ホラクラシーとは?新型組織で実践されている運営施策をご紹介

ホラクラシーとは?新型組織で実践されている運営施策をご紹介

ホラクラシー組織とは、上司と部下のような肩書きが無い、完全にフラットな組織体制をもつ新しい組織です。このホラクラシー組織は、新しい組織のありかたとして、昨今話題になっています。ただ、話題にはなっているものの、ホラクラシーが具体的にはどのような組織構造をしており、どのように組織が機能しているのか、いまいち腹落ちしていない方もいるのではないでしょうか? そこで、今回の記事では、ホラクラシー組織の基本ルールを、ホラクラシーを開発したと言われる、ブライアン・ロバートソン氏が設立したHolacracy One社が提示しているホラクラシー憲章を参照してご紹介させて頂きます。

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ホラクラシーが生まれた背景

ホラクラシーはもともと、アメリカのブライアン・ロバートソン氏が、ターナリー・ソフトウェア社を設立し、そこでチームメンバーと共に試行錯誤した結果生まれた組織です。当時、理想の組織体制を求めて実験と変化を行い続けていました。前日に決めた制度を次の日には変えるというほど毎日研究の連続だったといいます。その様な激動な時をを乗り越えて辿り着いた形が「ホラクラシー」と呼ばれる洗練された組織です。では、実際に、その洗練された組織の仕組みを見ていきましょう。

ホラクラシーの組織体制

ホラクラシーの組織体制の特徴は、社員が役割を果たそうとする点です。つまりこの役割が組織の構成要素です。役割の中には、その役割を果たすための更に細かい複数の役割が存在します。この場合、大きな役割をサークルと言います。そのサークル自体も、さらに大きなサークルを構成する役割の一つであるという事も十分に考えられます。サークルは何個あっても構わず、必要性に応じて増えたり減ったりします。また、サークルを構成する各役割も同様に増えたり減ったりします。

ホラクラシー組織における「役割」とは

では、具体的に役割とは何か、サークルとは何かについて詳しく見ていきましょう。先ほど述べたように、役割とはホラクラシー型組織の構成要素です。この役割は組織の中のミーティングで新たに加えられたり、減らされたりします。そして、社員は組織によって明確に定められた役割を担います。それぞれの役割は目的領域債務からなりますが、全ての項目が必ずしも決められているとは限りません。

目的:その役割が存在することでどのような影響を与えたいのか、というそのサークルの存在意義です。

領域:その役割が担う活動範囲やコントロールできるリソースです。

債務:組織がその役割に期待する実際の仕事内容です。

一度役割にアサインされた社員は、常に理想とする目的や期待される債務と現状のギャップを常に考える必要があります。このギャップのことをHolacracy Oneではテンションと呼んでいます。テンションを埋めるために、その役割を担う人は、具体的な目標と、その目標を果たすための今するべき行動を明らかにします。具体的な目標をプロジェクト、今するべき行動をネクストアクションと呼びます。

また、役割を担った社員は、プロジェクトやネクストアクション、そして仕事をしていく中で見つけたテンション等をデータベースにすべて残し、他の社員とも共有できるようにします。

ホラクラシー組織では、組織の発展と共に、必要に応じて新しい役割が発生したり消えたりを繰り返しますが、いくつか固定の役割がありますので、その役割をご紹介させていただきます。

リードリンク

目的: サークル全体の目的に責任を持つ。

領域: サークル内の役割に人を任命する。

債務: サークルが持つ目的や領域を制定する。他の人をサークル内の役割にアサインし、その役割と人がマッチしているか見たりする。サークルの戦略や優先付けをする。具体的なゴールを設定する。 など

ファシリテーター

目的: 運営方法のところで触れる、組織統治や事業統治のプロセスが憲章に合うように調整する。

債務: 組織統治や事業統治の際のミーティングのファシリテーションを行う。 など

セクレタリー

目的:サークルの記録やそのプロセスを滞りなくする。

範囲:憲章が必要とするすべての記録をとる。

債務:ミーティングのスケジューリング、ミーティングで決まったことを記録に残す。

ホラクラシー組織における「サークル」とは

上記で述べたようにサークル自体も役割です。そのためサークルにも目的、領域、債務が設定されています。一番大きなサークルがアンカーサークルと呼ばれ、そのサークルの目的や領域、債務は組織全体の目的や領域、債務ということになります。組織が大きくなるにつれ、アンカーサークルを構成する役割が増えていき、その役割がまたサークルになり、小さい役割がどんどん増えていきます。この時、役割からサークルになったものをサブサークルと言い、サブサークルが役割だった時のサークルをスーパーサークルと言います。

ちなみに、レプリンクとはサブサークルが持つ役割で、スーパーサークルとのやりとりにおけるテンションの解決などを目的としています。というのもスーパーサークルもサブサークルもそれ自体が役割であり、それぞれ目的、領域、債務をもっています。スーパーサークルの役割を果たすためにサブサークルの役割があるのですが、しばしば両者間で齟齬が生じたりするため、そのような事態を防ぐためにレプリンクはスーパーサークルにサブサークルの現状を伝えたりします。

ホラクラシー組織の運営方法

これまで見てきたとおりサークルや役割は増減を繰り返し、組織図は次々に変わっていきます。組織に関する変更は基本的にはガバナンス・ミーティングを通して行われます。また、ビジネスを進めていくには組織構成に関することだけでなく、各役割が持つプロジェクトと現状のテンションを確認しあい、ネクストアクションを確認し合う場も必要です。 この場をタクティカル・ミーティングと言います。これら二つのミーティングを通してホラクラシーは上手く機能していきます。

それぞれのミーティングについて詳細に見ていきます。

ガバナンス・ミーティング

役割や役割間の協力に関する問題を話しあう場です。先に紹介したように、セクレタリーがミーティングのスケジューリングや議事録を担当し、ファシリテーターが会議を進めていきます。この会議に参加できるのはサークル内で役割を持つ人です。ただ、同じ役割に複数人がアサインされている場合、自分達で決めた規定に従って誰が参加するか決められます。ただ、会議に参加しない人でも彼らの意見が会議に反映される仕組みを必ずつくらなければいけません。

会議で決められることは以下の3つです。

1、サークルやサブサークルの役割を新しく定義する、修正する、取り除く。

2、サークル内におけるルールを新しく定義する、修正する、取り除く。

3、サークル内の空いている役割に誰が適切か選ぶ。

役割やサークル内のルールを決める会議では以下の6つのラウンドに分かれて行われていきます。

1、提案を行う

まず提案者が、現在直面していたり過去に発生したテンションを述べ、そのテンションを解決するための方法(既存の役割を修正したり、サークルに新たなルールを適用したりするなど)を提案します。提案者はミーティング参加者ならだれでも可能です。

2、疑問点を明確にする

提案された案やその背景にあるテンションについて、参加者が理解を深めるために質問をするラウンドです。あくまでここでは疑問を明確にすることが目的なので、参加者やファシリテーターが自分の意見を言う事は出来ません。

3、参加者が意見を述べる

ここで参加者は提案された内容に対して意見をいう事ができます。ただ、提案された意見に対する意見を言う場であるので、提案されたい案とは関係の無い案をいうことはできません。また、意見を言う場であって、討論する場ではありません。

4、修正と明確化

第3ラウンドを経て、提案者は提案内容を修正したりすることができます。

5、反対意見を述べる

参加者はそれぞれ、その提案を受け入れることで組織の目標が遠ざかるなど、新たなテンションが発生しないか考慮し、反対意見を言う機会があたえられます。ここでも反対意見が述べられるだけで、それに関する討論は行われません。

ただ、反対意見を言う際は、提案された意見をどのように修正すればよいかを言わなければいけません。単なる批判者であることは許されず、そのような場合はファシリテーターがその反対意見を棄却します。

6、統合ラウンド

第5ラウンドを経たのち、自由な議論をする場に進みます。ここでは反対意見を言った人たちが納得し、意見の提案者も納得するような修正案をつくるようにファシリテーターが議論を誘導していきます。第5ラウンドで複数の反対意見が出た場合はそれが無くなるまで、この作業を繰り返します。

続いて、空いている役割に人を選ぶ場合では、以下のようなステップを踏みます。

1、空いている役割について説明

ファシリテーターが、まだ人が割り当てられていない役割について説明をします。

2、誰が良いか投票

参加者がそれぞれその役割に適任だと思っている人を投票用紙に書きます。

3、共有

ファシリテーターは全員になぜその選んだ人が適任と思ったのかを発表してもらいます。

4、投票し直し

前ステップで、ミーティング参加者の意見をシェアし、その後もう一度参加者に、その役割に適任だと思う人を選んでもらいます。

5、選ぶ

ファシリテーターは一番票が集まった人を選びます。

6、通常のガバナンス・ミーティングの第5ステップへ

その後、先ほど紹介したガバナンスミーティングの第5ステップ(反対意見を述べる)に突入します。もし反対意見により、選ばれた人が適任ではないと決まった場合にはもう一度、候補者を選びなおします。これを、満場一致でメンバーが決まるまで繰り返します。

タクティカル・ミーティング

タクティカル・ミーティングでもガバナンス・ミーティングと同様にセクレタリーがスケジューリングや議事録を取り、ファシリテーターによって会議が進んでいきます。参加メンバーも基本的に、ガバナンスメンバーと同じです。そして、このミーティングの根底にある原則は透明性です。各メンバーが他のメンバーと現状シェアします。シェアする内容は以下の四つです。

プロジェクトとネクストアクション

優先順位

現在関わっているプロジェクトやネクストアクションの内、重要度の高いものを明らかにします。

見込み

現在関わっているプロジェクトやネクストアクションが代替どれくらいで終わるか、見込みを言います。

チェックリストと具体的な目標

普段のルーティーンワークなどをやっているかどうかを示したリストと、リードリンクなどから与えられた具体的な目標

タクティカル・ミーティングは以下の流れで進んでいきます。

1、チェックイン ラウンド

このラウンドでは、ファシリテーターが参加者の現状やそれに対する考えを述べてもらいます。

2、チェックリスト レビュー

それぞれの役割のチェックリストをシェアし、ルーティーンの仕事内容の進行状況を確認します。

3、メトリック レビュー

リードリンクから与えられた目標をシェアします。

4、進捗確認

プロジェクトやネクストアクションについて前回からどれほど進歩したかをシェアします。

他の役割の人にやって欲しいこと、今後自分がするネクストアクションやプロジェクトをシェアし話し合います。

5、クロージング

最後にファシリテーターが振り返りを促します。

まとめ

ホラクラシーは組織体制と運営方法に大きな特徴があり、今回の記事ではその特徴についてご紹介させていただきました。ヒエラルキー型と違い、各役割が自身の目的の達成に向け意思決定をしていくホラクラシー型では、上司が部下を管理するという概念がありません。そのため、全てをオープンにし、サークル内で各役割がお互いのことを把握する必要があります。また、組織体制も柔軟に変わっていくからこそ、その組織を規律する明確なルールが重要となってきます。各役割、サークルは全てガバナンス・ミーティングを経て決められたルールにのみ従います。

ただ、あくまでも本記事で紹介させて頂いたものはホラクラシーの原理原則です。実際にホラクラシーを成功させていくには、まずはホラクラシーがどういうものか、実際にやってみることが大切です。皆様も、新しい組織作りの形として、ホラクラシーという組織形態を考えてみてはいかがでしょうか?

次回、ホラクラシー組織の教科書と言われることも多い、名著「奇跡の経営」を参考に、ホラクラシー組織を行うメリットについてご紹介させていただきます。

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