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Case Study

【丸紅株式会社様】チームビルディング研修

業種
総合商社
会社規模
単体4,304名、グループ連結51,834名
ご利用サービス
チームビルディング研修(カスタマイズ研修)
対象者
電力・インフラサービス部門のメンバー

組織統合を「成長の原動力」へ。丸紅が挑んだ、違いを受け入れシナジーを生む土壌づくり

  • 課題

    2本部1営業部の統合に伴う、未知のメンバー同士の心理的距離と、戦略転換の加速化によるキャリアへの不安。同じフロアにいながらもコミュニケーションが不足し、互いの文化の違いから生じる「見えない壁」による停滞感。

  • 解決策

    「深い相互理解」と「チームで目標を達成する協働体験」を組み合わせたプログラムを実施。誰もが抱えていた統合への「不安」を結束力へと変換し、互いの違いを認め合える組織の土壌を形成。

  • 成果

    若手のリーダーシップ発揮、課会の在り方の見直しなど自発的な横連携の定着。互いの組織文化の強みを案件フェーズごとに掛け合わせたシナジーの創出。

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総合商社として世界規模の事業を展開する丸紅株式会社。同社の電力・インフラサービス部門は、2025年度の組織改編により、電力とインフラの2本部、及び新エネルギー開発推進部が統合し、総勢500名を超える巨大組織として新たなスタートを切りました。
同時に「川上」から「川下」へ、注力事業の転換の加速化が求められる中、現場は「異なる文化の融合」と「未知の戦略への戸惑い」という難題に直面していました。組織がただ隣り合わせに存在するだけの状態を脱し、真の「シナジー」へと昇華できるのか。

同部門が導き出した答えは、全員が抱く「統合への不安」をあえて共有し、「違いを受け入れる土壌」を作ることでした。


チームビルディング研修を通じ、組織風土はいかにして変わり、実践へと結びついたのでしょうか。
本プロジェクトを牽引した3名の皆様に変革の舞台裏を伺いました。


(写真左から)

  • 電力・インフラサービス戦略企画部企画課 浅野様
  • 電力・インフラサービス戦略企画部企画課 課長 桃井様
  • 電力・インフラサービス戦略企画部企画課 嶋田様

(以下:敬称略)

組織統合と注力事業の転換加速化。
500名の現場が抱えた「未知への不安」

2025年度の組織改編と注力事業の転換加速化の背景について、まずは詳しく教えてください。

桃井:2025年度から、中期経営戦略「GC2027」のもと、旧電力本部と旧インフラ本部、及び旧新エネルギー開発推進部が統合し、現在の新しい部門体制になりました。同時に、電力やインフラ事業に関する戦略転換の加速化が進められています。
これまで私たちの事業は、石炭やガス、また再生可能エネルギーを用いた発電所、あるいは大規模なインフラ設備などを建設・運営し、大型の資産を持ちながら、国や地方自治体と長期契約を結んで安定的に収益を得る「川上」のビジネスが中心でした。このビジネスモデルは環境変化に強く、長期的に安定した収益を生み出してきました。

しかし、昨今の投資家からは、投下資本に対してどれだけの収益を生み出しているかという「ROIC(投下資本利益率)」がより厳しく問われるようになり、よりアセットライト(資産を持たない状態)で稼ぐ力が求められる時代へと変化しています。さらに、太陽光などの再生可能エネルギーの普及により、海外メーカーの台頭が進み、技術的な差別化や価格面での優位性を保つことが難しくなってきたという市場環境の激変もあります。こうした背景から、私たちはより機動力が求められる電力卸売・小売事業や水道関連サービス事業、DXを活用した新事業などの「川下」の領域へと、ビジネスの戦い方を大きくシフトさせつつあります。

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戦略や体制が劇的に変わる中で、現場で働く皆様にはどのような影響や課題が生じていたのでしょうか。

嶋田:現場の社員にとっては、これまでの前提が覆る非常に大きな変化でした。注力分野がより川下へと変わってきたことで、これまで自分が手塩にかけて開発してきた川上の案件を一旦ストップし、資産のリサイクルを検討しなければならないケースも出てきました。今まで培ってきた専門性や経験がそのまま通用するわけではなく、「これからどういう風に仕事をしていけばいいのか」「この変化に自分をどう適応させ、キャリアを築いていけばいいのか」と、一人ひとりが自分の先行きに対して深く悩む時期だったと思います。

浅野:さらに、組織が統合されたことで、同じ部門の半分が「知らない人たち」という状態になりました。主に約300名の電力本部と約200名のインフラ本部が一つになったわけですが、「この人はどういう情報を持っていて、何が好きで、どんなキャリア志向で、何が苦手なのか」を全く把握できていないところからのスタートでした。

同じフロアにいながら「隣の人が誰かわからない」。
手探りのコミュニケーションが生んだ停滞感

全く異なるバックグラウンドを持つメンバーが突然同じフロアに集まったわけですね。
統合当初の現場の雰囲気はどのようなものだったのでしょうか?

浅野:最初はお互いに本音で話せず、探り探りのコミュニケーションが続いていました。物理的には同じ場所にいるものの、「今隣に座っているあの人は誰だろう?」「この業務は誰に聞きに行けばいいのだろう?」と、直接声も掛けにくく、わざわざチャットで「この案件って誰に聞けばいいの?」とこっそり確認し合うような状況がリアルにありました。フロア全体がなんとなくざわざわしているのに、コミュニケーションの絶対量は少なく、とても静かな空間になっていたのが印象的でした。


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なるほど。
旧電力本部と旧インフラ本部では、組織の風土や文化にも違いがあったのでしょうか?

桃井:部門の歴史や自分自身の経験を振り返ってみても、これほどまでに現場が深い不安を抱え、先行きに対して静まり返っているような状態はあまりなかったのではと思います。
旧インフラ本部は、組織の階層が比較的フラットで、多様なアイデアを発散させながら新規ビジネスに挑戦していく機動力に長けていました。一方の旧電力本部は、組織の体制やプロセスが非常にしっかりしており、物事を漏れなくダブりなく、緻密に詰めて着地させる実行力に強みを持っていました。こうした「発散」と「収束」という文化の違いがある中で、お互いのやり方に戸惑いを感じていた部分は間違いなくありました。

嶋田:ただ、決して表立った対立があったわけではありません。皆プロ意識を持って仕事に取り組んでいるため、ミスが起きたり業務が完全にストップしたりすることはありませんでした。しかし、お互いの違いを十分に理解できていないため、どこかで"作った"コミュニケーションになり、見えない壁が存在していたのは事実です。

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スキルではなく「心の土壌づくり」へ。
共通の不安を繋がりに変える

大きな体制変化、文化の違い、そして見えない壁。そうした課題に対して、なぜ「チームビルディング」というソリューションを検討されたのでしょうか?

桃井:当初は、新しい業務領域(川下)に向けた「スキル系」の研修を実施するべきではないかという議論もありました。しかし、戦略転換の加速化が求められているこのタイミングで本当に求められているのは、単なる知識やスキルの付与ではないと気づいたのです。みんなが「新しい戦略にどうフィットしていくか」に戸惑い、未知のメンバーとの関係構築に不安を抱いている。そうした中で、まずは新しい戦略に向かって全員がドライブできるような安心感と、「心の土壌づくり」のきっかけを提供することの方が遥かに重要だと考えました。

浅野:旧組織の違いや戸惑いはありましたが、私たちはこの状況をネガティブな対立構造とは捉えていませんでした。なぜなら、急激な変化に対し「これからどうしていけばいいのか」という『不安』を、電力出身者もインフラ出身者も等しく抱えていたからです。どちらか一方だけが順調で儲かっているような状況であれば亀裂が生じたかもしれませんが、今回は全員が「一緒にこの難局を乗り越え、新しい戦略に適応しなければならない」という強い危機感を共有していました。「部門の統合と戦略転換に対する共通の不安」こそが組織全員を強くつなぐ最大の共通点であると考え、この不安をエンジンにしてチームを確立するチャンスだと捉えました。

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その「心の土壌づくり」のパートナーとして、
アチーブメントHRソリューションズを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?

嶋田:一番の決め手は、「学術的な理論」と「体験できるワーク」が密接に組み合わさっている点です。総合商社の社員は、論理的な裏付けがないとなかなか腹落ちしないことが多くあります。理論を学んだ上で、実際にワークを体験することで「頭では分かっているつもりでも、いざやってみたら全然できなかった」という強烈な気づきを得られる。この実践的なアプローチが、論理的思考を好む私たちの組織風土に非常にマッチしていると感じました。

浅野:実際に、全員参加型のワークなどに真剣に取り組むと、普段の仕事のコミュニケーションの癖が見事に露呈します。最初はよそよそしかったメンバーたちも、ワーク中には必死に声を掛け合い、一つの目標に向かっていくようになります。分かりやすく何かを達成してチーム力が上がっていくのを体感できる仕組みに強く惹かれました。

【実践と変化】
研修で得た「共通言語」を武器に、
組織の枠を超えた真のシナジーの創出へ

研修中の現場の反応や、特に印象的だった学びを教えてください。

桃井:研修で実施した選択理論心理学の「5つの基本的欲求」※の診断は、現場で大きな話題になりました。これは、人が本能的に求めている価値観(モチベーションの源泉)を5つに分類したものです。
大きな気づきは、この「大切にしている欲求」が違うと、同じ言葉でも受け取り方が全く異なるという事実でした。例えば、仕事を振る際の「任せるよ」という一言。自由にやりたい欲求が強い人にとっては裁量を与えられる喜びですが、安心・安全を最優先する「生存の欲求」が強い人にとっては、「放り出された」という恐怖やプレッシャーに感じられる場合もあります。これを可視化できたことで、声がけの仕方を留意するようになったり、「そもそも欲求のポイントが違うんだから当然だ」と、違いをフラットに受け入れ、相手を認められるようになりました。
嶋田:若手からは「立場的リーダーと能力的リーダー」の概念が非常に印象に残ったという声が多くありました。これは、課長や部長といった『役職(立場)によるリーダーシップ』だけでなく、役職を持たない若手であっても、チームの目標達成に向けて自発的に影響力を発揮する『能力(振る舞い)によるリーダーシップ』を発揮していいという考え方です。この概念が、若手の背中を大きく押す収穫になりました。

※参考:5つの基本的欲求を活用したマネジメント
https://achievement-hrs.co.jp/ritori/management-with-choice-theory/

研修後、現場での実践やコミュニケーションにどのような変化が見られましたか?

桃井:「5つの基本的欲求」は、組織内の共通言語として日常の実践に落とし込まれています。マネジメント層にとっても、部下のモチベーションドライバーを把握するための重要な指標になりました。1on1ミーティングや業務のアサインメントにおいて、「この欲求が強いメンバーには、こういう伝え方をしよう」と、個別最適化されたコミュニケーションを強く意識するようになっています。

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旧電力本部と旧インフラ本部の文化の違いは、
結果としてどのように融合していったのでしょうか?

桃井:統合する際、異なる組織の色が混ざり合わない「マーブル模様」になる懸念もありましたが、今では明確に「シナジー」へと向かっています。
ゼロイチで新しいビジネスモデルを組むフェーズではインフラ出身者の「発散する力」を活かし、事業を緻密に着地させるフェーズでは電力出身者の「収束する力」で固める。共通の不安を分かち合い、欲求理論という共通言語の土壌ができたことで、お互いの色を消すのではなく、強みを適材適所で掛け合わせることができるようになりました。今では、電力出身かインフラ出身かという壁は感じられず、一つのチームとしての強い一体感が生まれています。


VUCA時代を勝ち抜く。自律的な組織文化の定着に向けて

相互理解をさらに深めるため、様々な取り組みをされていると伺いました。

桃井:はい。例えば、毎週の課会の進め方を工夫しています。私たちの業務は縦割りの部分が多く、「お互いが何をしているか分からない」という意見が研修の中で多く共有されました。そこで、課会の中で自分たちの業務についてプレゼンし合ったり、コーヒーを飲みながらフランクに話す時間を設けました。

嶋田:研修を実施する以前から、部門内のイントラネットで「部長・副部長陣によるリレーコラム」の連載がありました。部長・副部長がどんな人なのかを知ってもらえるよう、仕事の失敗談やパーソナルな趣味など、あえて人間味のある自己開示をお願いしています。これがきっかけで新しいつながりや飲み会が生まれることもあったのですが、今回の研修を通じてお互いの違いを受け入れる「心の土壌」ができたことで、コラムの内容や課会での対話が、より深く、好意的に受け止められるようになったと感じています。もともとの施策と、研修で得た共通言語が、うまく両輪として機能している状態ですね。

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最後に、今後の組織づくりの展望をお聞かせください。

浅野:統合はゴールではなく、これからが本当の勝負です。今回築いた「対話と相互理解の土壌」を一過性のイベントで終わらせず、自分たちで継続できる自律的な仕組みとして定着させていくことが私たちの役割だと考えています。

嶋田:若手メンバーがさらに躍動できるよう、部門長や経営層とフランクに交流できる機会を自発的に創出し、階層を超えた対話の土壌をさらに広げていきたいです。

桃井:会社として「2030年までに時価総額10兆円超」という非常に高い目標を掲げる中、我々の部門も圧倒的なスピードで戦略転換や新しいビジネスの創出をドライブさせていかなければなりません。そのためには、前線で戦う社員たちが気持ちよく、高いモチベーションで実務に邁進できる環境が不可欠です。企業のM&Aや大規模な組織再編など、日本社会は今、変動の時代にあります。
私たちが今回体現した「不安を共通点にし、違いを力に変えるアプローチ」は、変化を勝ち抜くための必須のOSになると確信しています。アチーブメントHRソリューションズには、今後も我々の組織をさらに強くするための「意味のある斬新な仕掛け」を共に創っていただきたいと期待しています。

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担当コンサルタントからのメッセージ

丸紅様では例年、チームビルディング研修をご支援しておりますが、今回は社長交代や大規模な組織統合、主力事業の変化が重なる激動の渦中での実施でした。ご担当の3名様ご自身もその変化の最前線におられ、「現場の現状を何とかしたい」という強い想いをひしひしと感じました。このタイミングだからこそ、スキルよりも「マインドセット」に立ち返る学びが必要だと共鳴し、プログラムを設計しました。学びを4時間の研修で終わらせず、日常業務で自然と活かしていただけるよう、実践的な共通言語の浸透にこだわりました。
今回の取材を通じ、これらが現場で確かに活用されていると伺い、大変嬉しく思います。今後もご要望にお応えし、共に組織を創り上げるパートナーとして伴走してまいります。
(永田将)

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