メタ認知とは?4つのトレーニングによって高める方法を紹介

メタ認知とは?4つのトレーニングによって高める方法を紹介

メタ認知とは、自分自身を客観的に認知する能力のことです。もう少し簡単に説明するならば、自分が仕事をできているのか、できていないのか、どんなことが得意であり、どんなことが苦手なのかといったことを、客観的に捉えることを言います。今回は、そんなメタ認知についての基本をご紹介するだけでなく、メタ認知が高い人の特徴やメタ認知を高める効果、そして具体的な4つのトレーニングによって高める方法をご紹介します。

メタ認知とは

メタ認知とは、先ほども少し解説したように、自分自身に関して客観的な視点から観察する能力です。自分が得意なことと不得意なことを的確に認識し、そして「自分ができないことをするためにはどうしたらいいのか?」という問いに対して自分で答えを出すことができることだと言われています。この客観的な視点から自身を「メタ認知的知識」と呼び、自身で問題に対する解を導くことを「メタ認知的技能」と言います。メタ認知的をメタ認知の「メタ」とは、ギリシャ語に由来しており、「高次な」「超」と言った意味です。つまり、メタ認知を直訳すると、「高次な認知」「超認知」となります。このメタ認知が、高い成果を出すために非常に有用なビジネススキルだと言われており、昨今大きな注目を集めています。

メタ認知の提唱者

そもそもメタ認知とは、アメリカの心理学者であるジョン・H・フラベル(John・H・Flavell)氏によって提唱されたものであり、もとは心理学用語として使われていました。1970年頃から研究が進められ、その当時の心理学の世界では広く知られるものとなりました。しかし、心理学の世界で有名ではあったものの、メタ認知をビジネスに活用するような動きはありませんでした。実のところ、メタ認知がビジネスにおいて重要なスキルだと言われるようになったのは、ここ数年のことです。

メタ認知を構成する4つの要素

メタ認知を提唱したジョン・H・フラベル氏によると、メタ認知は4つの要素から構成されていると言います。その4つの要素とは、「メタ認知的知識」「メタ認知的経験」「認知的目標」「認知的行為」です。では、それぞれについて詳しく解説していきます。

メタ認知的知識

メタ認知的知識とは、メタ認知の材料となる知識のことです。具体的に言うと、人それぞれが持つ「課題」「目標」「行為」「経験」に関する情報を表します。

例えば、九九ができないA君がいたとしましょう。彼にとっては、「九九の掛け算が分からない」というのは「課題」であり、「九九をマスターしたい」という想いが「目標」に当たります。そして「先週の九九のテストで半分も解けなかった」というのは「行為」と「経験」に当たります。

メタ認知的経験

メタ認知的経験とは、自身に対する意識的・感情的な認知ができた経験を表します。

先ほどの九九ができないA君の例でいうと、A君がテストで半分も解けなかったという経験から「僕は九九が苦手なんだ」と認知した瞬間があったとすれば、その認知をメタ認知的経験と言います。

認知的目標

認知的目標とは、メタ認知的知識の目標の先にある目的を意味します。

A君の例でいうと、掛け算九九をマスターするのがメタ認知的知識の目標です。そして、もしA君が掛け算九九をマスターしたいという動機として、先生や友達にほめられたいという想いを持っていたとしたならば、その「先生や友達にほめられたい」という動機のことを認知的目標と呼びます。

メタ認知的行為

メタ認知的行為とは、目標を達成するために行われる行為のことです。

A君の場合では、掛け算九九をマスターするための行為がメタ認知的行為に当たります。例えば、「掛け算九九を暗唱する。」「ドリルで掛け算九九の問題を解く」といったものが考えられます。

以上の4つの要素が揃うことで、メタ認知が可能になるとジョン・H・フラベル氏は主張しています。つまり、メタ認知的知識とメタ認知的経験を持つことによって自身への理解が深まり、メタ認知的目標とメタ認知的行為が理解できると自身の持つ課題を自力で解決できるようになります。

メタ認知が高い人の特徴

では、メタ認知が高い人はどんな特徴を持っているのでしょうか?メタ認知が高い人の特徴を理解することが、自分のメタ認知が高いか否か、そして自分の周りにメタ認知の高い人はいるどうかを見極めるヒントとなります。

メタ認知が高い人に見られる特徴としては、下記のものが挙げられます。

主観と客観を使い分けられる

メタ認知の高い人には、今考えていることが主観なのか客観なのかを認知できる人が多いようです。そういった人は、「これは主観的な意見ですが...」というように、自身の発言が主観的か客観的かを伝えることができます。

自分の行動の意図を説明できる

メタ認知の高い人には、自分の行動の意図、つまりメタ認知的目標を認識できる人が多い傾向にあります。そういった人は、自分がなぜその行動を取っているのかをしっかりと理解し、「私が○○を行ったのは、□□を危惧していたためです。」というような説明ができます。

相手の意図に沿った返答や対応ができる

先ほど、メタ認知が高い人には自分の行動の意図を説明できる人が多いと言いましたが、メタ認知が高い人は自分の行動だけでなく、他者の行動に対しても同じようにその行動を意図を考えることができるようです。つまり、相手の行動や質問の意図を考えることができ、その意図を汲み取った対応や返答ができます。

自分の長所と短所が分かる

メタ認知能力が高い人には、自分は何ができて、何ができないのかを適切に評価して、把握している人が多いようです。そのため「○○は自分よりもAさんのほうが向いている。」といったような判断を下せます。ただ、自身の短所を人にさらけ出すか否か、また自分でどうにかしようとするか否かについては、個人の性格によっても左右されます。

メタ認知を高めるメリット

では、メタ認知を高めるとどんなメリットがあるのでしょうか?メタ認知がビジネスにおいて注目されていることは先にも述べましたが、メタ認知を高めることで得られるメリットのうち、ビジネスでも重要だとされているものをいくつかご紹介します。

メタ認知を高めるメリット

・課題を抽出ができる

・協調性を高めることができる

・感情がコントロールしやすくなる

・話の説得力が増す

・問題解決力が高まる

メタ認知のトレーニング方法

このように、メタ認知を高めることによって得られるメリットは、ビジネスマンに求められるスキルと大きな関わりを持っています。そこで、これよりメタ認知を高めるための具体的なトレーニング方法について見ていきます。今回紹介するのは、メタ認知を高めるトレーニング方法として有名な「瞑想」「セルフモニタリング」「ライティングセラピー」「コーチング(認知療法)」の4つです。

瞑想

瞑想は、マインドフルネスのトレーニング方法としても取り上げられており、昨今注目を集めています。瞑想をすることで、自身の思考や状態に集中することができ、今この瞬間を客観的に感じることができます。瞑想を実践したい場合には、下記の手順をご覧ください。

手順1:調身

調身とは、体の姿勢を正すことです。一般的には座って行う瞑想ですが、座り方に決まりはなく、正座でも胡座(あぐら)でも構いません。調身でのポイントは、背筋をしっかりと伸ばし、上半身の力を抜くことです。目は閉じるか半目にしたら、調身の完成です。

手順2:調息

調息とは、息を整えることです。調息の基本は、「鼻からゆっくり吸って、鼻からゆっくり吐く」ことです。吸うときも吐くときも3秒以上かけるくらいがいいでしょう。ただし、秒数を意識しすぎてしまったり、呼吸が苦しくなると瞑想の効果が下がってしまう恐れがあります。ですので、あくまでも自身がリラックスできることを優先して呼吸を整えます。

手順3:調心

瞑想最後の手順は「調心」つまり、心を整えることです。ここでもポイントは、「今この瞬間に意識を集中すること」です。心拍や風の音、太陽の光や温度、今この瞬間に感じられるものに焦点を当て、そしてそれらの刺激を感じている自分を捉えます。

この「調身」「調息」「調心」の3つをしっかりと抑えることで、適切な瞑想を行うことができます。瞑想の長さは、上級者であれば1時間以上行いますが、初心者の方は1分でも十分だと言われています。瞑想は場所も取らず、短い時間でできるため、メタ認知をトレーニングする初めの一歩としておすすめの方法です。

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セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分自身を観察するという意味であり、自分が意識せずに行っている思考や行動に対する気付きを自身で得るトレーニング方法です。具体的には、「今の状況」「思考」「気分」「行動」「体の反応」の5観点を紙に書き起こすことで、自身を客観的に捉えることができます。

友達と喧嘩をした直後にセルフモニタリングをした例

1.今の状況:友達Aと喧嘩をしている。

2.思考:人の家の冷蔵庫から勝手にプリンを食べるという行動は、友人だったとしても図々しすぎる。自分のご褒美に楽しみにしていたので、許せない。

3.気分:ムカムカしている。

4.行動:怒鳴りながら家を出て、近くの公園に来ている。

5.体の反応:体温が上昇している。眉間にしわが寄っている。

ライティングセラピー

ライティングセラピーとは、自身の抱えている悩みや不安と言ったネガティブな思考や感情を紙に書き出すことで可視化し、客観的に捉えられるようにするトレーニング方法です。やり方は非常に簡単で、自分が今抱えている感情や思考について、10~20分の間紙に書き続けるだけです。なるべく手を止めず、頭に浮かんだことはすべて書き出すことがポイントです。ライティングセラピーは、客観的に自身を見つけることに役立つだけでなく、精神の安定化にも大きな効果があると言われています。

コーチング(認知療法)を受ける

コーチングや認知療法の最大の特徴は、第三者から自分の持つ思考のバイアスやパラダイムに気付くきっかけをもらえる点です。自分の思考の癖や習慣は、自分ではなかなか気づかないものです。第三者に観察してもらい、気付くきっかけをもらうことで自身を見つめる機会を作ることができます。ただ、コーチングや認知療法では専門の知識とスキルを必要とするため、トレーニングしてもらう場合にはプロの方に付き合ってもらうことをおすすめします。

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まとめ

メタ認知がすでに身についている人は、無意識にその時間を作っているかもしれませんが、そうでなければ、忙しい毎日の中で自身を客観的に見つめる機会はあまりないかもしれません。そんな日々の中でも、少しでもメタ認知の時間を取ることができたならば、感情のコントロールや他者理解を通して部下やプロジェクトのマネジメントを改善することができます。もしも、対人関係や自身と向き合うという点に課題を持っている方がいましたら、今回紹介したトレーニング方法を実践してみてください。この記事を通して、メタ認知を高める役に少しでも立てたならば幸いです。

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