パワハラの予防策とは?企業がいますぐできる4つの方法

近年、職場だけでなく、スポーツ業界など様々な場面において、パワハラ(パワーハラスメント)が問題となっています。パワハラが発生してからの対処法を考えることも大切ですが、それと同様に、パワハラをそもそも発生させないようにするための予防策も重要です。この記事では、パワハラの基本について押さえた上で、パワハラの発生の原因と予防策についてご紹介していきます。

パワハラとは

そもそもパワハラには、どのようなものが該当するのでしょうか。厚生労働省は2018年の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」において、職場のパワーハラスメントを3つの要素で定義しました。その3つの要素とは、以下の通りです。

・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること

・業務の適正な範囲を超えて行われること

・身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

(参考:厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書

では、それぞれについてご紹介していきます。

優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること

ここでいう優位性とは、職務上の地位に限るものではありません。例えば上司と部下という関係性であっても、部下の方が職務内容に関して専門的な知識を有している場合、知識の上では部下の方が上司に対して優位であることになります。あるいは、上司が多数の部下から集団で無視されるといった場合も、部下は集団という優位性を上司に対して持っていることになるため、行為内容によってはパワハラに該当する可能性があります。

業務の適正な範囲を超えて行われること

仕事を行う以上、業務において必要な指導というものはどうしても存在するので、そのような行為に関してはパワハラに該当しません。しかし、部下のプライベートに関して悪口を言うなど、業務上明らかに必要のない行為や、業務の目的を逸脱した行為に対しては、「業務の適正な範囲を超えた」とみなされ、パワハラに該当する可能性があります。

身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

暴力により他人の身体に攻撃を加える行為や、何度も暴言を吐いて部下を精神的に攻撃する行為は、パワハラの代表的な行為です。また、直接的な攻撃を加えなくても、部下を無視し続けたり、部下の許容量を超えた作業を支持し続けるなどの行為も、パワハラと見なされる可能性があります。

パワハラ予防が急務である理由

パワハラ予防は今後数年、企業における社内問題の最重要課題といっても過言ではありません。

パワハラ予防が急がれる理由として、ここ数年の日本政府のパワハラ防止に関する活発な取り組みが挙げられます。政府は2019年5月29日、パワハラ防止のための対策を企業に義務づける、労働施策総合推進法を成立させました。これにより、大企業については早ければ2020年の4月から、中小企業に関しては2022年の4月から、パワハラ対策が義務付けられることになりました。

これについてはあくまでも義務のため、現在のところパワハラ対策を行わなくても罰則はありません。しかしその代わり、パワハラ対策の義務化に従わなかった場合、政府によって企業名を公表される恐れがあります。社名の公表は企業のブランドイメージを低下させ、広報や採用活動に著しい影響を与えます。そのため、どのような業種の会社であっても、パワハラ予防を充分に行っていく必要があるのです。

パワハラを予防できない原因

それでは、パワハラはなぜ発生してしまうのでしょうか。ここでは、その原因についてご紹介します。

・パワハラ問題に対する社員の認識不足

・自分に優越性があることを認識していない

・マネジメント方法の変化に対する上司の理解不足

では、それぞれについてご紹介していきます。

パワハラ問題に対する社員の認識不足

まず挙げられるのが、パワハラ問題に対する社員の認識不足です。そもそもパワハラというハラスメントが存在していること、そしてそれが問題であるということを理解していない場合、その社員は無自覚にパワハラを行ってしまう可能性があります。

自分に優越性があることを認識していない

例えば部下に対する上司という立場や、上司よりも専門スキルのある部下など、地位やスキルに格差がある場合、そこには優越性が発生し、それが一種の権力となります。優越性が発生すること自体は、悪いことではありません。しかし、本人が自分に優越性があることを自覚していない場合、自分が持つ権力を知らず知らずのうちに乱用してしまい、それがパワハラにつながってしまうのです。

マネジメント方法の変化に対する上司の理解不足

日本においては伝統的に、外発的動機付けによるマネジメント方法が主流でした。具体的には、部下の現状を否定することによって成長を促したり、強制感のある雰囲気を作り出したりする方法などが挙げられます。これらは20~30年ほど前までは日本においては当然のものと見なされ、一定の成果も挙がっていました。

ただ、こうした外発的動機付けによるマネジメントは、それが上司から部下の暴力的な行為や精神的な攻撃になってしまうこともあります。それが人間の尊厳を脅かすものだとして近年、パワハラとして問題視されるようになっています。

現代世界においては、人間ひとりひとりの個性を尊重しようという意識の高まりから、内発的動機付けによるマネジメントが主流になってきています。具体的には、まずは部下の存在を承認し、部下自身が理想とする姿を上司が引き出すという方法です。内発的動機付けは部下本人が望む限り効果は持続し、組織の長期的な発展につながると考えられています。このように、マネジメントのあり方は日々変化しているのです。

しかし、こうしたマネジメント方法の移り変わりについていけずに、これまでのマネジメント方法に頼ってしまう上司はまだまだ多いようです。その結果、パワハラが発生してしまいます。

企業におけるパワハラ予防のポイント

それでは、パワハラの予防はどのようにして行っていけば良いのでしょうか?ここでは、パワハラの予防のポイントを4つ、ご紹介していきます。

・経営層がパワハラに関するメッセージを発信する

・パワハラに関する社内ルールを明確にする

・現状の実態を把握する

・社員に対してパワハラに関する教育を行う

では、それぞれについてご紹介していきます。

経営層がパワハラ予防に対する姿勢を示す

経営層がパワハラに関するメッセージを社内に発信することで、パワハラの予防をすることができます。例えば、「パワハラは社内の重要な問題であり、弊社はハラスメントのない職場づくりを目指します。もしハラスメントについて疑問や相談があれば、マネージャー以上の社員か人事に声をかけてください。」というように、明確な姿勢を打ち出していくことがポイントです。トップがはっきりとしたメッセージを発信していくことで、社内への浸透が進んでいきます。全社会議や月初会議での周知だけでなく、啓発ポスターを社内に貼るなどして、常に社員の目に留まるようにすると効果的です。簡潔なもので構わないので、パワハラに関する冊子を作成して社員全員に配布することも有効でしょう。周知には時間がかかるため、長期的な視点に立って粘り強く行っていくことが重要です。

パワハラに関する社内ルールを明確にする

パワハラに関する社内規定を明確にすることも、パワハラの予防に有効な手段です。パワハラに対する規定をしっかりと設けることで、パワハラに対する企業としての姿勢を明確に示すことができます。また、社内規定によってパワハラに関する対応が明記されていなければ、実際に社内でパワハラが発生しても適切な対処をすることができません。仮に裁判に発展してしまった場合、社内規定にパワハラに関する明記がなければ、企業のイメージダウンにつながる可能性もあります。そういった観点からも、パワハラに関する社内規定はしっかりと整備しておくことをオススメします。どのような行為が行われたときにパワハラと見なすのか、パワハラと認定された場合にはどのような罰則を与えるのかなど、できるだけ具体的に明記しておくのがベストです。

現状の実態を把握する

パワハラ予防に向けて、社内でパワハラに関するアンケートを行うのも重要です。すでに社内でパワハラが発生していないか、あるいは今後パワハラが発生する予兆はないか確認することができます。アンケートの内容としては、「ハラスメントを受けたかどうか」「ハラスメントを見かけたかどうか」「上司との人間関係は良好か」など、直接的なものから間接的なものまで設けることをオススメします。そして、アンケート結果を分析し、それをもとにして今後の方針を考えます。調査時には、アンケートを匿名で実施すると回収率を高めることができます。

以下、アンケートで質問すると効果的な項目の一例を挙げます。アンケート作成の際は参考にしてみてください。

・パワハラに関して現在、どの程度理解しているか

・社内でパワハラを受けた経験はあるか

・社内でパワハラを目撃したり、相談された経験はあるか

・社内でパワハラを行ってしまった経験はあるか

・社内で今後、パワハラに該当しそうな状況はあるか

・上司との人間関係は良好か

・会社のパワハラ予防は適切か

・パワハラ予防に関する会社への要望

社員に対してパワハラに関する教育を行う

社員に対して、パワハラに関する教育を行うことも重要です。マネジメント層に対しては、傾聴のスキルや部下を承認する姿勢など、関係構築のスキルを学習してもらうことがおススメです。また、部下がミスをしたときに責めたり批判したりするのではなく、何が問題だったのかを把握し、部下と一緒に改善の方法を考えるなど、マネジメント手法の学習もパワハラ予防に効果を発揮します。一方で部下に対しても、パワハラについての知識を付けてもらうことで、部下からのパワハラや正当な指導に対してパワハラと訴えることを予防することができます。

参考:厚生労働省『パワーハラスメント対策導入マニュアル』

まとめ

パワハラに関しては、まずはその原因を押さえた上で、パワハラを未然に防ぐための予防策を講じることが重要です。これからパワハラ予防を実施していく場合には、「経営層によるメッセージ」「社内ルールの明確化」「現状の実態把握」「社員に対するパワハラ教育」という4つのポイントをぜひ参考にしてみてください。この記事を通して、パワハラがなく良好な人間関係に富んだ企業づくりに、少しでも貢献できれば幸いです。

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