ジグソー法とは?アクティブラーニングの実践方法を紹介

ジグソー法とは、学習者同士が協力し合い、教え合いながら学習を進めいていく学習方法の一つです。このジグソー法は、アクティブラーニングの実践方法の一つとして、昨今注目を集めています。今回は、そんなジグソー法について、概要から具体的な実践方法までをご紹介します。

ジグソー法とは

ジグソー法とは、先ほども少し述べたように、学習者同士の協力や教え合いを促進し、それを通して学びを得るという共同学習を活用した学習方法の一つです。では、そんなジグソー法の実践方法を見ていく前に、その概要から見ていきます。

ジグソー法の提唱者

ジグソー法は、アメリカの社会心理学者であり、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の名誉教授でもあるエリオット・アロンソン(Elliot Aronson)が提唱しました。提唱された当時は、アメリカの人種統合が行われていた最中です。学校では白人と黒人の子供の間に教育レベルの差があり、白人の子供ばかりが積極的で、黒人の子供は劣等感から授業にあまり参加できずにいました。そんな状況を見たエリオット・アロンソンは、教育レベルが違っても、お互いが協力しなければならない学習方法を作ればこれを解決できると考え、ジグソー法を開発したと言われています。

そんなリオット・アロンソンは、アメリカ心理学会の主要学術である「優れた著作(1973年)」「優れた教育活動(1980年)」「優れた研究活動(1999年)」の三部門で最高賞を獲得した唯一の心理学者として有名であり、2002年のAPA Monitorでは、20世紀の最も卓越した心理学者100人にも選ばれました。そんな彼の有名な著書には、「COOPERAION IN THE CLASSROOM」があります。

COOPERAION IN THE CLASSROOM

ジグソー法が注目されている理由

ジグソー法が現在、教育業界から注目を集めている理由には、アクティブラーニングが大きく関わっています。アクティブラーニングとは、学習者が問題について考え、他の学習者と話し合いながら、主体的・協働的に学習することであり、それらの手法をまとめた総称でもあります。元々は、アメリカで普及していた教育手法ですが、2010年以降、日本でも注目され始め、様々な教育現場に導入されています。

アクティブラーニングでは、ディスカッションや体験、他者に教えることを重視しており、それによって学習内容の習得度が上昇するとされています。また、それらの活動を通して、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、思考力、判断力、表現力などを学ぶことができるものだと言われています。

ジグソー法の開発された目的は、アメリカにおける人種統合を促進するためでしたが、学習科学の先駆者とも言われるアン・ブラウンが、研究の中で利用したことなどを通して、徐々に教育手法として洗練されていきました。

ジグソー法の実践方法

ジグソー法は、様々な学習に応用することができますが、今回は、その基本的な実践方法について解説していきます。ジグソー法は、基本的に「ホームグループ」→「エキスパート活動」→「ジグソー活動」という3つのステップにそって行われます。では、それぞれのステップについて詳しくご紹介します。

第1ステップ:ホームグループ

ホームグループとは、名前の通り学習者たちが所属するグループを表しています。このステップでは、学習者を均等にいくつかのグループに分けます。そして、今回の学習における課題を発表します。

第2ステップ:エキスパート活動

第2ステップでは、第1ステップで作ったホームグループのメンバーそれぞれに、異なる学習をしてもらいます。ホームグループの中で役割分担を行い、下記の図のように同じ内容を学ぶ者同士を集めます。このグループのことをエキスパートグループと呼びます。エキスパートグループで学習する内容は、学習課題を解決するために必要な学習内容を班の人数分で分割したものを提供します。

第3ステップ:ジグソー活動

エキスパートグループで、学習内容のインプットを終えたら、第1ステップのホームグループに戻ります。そして、ホームグループで発表された課題に取り組みます。課題を解決するためには、それぞれのメンバーがエキスパートグループで学習してきた内容を発表する必要があるため、協力やプレゼンテーション、コミュニケーション、合意形成を取るといったことが必然的に起こります。

課題を終えたら、グループとしての課題の進め方やそれぞれの活動に対してフィードバックを行います。ジグソー法の採点方法は、様々な見解があり、エリオット・アロンソが提唱したジグソー法では、個人に対する採点とフィードバックだけを行うものでしたが、グループの採点と優勝グループの表彰のみを行うものや、ジグソー活動後にテストを実施し、個人の理解度を確認するといったものも存在します。

ジグソー法の活用

では、実際にジグソー法が活用されたワークについてご紹介します。今回ご紹介するのは、アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)と呼ばれる読書法です。アクティブ・ブック・ダイアログとは、NPO法人の場とつながりラボhome’s viの正会員である竹ノ内壮太郎氏によって開発された、最新の読書法です。ジグソー法を活用して開発されたかどうかは定かではありませんが、ジグソー法との共通点が多く、「ホーム活動→プロフェッショナル活動→ジグソー活動」の流れで実施する読書法となっています。

アクティブ・ブック・ダイアログのやり方

アクティブ・ブック・ダイアログの実施の流れをまとめると以下のようになります。

ホーム活動1:本を参加者の人数に合わせて裁断する

ホーム活動2:参加者一人ひとりに担当のページを割り振る

プロフェッショナル活動1:割り振られたページを読む

プロフェッショナル活動2:一人ひとりが担当ページをまとめる

ジグソー活動1:一人3分程度で本の先頭の人からプレゼンしていく

ジグソー活動2:参加者全体で感想や疑問、活動に関する振り返りなどを話し合う

参考未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアログ(公式サイト)

アクティブ・ブック・ダイアログの最大の特徴は、本を裁断することです。本を裁断するポイントは、章ごとに分けるなど、内容の区切りがつくところで分けていくことです。そして、章によってはページの分量に差が出るので、グループメンバーの本を読むスピードに合わせて担当を決めるとプロフェッショナル活動がスムーズに進みます。プレゼンが終わった後のジグソー活動では、あらかじめ本の内容に沿った課題を設定してもいいかもしれません。アクティブ・ブック・ダイアログは、読書の促進だけでなく、プレゼンや話し合いを通した対人能力の向上、コミュニティ作りなど、様々なメリットを持っています。企業研修や団体の勉強会、学校教育の一環としても活用できるワークなので、アクティブラーニングの実践手法の一つとして、参考にしてみてください。

まとめ

2010年以前は、教育者が一方的に情報を発信し、学習者はそこから受動的に、個人的に学ぶという学習形態が一般的でした。ですが、アクティブラーニングへの着目により、最近では小学校から大学まで、多くの教育機関で学習者が主体的に、協働的に学べるような教育設計が実践されています。

また、企業での教育に関してもアクティブラーニングを活用した研修を取り入れる動きが多く見られます。もしその中でジグソー法も活用するならば、

数人の新入社員でグループを作り、メンバーがそれぞれ違う部署へインターンに参加、そしてインターン終了後にグループで集まって学びのシェアや企業理解を深める』といった研修や、

営業部署の人でグループを作り、それぞれが違う業界について調べ、そして再度集まって業界知識の共有や業界別の営業戦略を考える』といった研修を作ることができます。

ジグソー法は、アクティブラーニングを実践するための学習方法として非常に有用なものです。もし、新しく教育設計をしようとしている方や、今の学習方法を改善したいと思っている方がいましたら、ジグソー法の活用を検討してみてはいかがでしょうか?企業研修や社員育成、学校教育など、教育設計に関わるすべての方に、この記事を通して少しでもお役に立てたならば幸いです。

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アチーブメントHRソリューションズ株式会社

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