「自分の小さな箱から脱出する方法」の著者が語る自己欺瞞の罠(ATD2018)

マインドセット関連の研究とトレーニングを行っているアービンジャー社。同グループのマネージングパートナーであるJim Ferrell氏がATD2018で語った「自己欺瞞の罠:新しいリーダーが自滅する前に救おう」についてレポートします。

自己欺瞞とは何か?

講演者のJim Ferrell氏は、アービンジャー社のマネージングパートナーです。アービンジャー社は「自分の小さな箱から脱出する方法」をはじめとした「小さな箱」シリーズで日本でも知られており、Jim Ferrell氏は書籍の執筆も担当していらっしゃる方です。
セッションはアービンジャー社が研究する「自己欺瞞」がテーマとなっていました。日本ではあまり聞きなれない、自己欺瞞とは何か?ということについて、Jim Ferrell氏は、冒頭でこのように話し始めました。

あなたは、今、映画館にいます。もうすぐ映画が始まるので
ポップコーンを買って席に座ると、隣に大きな声で話している客がいました。

『うるさいな』

始めはそう思っていました。
ところが、映画が始まる時、ポップコーンのゴミを椅子の間に置いておいたら、
うるさいと感じてた隣の人がゴミを預かってくれたのです。

『この人、いい人だ』

隣の客は一時間で人が変わってしまいました。
これが自己欺瞞の罠から抜け出すヒントです

己欺瞞とは、自分を誤魔化してしまうこと

私達は、他人によく見られたい、(悪いことが起こった時)自分のせいではないと思いたい、ということから、本当の自分を見ないようにしてしまうことがあります。

自己欺瞞は、自分だけに意識を向け自己中心的な判断をします。この状態を、「内向きのマインドセット」と呼びます。一方で、自己欺瞞を脱出した状態では、周りに意識を向け、全体最適な判断をします。この状態が「外向きのマインドセット」です。
0点が内向きのマインドセット、10点が外向きのマインドセットというテストを人々に受けてもらうと、平均点は4.6点と出るそうです。しかし、「本人の自己評価の平均は、6点なのです」とJim Ferrell氏は言います。

このようにありのままの自分を受け入れず、本当の自分を誤魔化してしまうこと。これが自己欺瞞です。そして、「この自己欺瞞がさまざまな問題の原因となるのです」とJim Ferrell氏は語ります。

自己欺瞞が招く弊害と抜け出したときのインパクト

では、自己欺瞞の罠にはまると、一体どんな問題が起こるのでしょうか?

職場の同僚に尊敬され優秀な警察官であるチップ氏を例に、自己欺瞞の問題点を紹介していました。

チップ氏は、非常に優秀な警察官で、職務態度もよく、成果をあげていました。しかし、彼に関するクレームは年間36件もあり、それに対応しなければならない状況もありました。クレームを解決するのにかかったコストは、1回あたり7万ドル。年間252万ドルのコストがかかっていたのです。

また、職務上の成果は出していたものの、彼は、同僚から、冷たい人、自分勝手な人、と思われていた、と付け加えました。ところが、チップ氏は自己欺瞞の概念と出会い、彼は大きく反省することとなります。

結果、この出会いがあった2007年以降、2017年までの10年間でクレームは大きく減少。その数は驚いたことに、10年間で0件。全くのクレーム知らずになったのです。10年間分のコストに換算すると2,520万ドルのコスト分の成果が上がったのでした。

自己欺瞞から抜け出す3つのステップ

では、チップ氏はどのようにして自己欺瞞の罠から抜け出したのでしょうか?
Jim Ferrell氏はその方法として、「S.A.M」ステップを紹介しています。

S・・・See Othres(周りを見て気にかけよ)
A・・・Adjust Efforts(他者との調和に向けて努力せよ)
M・・・Measure Impact(自分の与えている影響を測る)

チップ氏は、この3つのステップを絶えず意識し、内向きのマインドセットから、外向きにのマインドセットであり続けられるように、改善を積み重ねました。

自己欺瞞の罠から抜け出したチップ氏はこう語ります。

「自分はリーダーとしてたくさんの失敗をしてきている。しかし、自分自身がその失敗の原因が自分にあると認め、堂々と失敗について話せたことで、素晴らしい結果をえることができた。」

その映像を見ながら、講演しているJim Ferrell氏はこのようにまとめます。

「本当の自分を見て、外に意識を向け始めた時、学習が起こります。自己欺瞞に陥った時、人は自分を改善することが出来ません。相手を責め、相手に害を与えることすらあります。私達は、チップ氏のように、自己欺瞞の罠に気付き、自分を変えることができます。そこから偉大な成果の創造がはじまるのです。」

まとめ

とってもわかりやすい映像もあり、エキサイティングなセッションでした。「自己欺瞞」という多くの人がハマる罠について長年研究してきたアービンジャー社の専門性の深さを感じました。もしまだお読みでない方は、アービンジャー社発行の書籍も参考にしてみてください。

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