Case Study
【株式会社ベネッセコーポレーション様】マネジメント研修
- 業種
- 教育・出版サービス
- 会社規模
- 1001名~5000名
- ご利用サービス
- マネジメント研修
- 対象者
- 課長層、マネジメント層
市場の環境変化への適応が迫られる課長層のマネジメント変革に成功
-
課題
お客様の真の課題を引き出す新たなアプローチとメンバー育成の両立
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解決策
現場の課長層の当事者意識とリードマネジメントスキルの向上施策を導入
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成果
土台となる共通言語が形成され、課長層とメンバーの行動にも変化
ベネッセグループが時代を越えて語り継ぐ企業哲学、「Benesse=よく生きる」ということ。これはラテン語のbene(良い・正しい)とesse(生きる)に由来します。誰もが自分らしく豊かに生きられる世界の実現を目指し、人生のあらゆるステージに寄り添う5つの事業領域を展開しています。今回はその中でも、学校支援をリードする学校カンパニーの課長層向け研修をご支援させていただきました。導入の背景や成果についてお伺いいたします。(以下:敬称略)

パンデミックが変えた市場環境で、立ち向かった3年間。
ベネッセコーポレーション様には2022年以降、継続してリードマネジメント研修を導入いただいております。その背景にはどのような時代の変化と課題があったのでしょうか?
田村:弊社は1955年の福武書店の創業に始まり、学校事業において高いシェア率を誇っています。全国の高等学校では弊社の模擬試験を中心としたサービスを、小中学校ではタブレット学習ソフト「ミライシード」や「EDUCOMの学校支援システム」を多くの学校に導入いただいております。昔からのお客様とのお付き合いも強いのですが、学校市場を大きく変えたのが、まさに2020年の新型コロナウィルスでした。
下村:北海道から九州まで9支社あります。高等学校すべてに学校担当者がおり、1人が30~40校を担当しています。パンデミックとなる前は、実際に学校を訪問して先生方と情報交換をして課題解決をするというスタイルが通常でした。しかし、コロナを機に2020年4月から2023年5月までの約3年間、学校に訪問することができなくなりました。私たちもオンラインへの切り替えを強いられましたが、先生方との関係性にも変化が生まれ、「しっくりこない」という感覚を多くの社員が経験しました。
どのようなところが「しっくりこない」原因だったのでしょうか?
田村:オンラインでは事前にアポイントを取る必要がありますが、何のために時間を取っていただくのかという明確な目的が必要になります。それまでの気軽なコミュニケーションが減り、「お客様からの真の課題を引き出しづらい」というのが一番の悩みでした。お客様に会える頻度の少なさ、そして具体的なご相談をいただける機会の少なさをいかに解決するかが課題でした。
下村:例えば東日本大震災の時は「教育を何とかしなければならない」というプラスの方向の動きもありましたが、コロナ禍ではすべてを緊急事態宣言など環境の変化を言い訳にできてしまうような側面がありました。そしてオンラインだと、どうしても人と人との心の触れ合いというものが少なくなるので、やりがいを感じにくいというのもありました。
目指したのは、課長層の当事者意識と責任を果たす強い志。
そのような状況の中で課長層にはどのような苦労があったのでしょうか?
下村:緊急事態宣言中は100%リモートワークになり、メンバーの様子が見えにくくなりました。すべて1on1で時間を取らなければ繋がることができない状況の中で、特に新入社員で入ってきたメンバーの育成も変化が求められました。現在の課長層が育ってきた時代はどちらかというと体育会系で一体感をもって成果を出すというスタイルでしたが、現代においてはメンバーの価値観も多様化し、一つひとつの活動の意義が腹落ちしないとなかなかアクションに繋がらないという特徴があります。
田村:課長層はコミュニケーションにおいても、けっこうメンバーに気を遣っていたと思いますね。大学時代の途中からコロナ禍に入った世代では、チャットなどテキスト上のやり取りが当たり前だったり、同期との繋がりも少なかったりします。その中でいかに内発的動機づけをしながらマネジメントするかということには腕が必要です。これまでそういったマネジメント研修はなく、先輩を見ながら自分で工夫する形でやってきましたが、それが通用しなくなってきた状況において、専門的にスキルを学べる研修が必要だと思いました。
研修を通じて、課長層の皆様にはどのような成長を期待していましたか?
田村:現場に一番近い課長層が当事者意識を持って、新しいマネジメントスタイルに変えることができれば組織は変わっていくと考えました。厳しい環境下で弱気になってしまう状況から、まずは課長層が「自分が役割を果たすのだ」という強い志を、態度と実績でメンバーに示していってほしいという期待を持っていました。そこで外部のコンサルティング会社の力も借りて、重点的に育成に向けて動き出すこととなりました。
アチーブメントHRソリューションズとの出会いのきっかけや導入の決め手になったものは何だったのでしょうか?
谷井:グループ会社でアチーブメントHRソリューションズの研修を導入しており、担当者より評判は聞いておりました。実際に研修のコンテンツが体験できるマネジャー研修体験セミナーに参加をした際、講師の受講者への配慮が素晴らしかったです。受講者の気持ちを汲んだ上ですべての質問に的確な回答を返してくれるところや、講師が自分自身のマネジメント体験を惜しみなく共有いただけるところがよかったと思いました。また、投影スライドに補足説明を書き込みしながら進めていたり、適宜視覚的なエフェクトがあったりと、他社と比べて運営方法に秀でていました。
田村:最終的な決め手になったのは、型どおりのパッケージ商品ではなく、弊社の要望を汲んだ上でカスタマイズ設計をしてくれる力があったことです。担当コンサルタントの方との打ち合わせを重ねる中で「これってどうですか?」という質問をした時に、曖昧なフワッっとした回答ではなく、いつも明確にズバッと返してくれるところが信頼できました。
ありがとうございます。実際の研修では、特に印象に残っている学びのセッションはありましたか?
谷井:研修の目的に「課長層が当事者意識を持って、責任を果たしていく」ということが根本にありましたが、まさに「責任と被害者」のセッションに最も反響がありました。責任とは「自分が源と考え、他者や周り、自分を責めずに目的・目標達成のためにできることを考え行動すること」であり、その反対が「被害者を演じている」状況だと学びました。人のせいにしている間は、人にコントロールされているのだということに気づかされたという内容がアクションプランニングシートにも多く出てきていました。
下村:課長層の特徴として、営業上がりで基本的に話したがりのタイプです。普段はなかなか関わることのない全国の課長同士が意見を出し合いながら、講師がそこで出てきた質問に対して解決策を的確にフィードバックをしてくれるという好循環が効果的だったと思います。また、講師自身も過去に外的コントロールによるボスマネジメントをしていたことや、大失敗した経験などを本当にオープンに話してくれたことは受講者の納得感を引き出していました。
谷井:内発的動機づけを基にしたリードマネジメントが大事なのは重々わかるが、時にはボスマネジメントも必要なのではないかという疑問は多くの人が持っていると思います。それを率直に受講者が講師に質問した際に、「決してリードマネジメントはメンバーを甘やかして寄り添うことではなく、常により高い成果を追い求めるものである」ということを具体例含めて丁寧に説明いただき、全員が正しい理解ができたと思います。フレームワークや自己評価のチェックリストも思考の整理に役立っていました。
土台となる共通言語が生まれ、マインドと行動が変わる。
研修後、現場に戻った課長層の皆様にはどのような変化がありましたか?
田村:「自分が責任を持ってメンバーを育成する」「自分が組織の方向性を指し示す」という当事者意識が強くなったと確信しています。メンバーに気を遣いすぎるのではなく、言うべきことはきちんと言った上で組織を正常化するということができています。お客様との接点も増えてきて、真の課題を聞き切るということを課長がやってみせて手本になることで、メンバーのマインドや行動も変わってきました。課長層の中で研修の学びがしっかりと腹落ちしたのだなと実感しました。
下村:研修後も社内に土台となる共通言語ができたことはとても大きいです。研修を受講した課長層が同僚やメンバーにも学びをシェアしていることで、「これって被害者意識?」のようなワードが出てくるようになったことは、組織全体で責任を果たしていく土壌づくりに役立っていると感じます。フィードバックする際もそれ自体を恐れることなく、リードマネジメントにもとづく声かけの仕方を実践してくれています。
これからの社員育成で力を入れていきたいことを教えてください。
田村:パンデミックを経験して、基本的な足腰を固めたというのが今の状況だと思います。多くのお客様の課題に応えられる私たちであり続けるために、今後は課長層だけではなく、若手層の研修や育成にも力を入れて、組織としての底上げを図っていく予定です。
下村:今回の研修で課長層にはメンバーをマネジメントするスキルを学んでいただきましたが、メンバーが自律的にスキルアップしていくためのアドバイスができているかというと、また別の課題です。今まではそれぞれの時代において各自が体験してきた範囲内でアドバイスをしてきましたが、今後は体系的に育成スキルを学べる環境を整えていきたいと思っています。そしてスキル以前にマインドの部分においても、目標達成をするということだけではなく、メンバーを育成するということへの面白さや情熱を持ち合わせた社員を育成していきたいと思っています。
教育に懸ける熱い想いと、パーパスに基づいた事業発展。
最後に、10年後、20年後の未来に向けて成し遂げていきたいことを教えてください。
田村:パーパスに基づいた事業発展を成し遂げていきたいと思います。全国すべての小学校・中学校・高校にこれからも真摯に向き合っていきます。1つの会社が教育市場にこれだけの影響力を持てるということは本当にありがたいことであり、同時に私たちがお客様のためになる仕事をしなければ日本の教育の質が落ちてしまうという強い想いを持って、事業を発展させていく所存です。現状、自己肯定感が低い子どもたちが多いというデータもあり、学校現場は「明るく未来に向かって生きていく子どもたちに育てるにはどうしたらよいか」という課題に直面しています。子どもたちが持つ可能性を信じ、夢や理想の実現にどこまでも寄与できる会社として、私たちも益々研鑽を積んでいきます。
下村:10年後、20年後、移り変わる環境の中で私たちの商品もリブランディングしていく必要があります。でも時代が変わっても私たちが大事にしたいのは「学校とともに、未来を担う子どもたちを育てる」ということです。子どもたちが社会で活躍し続けるために、生涯学び続ける土台づくりを支援していきます。
谷井:私たちのカンパニーの強さは、一人ひとりの社員が教育に懸ける熱い想いとパーパスへの共感を持って入社しているところにあります。マネジメントの在り方によって一人ひとりの能力の引き出され方が変わってくるからこそ、最大限引き出すことができれば、この組織はまだまだ大きくなると感じています。人事・育成担当者としてそこに気概を持ってチャレンジを続けます。
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