっていると思う。
◆例年は実習を多く取り入れた教育内容だったが、今年度に限り座学主体の知識ベースの教育になる。そのため現場でのOJT実施の際の現場への負荷増大が懸念。
◆社外集合研修から、社内でのオンライン研修となったことで、同期とのコミュニケーションは例年以上に取れた。例年はグループワークやケーススタディを通じて、体感習得していた内容が座学中心となったため、どこまで実感として身についたか気になるところです。
◆オンライン研修やe-Learningの研修付与によって、想定していた内容と相違があることで、新人研修の1つ1つの繋がりがなく一貫性を持てていない。想定していた研修効果が得られない可能性が高い。
◆新人育成の前に、会社全体に与える影響が大きすぎる。テレワークがここまで進むと、新人育成どころではなくなってしまうのが本音のところ。
◆既存のやりかたがすべてではないということに改めて気づかされた点はポジティブに捉えています。来年以降も本年度の経験を踏まえて研修カリキュラムを更新することを検討しています。
◆これまでの研修形態・意識を見直す大きなきっかけとなった。集合型が良い内容・WEBでもよい内容をと精査できた。自粛期間につき、新卒がいまどのように成長できているか不透明だが、自学する意識は高まっているように感じる。

ご回答内容からも今回のコロナウイルスに対して、急速な対応・変化が求められたことが伺えました。全体の研修や、今後の育成との連携や、個々の研修・イーラーニング同士をどのように繋ぎ合わせていくのか、ということについて全体設計まで手が回っていない企業様も多くいらっしゃったように思います。
また、その反面、コロナウイルスにより変化を求められたことから、「既存のやりかたがすべてではないということに改めて気づかされた」「これまでの研修形態・意識を見直す大きなきっかけとなった」というポジティブなご意見もありました。

 

オンライン研修に対する印象

在宅勤務が浸透し、集合研修の実施が難しくなってきたことによって、オンライン研修の導入を行う企業様も増えてきました。そこで、今回のアンケートでは、オンライン研修実施へのご意向、実施するうえで不安に思うことをお伺いしました。

Q10.オンライン研修実施に対する御社のご意向を教えてください。

Q11.オンライン研修を行う上で不安だと思うことはどのようなことですか?(複数回答)

 

オンライン研修実施に対するご意向としては、60%近くの企業様が「抵抗はない」という回答でした。その反面、オンライン研修への不安は全くないという企業様は1.8%にとどまりました。
特に、「受講生同士の対話が減少する」、「一方通行の研修になってしまう」という懸念を抱える企業様は全体の58.6%に上りました。オンライン研修になることで、相手の表情が見えづらくなり、コミュニケーションの量や質がさがることを懸念されている企業様が多いようにお見受けします。インタラクティブな学びが行えないことにより、「行動変容に繋がらない(52.3%)」、「受講生の集中力が持たない(45.9%)」ということに繋がっているように思います。

まとめ

今回の調査で、合計すると、約97%の企業様がなにかしらの変更や中止を行っており、新型コロナウィルスが新人育成に大きな影響を与えていることが明かになりました。新人が組織に馴染んでいくことにもマイナスの影響が多くみられ、新入社員のフォローは手厚く行っていくことが必要になりそうです。

■「コロナは新人育成をどう変えたか?」調査概要
調査対象:国内企業の人事・経営者の皆様
実施期間:2020年4月20日~4月24日
調査方法:インターネットを活用したWEBアンケート調査
有効回答:111社

>運営企業

運営企業

アチーブメントHRソリューションズ株式会社

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