新卒がベンチャーを3年以内に辞める理由を考察する

公開日: 2018年5月17日  最終更新日: 2019年12月6日

組織づくりを意識し始めたミドルベンチャーにとって、企業文化の継承や次期エースの育成を目的に、何色にも染まっておらず、ポテンシャルの高い新卒社員を採用することは、とても魅力的なのではないでしょうか。もちろん、初めからスムーズに仕事ができるわけではありませんので、研修や先輩社員によるOJTを受けて、数年で一人前になっていくケースがほとんどです。このように、数年かけて育成することも見据えて新卒採用を行なっているにも関わらず、その新卒社員がすぐに辞めてしまっては採用コストや育成コストを回収できずに痛手です。しかし、残念なことに、厚生労働省のデータによれば3年以内で辞めてしまう新卒は全体の3割にも上っているのが現状です。

その会社を選んだ理由があるにも関わらず、なぜこのように多くの新卒がすぐに離職をしてしまうのでしょうか?今回はその中でも特に、ベンチャーに入った新卒がすぐに離職を選択してしまう理由を一緒に探っていきたいと思います。

会社を辞める理由となる「入社後ギャップ」とは?

まずはベンチャーに限らず、なぜ新卒で入った会社を数年で辞めてしまうのか、その離職理由から見ていきます。労働政策研究・研修機構(JILPT)が新卒で離職した人を対象に行った調査「平成25年若年者雇用実態調査」の結果で離職理由は以下のとおりでした。

(引用:労働政策研究・研修機構「平成25年若年者雇用実態調査」)

3年未満に注目すると、離職理由で特に数値が高いのは「労働時間」「人間関係」「仕事内容」です。
もし、入社前に思い描いた通りの環境で、思い描いていた通りの仕事ができ、成果をあげていれば、当然辞める必要はありません。自分が求めていたもの(理想)と現実との間にギャップがあり、そのギャップに耐え切れなくなったときに人は会社を辞める選択をしてしまいます。この自分が求めていたもの(理想)と現実とのギャップのことを「入社後ギャップ」と一般的に言っています。つまり、ここで上げられている「労働時間」「人間関係」「仕事内容」が一般的に新卒に起こりやすい入社後ギャップといえます。

では、ベンチャーに入る新卒に起こりやすい入社後ギャップとは何でしょうか?まずはその理想に特徴があるのか見ていきましょう。

新卒がベンチャーを志望するのはなぜか?

最近の学生の企業選択のポイント

そもそも新卒の学生はどのような志望理由で企業を選んでいるのでしょうか?2018年卒業見込の大学3年生、大学院1年生15,621人にアンケート結果(マイナビ調査)によれば、「自分のやりたい仕事ができる」「安定している」の割合が多い結果となっているのがわかります。

(引用:2018年卒マイナビ大学生就職意識調査より編集部作成)

ベンチャーを選ぶ学生は何に魅力を感じているのか

ではその中でも、ベンチャーを志望する学生はどのようなポイントを重視しているのでしょうか?
ベンチャーの特徴からその傾向を見ていきましょう。

(1)規模の小ささ

創立してから比較的時間は経っておらず、人数や売り上げの規模も比較的小さいです。規模が小さいがゆえ、一人一人の裁量は大きく、大企業では任せてもらうまでに数年かかる仕事も、ベンチャーであれば入社して早々に任せてもらえるという特徴から、大企業よりも自分のやりたい仕事ができるという点に魅力を感じる学生も多いはずです。また、社員数が少ないことから、顔を合わせるメンバーもだいたい同じですので社員同士の仲も深まりやすく、そういった社員同士の仲が良い社風も魅力的なポイントの一つです。

(2)成長スピードの早さ

まだまだ駆け出しの段階は事業の拡大に注力しているため、前年比を大きく上回る成長を毎年重ねていくベンチャーも多く、その中で働くことに対する働きがい、これからさらに伸びていく将来性に魅力を感じる学生も多いのではないでしょうか。

(3)チャレンジ精神に溢れたビジョン

ベンチャーの事業は、新しい領域に着手・挑戦している傾向が高いです。そのため、挑戦志向の学生にとってはその企業が打ち出すビジョンに魅力を感じるケースも多いでしょう。新しいチャレンジをしていく環境下には、やはりそういった志向性をもった社員が集まっていますので、大手とは違った社風に惹かれる学生も多いでしょう。

新卒がベンチャーを選ぶポイント

上記を踏まえて、新卒が企業を選択する時のポイントの調査結果をもとに見てみると、
「働きがい」
「やりたい仕事と合っている」
「社風」
「会社自体の成長率」
といった項目が、ベンチャーを志望する学生にとっての企業選択のポイントといえます。

 

新卒がベンチャーを3年以内に辞める理由

新卒に起こりやすい入社後ギャップは「労働時間」「人間関係」「仕事内容」でしたが、ベンチャーに入った新卒の入社後ギャップとは何でしょうか?ここまでで見てきた考察をもとにその入社後ギャップを導き出してみました。

3つの大きな入社後ギャップ

人間関係が良くない
常に成長・拡大が求められるベンチャーでは、圧倒的な成果が求められます。そのため、実際は人間関係がどうしても希薄になってしまいがちな企業も少なくありません。また流動性が高いため、憧れの社員を見つけて入社したものの、入社前や入社後にその人が他の会社に転職してしまったというのもよく聞く話です。

仕事が自分に合わない
裁量があり、やりがいがあると思って入社したものの、もちろん人手は足りず、個人が複数のタスクを掛け持ちすることも多く、雑用が多いのも現実です。大企業に比べてやりたいことを任せてもらいやすい一方で、それ以外の業務の多さに「自分がやりたかったのはこういうことじゃない」と滅入ってしまいます。

会社に将来性がない
前年比を大きく超える成長率の高さに惹かれて入社を決めた学生も、2年後、3年後の成長率に不安を覚え始めます。実際、この理由は1年目より2年目、3年目以降に離職する人に多くみられる傾向にあります。ただ、成長期であるベンチャーにとって100%を超える成長を続けていった先に伸び悩むこともあるでしょうし、戦略を変える必要が出てきたり、時には事業そのものを見直すことも出てくるかもしれません。新規の事業展開にはトライ&エラーの連続が付き物ですが、そのことを理解せず一部だけを見て「将来性がない」と感じてしまうことも多いのかもしれません。

その他の要因

上記では、学生の入社前後のギャップから退職理由を考えてきました。ただ、少数ではあるものの、入社前に”思い描いた通り”に会社を辞めていくケースもあります。ベンチャーを志望する学生の中にはすでに事業を経験していたり、自分の課題を克服する目的で就職をする学生もいます。「特定のスキルを得るために入社を決めたので、もともと長く働く気もなかった」、「起業するためのファーストステップであった」といったケースです。ベンチャー側もこのような学生がいることを念頭に置いて採用をする必要があります。

まとめ

最初にご紹介した新卒全般の離職理由の調査結果をもとに、特にベンチャーという切り口でその離職理由を考察してきました。企業文化を継承していき、会社を引っ張っていく次世代エースを採用したのにもかかわらず、そのような人材がエースになる前にすぐに辞めてしまっては本当にもったいないことです。
上記で確認したようにベンチャーならではの特徴を踏まえ、そのギャップを縮められるような取り組みが大切になってきます。採用の時に、現場とのギャップが起こらないように伝える内容を工夫したり、組織として人の辞めない水質をつくっていくことが大切です。ぜひ今回の内容を参考に採用や入社後の育成の見直しをしていただくヒントになれば幸いです。

>運営企業

運営企業

アチーブメントHRソリューションズ株式会社

CTR IMG