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3拠点合同の女性オペレーター交流会を開催。性別によるブレーキを外し、理想のキャリアや成長を実現するためのアクションを促進。
「ココロも満タンに」というブランドステイトメントで親しまれているコスモ石油株式会社様は、エネルギーの安定供給とサステナビリティ経営を推進するエネルギー会社の老舗です。原油を精製してガソリン・灯油・軽油・重油などの石油製品を製造する製油所は、堺・千葉・四日市の3拠点に展開。今回は、製油所で装置の運転・制御を行い、冷静な判断力と迅速なトラブルシューティングが求められるオペレーター職として働く女性のご支援をさせていただきました。インタビューでは、堺製油所人事教育課の川端様にお話を伺いました。
(以下:敬称略)
———— 御社の事業内容について教えていただけますでしょうか?
川端:コスモエネルギーグループは「石油開発事業」「石油の精製・販売」「石油化学事業」「再生可能エネルギー事業」という4つの事業を柱としており、堺製油所は1968年に操業を開始しました。敷地面積約1,250,000㎡(東京ドーム26個分)の広さを誇り、1日に約32万台の車を満タンにできるだけのガソリンを生成する原油処理能力を有しています。堺製油所独自の特徴としては、限りある資源を有効活用する画期的な装置「重質油熱分解装置(コーカー)」を備えています。また、CO2排出を大幅に削減できる、環境に優しい持続可能なジェット燃料である「SAF:Sustainable Aviation Fuel」の国内初の大規模生産設備が今春稼働を開始しました。
———— 業界の現状や変化について感じていることはありますか?
川端:業界的にもCO2の排出量を実質的にゼロにする脱炭素化へと取り組みが加速しており、弊社では2023~2025年度をターゲットとした中期経営計画で「Oil&New~Next Stage~」をスローガンに掲げ、会社も新たなステージへと入りました。「古き良きものを重んじること」と「新しいものにチャレンジすること」、この一見相反する価値観の融合が大変な場合もあります。特に製油所では守るべき安全があるからこそ、昔ながらの思考が根強い部分もあります。
———— 川端さんの入社経緯を教えていただけますか?
川端:私は2023年に新卒で入社し、堺製油所の勤労課(現:人事教育課)に配属となりました。コスモエネルギーグループへの入社を決めたのは、実は「女性が働きやすい会社」だと思ったからです。高い水準の子育てサポート企業として、石油元売り業界で初めて厚生労働大臣認定「プラチナくるみん」企業になっているなど、ライフイベントを経ても長く働き続けられる会社だと感じたのが大きかったです。
正直、製油所への配属を聞いた時には驚きましたが(笑)、現場のことをしっかりと学んだ上で本社に来た時にそれを活かせる人事を育てたいという背景を聞いた時に、頑張りたいと強く思いました。3年目の現在は、新卒採用・中途採用、労務、厚生設備、異動・昇格など人事部門全般を担当させていただいております。
———— 今回のテーマでもある女性の働き方に繋がるお話でしたが、御社が女性活躍推進に力を入れている背景や変遷をお聞かせください。
川端:コスモエネルギーグループではDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の実現に積極的に取り組んでおり、性別等に関わらずあらゆる従業員が能力を最大限に発揮できる環境づくりに力を入れています。
2020年から採用した女性オペレーターの皆さんは、現時点までに結婚・出産している方はいらっしゃらないのですが、そういったことはできないだろうと考えている女性も中にはいらっしゃいます。その背景には、「子どもがいる状態で交替勤務ってできるのだろうか?」「他の社員に負荷をかけずに、育休を取ることはできるのだろうか?」といった現実的な不安が表出していました。
———— なるほど、組織全体ではどのような施策を行っているのでしょう?
川端:今回アチーブメントHRソリューションズに研修をしていただく前から人事面談やヒアリングは頻繁に行い、そういった悩みや不安を表出しやすい場づくりに努めていました。また、設備面においては女性だけが使える休憩室や仮眠ができるスペース、シャワールームなどの投資をしています。ただ現場からは「なぜ女性ばかり?」といった声が上がることもあるので、公平性の担保は重要ですね。
———— 今回、そのような課題に対する解決策として、どのように交流会が企画されたのでしょうか?
川端:きっかけは人事面談の中で、ある女性オペレーターの方から、同じように女性オペレーターとして働く方々の話を聞いてみたいという声があり、現場のヒアリングを行いました。ヒアリングを通して、改めて悩んでいる女性が多いことがよくわかりました。女性オペレーターの皆さんは工業高校出身の方が多いので男性が多い環境には慣れているものの、男性50人の中で女性は自分1人という職場でのコミュニケーションには苦労していました。
具体的には「高いところに手が届かないような場合に、男性に協力を要請するのが申し訳ない」「ご飯などに誘いにくい、または誘いを断りづらい」「月経にともなう体調不良で自分が休む際、急遽誰かに代わりに出勤してもらうようお願いをすることが申し訳ない」など多くのことに気を遣っており、人事側が想定していなかった側面も浮き彫りになりました。また、男性から過度に気を遣われることに居心地の悪さを感じるという声もありました。そこで1対1の人事面談ではなく、千葉と四日市の製油所も合同で、女性オペレーターの皆さんが意見交換できる場を設けてみようと思ったのが始まりです。
———— そういった企画を進める中で、アチーブメントHRソリューションズをパートナーとして選んでくださっている理由を教えてください。
川端:アチーブメントHRソリューションズの強みは、一番にその会社に寄り添ってくれるところだと思っています。担当コンサルタントの西さんは毎回製油所に足を運んで、特殊な分野や環境を細やかに理解しようとしてくれます。直接現場を見て、そこで働いている人がどのような人なのかを理解するために対話を重ねてくれましたし、懇親会の場にも顔を出してくれることに感謝しています。そこまで現場にこだわった上で提案をいただけるコンサルティング会社は、これまでなかったです。
また、こういった企画系の施策をどのように進めていったらいいのかというところがわからなかったので、専門的な知見やアドバイスをいただけることが助かりました。西さんだったら一緒に進めてくれる、一緒に歩めるという安心感が決め手でした。
———— ありがとうございます。実際の交流会はどのようなことを実施しましたか?
川端:堺製油所にて3拠点合同開催、2日間の設計にしました。1日目の午前は製油所の現場見学を行い、お互いの製油所の特徴や改善できることなどを意見交換しました。午後は「ダイバーシティワーキング」に関するテーマディスカッションとして、約10個のテーマの中で気になっている話題を選んでグループディスカッションをしていただきました。
2日目がアチーブメントHRソリューションズの研修になります。「キャリアオーナーシップを獲得し、自身の理想のキャリアの道筋を描けるようになること」を今回の研修の目的としました。午前は一人ひとりの入社動機やここで働いている理由を共有いただいた上で、今抱えている不安や気がかりの根本にあるものは何なのかを明らかにしていきました。そして「キャリアに対する当事者意識を高める」セッションとして、コントロールできるものとコントロールしづらいものの区分けをすることや大切にしている価値観の言語化、ワクワクする未来を言語化することに取り組みました。
午後は「キャリアを明確化する」セッションとして、目標プランニングシートを活用しながら具体的に1年後、3年後、5年後、10年後、どのようなキャリアビジョンを達成したいのかを明確にしていきました。そして明日から現場で取り組む3つのアクションを考え、最後はプレゼンテーションを行っていただきました。
———— キャリアオーナーシップとは「当事者として主体的に捉え、できることを自ら考えて行動しようとする態度」のことですが、つまり「自分で自分の人生のハンドルを握る」ことを意味しています。
川端:はい、20代前半は人生の先のことや未来のことをしっかりと考えられていない、またはどういったことを手がかりに考えたらいいのかわからないことが多いです。研修参加者の皆さんには、会社に期待するばかりではなく、自分でキャリアを切り拓いていってほしいと思っていたので、キャリアオーナーシップの概念は今回の企画にマッチしていたと思います。
———— 女性オペレーターの皆さんにはどのようなメッセージが伝わったと思いますか?
川端:「こうしてほしい」という受け身な姿勢ではなく、色々なブレーキを外して自らの理想のキャリアを描き、アクションを起こしていくことが大切であるというメッセージが伝わったと思います。研修前のヒアリング段階では「設備を整えてほしい」「人数を増やしてほしい」など会社への要望が多く挙げられる一方で、自分の未来やキャリアのことを考えられていないということが気になっていました。単に設備や人数といった外部環境の変化を求めるだけではなく、それがあることによって「自分は○○ができる」「自分は○○をしていく」といった物事の考え方に変わってほしいと期待していました。
研修後は自分で立案した目標プランニングシートや3つのアクションを意識して実践し、女性オペレーターとして成長していくための経験を取りに行く行動に変化しました。
———— ありがとうございます。講師に対してはどのような印象を持ちましたか?
川端:良い意味で講師が目立つのではなく、参加者一人ひとりの意見をしっかりと引き出してくれました。当初、女性講師のイメージでしたが、性別に関わらず参加者の中に入って中立的に進行できる講師という観点からアテンドいただけて良かったと思っています。
———— 今回の交流会を踏まえて、これから行っていきたいことはありますか?
川端:女性オペレーターの採用は継続するとともに、働きやすさ・働きがいを高める環境づくりに力を入れていきたいと思っています。託児所設置の可能性や、月経に関する部分でピルの補助が有効であるかなどを検討しており、アイディアは多く出ているので実現可能なものから形にしていきます。そして女性オペレーター交流会は定期的に開催し、当事者同士が関わる場づくりを継続することによって、ゆくゆくは女性オペレーターが組織に向けて自ら意見を言い、環境をつくっていくような風土を醸成したいと考えています。また、交流会で収集した意見は人事から男性社員に伝えていきたいと考えています。
他には同業他社の人事との意見交換会も定期的に開催しているので、ともに高めあい、一緒に頑張っていきたいと思っています。
———— 御社の中で女性活躍の先にある理想の状態や今後の展望をお聞かせください。
川端:理想の状態は「男性・女性という意識がなくなること」だと思っています。同じ「人」として無意識に当たり前にそこに存在している状態、性別によって諦めることがない状態を目指しています。休暇の取り方や子どもの行事など、そういった事柄に対して「女性だから」と制限をかけることなく、誰もが幸せを追求し自分の未来に自信を持てる会社にしていくことが今後の展望です。
製造業における女性登用の推進に際して、社員が「入社後にどのようなキャリアを描けるのか」「どのようにキャリアを築いていくのか」といった点に壁を感じておられる企業様からのご相談が、近年特に増えてきています。
しかしながら、近年のキャリアに対する考え方は、もはや業種による違いや男女の性差という枠組みだけで捉えるものではなく、“自らのキャリアの舵を自分で握る”という主体的な意識のもと、一人ひとりが向き合うべきテーマとなっています。
一方で、今回の受講生の皆様が置かれている現場においては、“ロールモデル”となる存在が極めて少ないことが、キャリア形成への当事者意識を持ちづらくしている要因の一つとなっていました。
こうした課題に対してコスモ石油様はいち早く対応策を講じ、具体的なアクションの数とそのスピード感からも、業界をけん引していくという強い姿勢と熱意を感じます。今後も各階層に応じた研修や関連施策のご支援を通じて、皆様のパーパス実現に向けた真のパートナーとして、共に歩んでまいります。
(西 瑞生)
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