モチベーション3.0とは?ダニエル・ピンクが見つけたやる気の引き出し方

公開日: 2018年9月7日  最終更新日: 2019年11月12日

モチベーション3.0とは、2010年にダニエル・ピンク氏が提唱した新しい動機づけ方法です。従業員一人一人に高い主体性や意欲といった「やる気」をもって働いてもらうことは、生産性が高く、成果を出す組織であるために重要な要素の一つと言われています。今回は、そんなモチベーション3.0の特徴や注目されている理由、そして超有名企業がモチベーション3.0を高めるために導入した3つの事例を合わせてご紹介します。

モチベーション3.0とは

提唱者

モチベーション3.0という言葉は、アメリカの作家であるダニエル・ピンク氏が2009年に書いた「Drive:The Surprising Truth About What Motivates Us」の日本語版である「モチベーション3.0、持続するやる気をいかに引き出すか!」というタイトルに由来します。ダニエル・ピンク氏は1995年から1997年まで、アメリカの副大統領であったアル・ゴア氏の首席スピーチライターを務めたほか、世界的に有名なスピーチフォーラムであるTEDに登壇したことがあります。

モチベーション1.0と2.0とは

モチベーション3.0について説明する前に、その前段階であるモチベーション1.0と2.0について説明していきます。

モチベーション1.0とは、人間が持つ最も原始的なやる気のことです。モチベーション1.0による動機付けは「生理的動機付け」という名前で呼ばれていますが、簡単に言い換えると「生きるため、社会や組織を継続させるために頑張ろう」という動機付けです。たとえば、「お腹が空いたからご飯を探しに行こう」というものや「子孫を残すために子供を作ろう」というやる気がこれに当たります。

モチベーション2.0とは、アメとムチによって生まれるやる気です。「外発的動機付け」という名前が呼ばれていて、簡単に言い換えると「外からの刺激によって対象者を頑張らせる動機付け」となります。例えば、「高いインセンティブがあるから頑張ろう」というものや「社長に命令されたから頑張ろう」というやる気がこれに当たります。

モチベーション3.0でフォーカスする内発的なやる気とは

モチベーション3.0は、変化の激しいこれからの時代を生き抜くため、柔軟で強い組織を作り上げるために必要なモチベーションです。これを「内発的動機付け」と呼んでいます。簡単に言い換えると「自分の内側から湧き出るような動機付け」です。例えば「楽しいから頑張る」「世界の平和を守るために頑張る」「実力をつけたいから頑張る」といったモチベーションがこれに当たります。

モチベーション3.0の特徴

では、「内発的動機付け」とも呼ばれるモチベーション3.0が、どのようなものなのかをより深く理解するために、モチベーション3.0の持つ3つの特徴についてご紹介します。

自主性

モチベーション3.0における「自主性」とは、いつ、だれと、どんな課題に対して、そしてどのように取り組んでいくかを自身で決められることにあります。

成長

ここで言う「成長」とは、自身の目標を達成するために鍛錬を重ねることをいいます。そして、ここで重要なポイントとなるのが、「掲げる目標が、今の自分では成し遂げられないものであること」と「掲げた目標が、鍛錬によって必ず成し遂げられるようになると信じること」です。

目的

「目的」とは、自分の欲を満たすという利己的なものではなく、社会的な利益やチームへの貢献、組織の成長などの利他的なものを指します。

モチベーション3.0が求められる理由

先ほど紹介したように、モチベーション3.0には「自主性」「成長」「目的」という3つの特徴があります。では、このモチベーション3.0が求められるようになったのは、何故でしょうか。モチベーション1.0、モチベーション2.0が抱える欠陥についてご説明します。

モチベーション1.0の欠陥

「生理的動機付け」であるモチベーション1.0が一般的だった時代は、生きるか死ぬかのサバイバルの時代ともいわれています。戦後の日本もそうでしたが、後進国などでも「生きるため、社会や組織を継続させるために頑張るという動機付け」で働いている人は数多くいます。しかし、日本のように著しい技術の発展と高い生活水準を持っている先進国では、今日の食事を心配する人はあまりいません。モチベーション1.0は、自身と社会の生存を維持するための動機付けですので、会社で働くときのやる気としては、ほとんど機能しません。

モチベーション2.0の欠陥

モチベーション2.0による「アメとムチ」の動機付けが主流となり始めたのは、産業革命が始まった19世紀後半からです。農林漁業と製造業が職業の大半を占めていた当時は、モチベーション2.0による動機付けが、単純作業をする労働者にとっての最適な動機付け方法でした。例えば「石炭を掘ってトロッコに積む」「折り紙を100個作る」というような、答えや手法が決まっていて、あとはどれだけ早く、どれだけ多くこなせるかが課題となる仕事は、インセンティブによるやる気労働者の成果を高めます。

しかし、現代社会における仕事には、「石炭を掘ってトロッコに積む」ような単純作業は多くありません。単純作業はもっぱら機械にまかせ、クリエイティブとイノベーションのために想像力を働かせることが仕事となっています。このような社会では、インセンティブのような動機付けはあまり有効ではありません。有効でないどころか、むしろ多くのデメリットを発生させます。

・成果を出すことへの必死さが視野を狭め、創造性を失わせる

・ホスピタリティなど、成果につながらないことへの意欲が失われる

・目先の成果を追い求めるあまりに、不正を働く、仲間と協力しなくなる

・成果が出ないと罰せられるため、成功への自信を失ってしまう

モチベーション3.0の活用事例

ここまで、モチベーション3.0とは一体なにか、なぜモチベーション3.0による動機付けが必要とされているのかを見てきました。そこで最後に、モチベーション3.0を活用した取り組みをしている企業の事例を「自主性」「成長」「目的」の3つの観点からご紹介します。

自主性を高めるGoogleの取り組み事例

モチベーション3.0における「自主性」とは、いつ、だれと、どんな課題に対して、そしてどのように取り組んでいくかを自身で決められることです。この自主性を高めるため、Googleが導入している事例に「20 Percent Time」があります。これは、「労働時間のうちの20%を個人的な取り組み(サイドプロジェクト)のために使ってもよい」というものです。皆さんもお馴染みの「Gmail」「Google Map」「Twitter」「Slack」などは、この「20 Percent Time」を活用したサイドプロジェクトのなかで誕生しました。

成長を促すH&Mの取り組み事例

モチベーション3.0における「成長」とは、自身の目標を達成するために鍛錬を重ねることです。そこで、H&Mが社員の「成長」を促すために導入している取り組みとして「NEXT ME」があります。これは、H&Mの人事方針の一つであり、部下を持つ社員は、自身の後継ぎとなる人材の育成をミッションの一つとしています。これにより上司は、部下が成長するための情報や機会を積極的に提供するようになります。そして、キャリアパスの情報が明確になることで、部下も成長への意欲が高まり、自分から積極的に目標を定めて鍛錬に励むのだそうです。

目的を活かしたWikipediaの取り組み事例

モチベーション3.0における「目的」とは、社会的な利益やチームへの貢献、組織の成長などの利他的なものを指します。そして、そんな「目的」を働くときのやる気としてフル活用しているのが、Wikipediaです。Wikipediaはオンライン百科事典として運営が開始されました当初から、編集者に報酬を全く払っていません。つまり、インセンティブによる動機付けは一切使わずに、編集者それぞれの目的によって記事が書かれています。20世紀に生きるどの経済学者も、Wikipediaのような運営方法がうまくいくとは思いもしなかったでしょう。ですが、2001年に運営が開始されて以来、Wikipediaは2016年現在で291言語に対応し、3800万以上の記事を保有する巨大百科事典となっています。

まとめ

変化の激しい時代を生き抜くために、従業員の主体性を高め、組織の柔軟性を高めることが重要視されてきています。この課題を乗り越える方法として、モチベーション3.0による動機付けは非常に有効です。社員のモチベーションを2.0から3.0へとアップデートするときには、ぜひこの記事を参考にしてください。

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