ジタハラ(時短ハラスメント)とは?デメリットや原因、事例、対策方法を紹介

ジタハラとは、時間短縮ハラスメントの略語です。近年、国内外の様々な場面において、ハラスメントが問題となっています。セクハラやパワハラ、マタハラ、オワハラなどハラスメントの種類はたくさんありますが、その中でも急増しているのがジタハラです。この記事では働き方改革に伴って急増するジタハラのデメリット、発生する原因、対策方法について、実際の事例を交えながらご紹介していきます。

ジタハラとは

ジタハラとは「時間短縮ハラスメント」の略語です。ジタハラとは、残業の削減に関する具体的な方策がないまま、会社の上層部が社員に対して「残業をせずに早く帰れ」と定時退社を強要することを指します。ジタハラは、日本政府が近年推し進める「働き方改革」に伴って、全国各地で発生数が急増しています。2018年にユーキャンの新語・流行語大賞にノミネートされたのがきっかけで、注目を集めるようになりました。

ジタハラの発生状況

2017年に高橋書店は、全国の20代から60代のビジネスパーソンを対象に、「働き方改革」に関するアンケート調査を実施しました。その中で、「『働き方改革』に関する取り組みが導入されたことにより、困っていることはありますか?」という設問で、約4割の人が「働ける時間が短くなったのに、業務量が以前のままのため、仕事が終わらない」と回答しています。このことからも、ジタハラが増えていると考えられます。

参考:高橋書店  働き方改革に関する調査

ジタハラがもたらすデメリット

そんなジタハラがもたらすデメリットは、大きく分けて3つあります。

・生産性の低下

・休職率・離職率の上昇

・企業のブランドイメージの低下

では、それぞれについて詳しくご紹介していきます。

生産性の低下

ジタハラを受けた社員の多くは、自宅やカフェでサービス残業を行うようになります。しかし、サービス残業中の給料は支払われないため、社内で残業を行っていたころに比べて、社員の給料は実質的に減給されてしまうことになります。残業時間を減らすことは非常に価値のある取り組みですが、そのせいで労働に対する正当な見返りが得られなくなってしまう場合、業務に対する社員のモチベーションを著しく低下させてしまう可能性があります。その結果、生産性の低下が発生してしまいます。

休職・離職率の上昇

ジタハラが続けば部下の労働に対するモチベーションは低下し、それが離職につながることも多々あります。そして、離職率の上昇は採用コストの上昇につながるため、ジタハラは企業活動に直接的な悪影響を与える可能性があります。また、たとえ離職しなくても、場合によっては身体を壊したりして休職してしまうこともあります。休職が発生すれば医療費負担が増加し、コストの上昇が考えられます。

企業のブランドイメージの低下

昔に比べて、近年はツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や企業の口コミサイトの流行により、企業の悪評が高速で広がる傾向にあります。これは企業のブランドイメージを低下させ、今後の採用活動や企業の生産性にも悪影響を与えかねません。また、一旦悪いイメージが広まってしまうと、それを覆すにはかなりの時間がかかってしまいます。場合によっては企業の存続にまで影響してしまう可能性もあります。

ジタハラが発生する原因

それでは、ジタハラはなぜ発生してしまうのでしょうか。

ジタハラが発生する原因は、『働き方改革をした結果、業務量は減らずに、減ったのが労働時間だけ』ということです。

近年、日本政府は「働き方改革」を推し進めており、その一環として残業時間の削減を目指す企業が増えています。残業時間を減らすことは「働き方改革」のための適切な方法であり、そのこと自体に問題はありません。

しかし、ここで問題となるのは、減らされるのが残業時間だけだということです。つまり、「就業時間」は減ったものの、「業務量」そのものは減っていないという事態が発生します。結果として、社員は業務時間内で終わらなかった仕事を家に持ち帰り、実質的な残業を行うことになります。残業時間の削減という企業の目標だけを見れば、表面的には達成されているように見えますが、業務量の削減が行わなれていないため、社員に大きな負担と不満をもたらすこととなります。

さらに、ジタハラで家に持ち帰った仕事はほとんどの場合、残業として扱われません。ですから、社員から見ると残業代が支払われなくなったと捉えることもでき、結果として社員のモチベーションが低下する可能性もあります。

「働き方改革」の本質は、部署や社員の作業効率を上げることにあります。その結果、業務時間内に仕事を終えられるようになって残業が減少し、結果的に残業時間の減少につながるのです。しかし、この本質を見落とし、ただ残業時間を減らしてしまうと、「残業時間は減ったのに残業は減っていない」状態が発生してしまい、ジタハラにつながってしまうのです。

ジタハラの発生事例

それでは、実際のジタハラにはどのようなケースがあるのでしょうか。実際のジタハラの事例についてご紹介します。

仕事が終わらず、上司から文句をいわれうつ病になったケース

Aさんの会社では「働き方改革」が行われ、その結果Aさんは上司から定時での帰宅を命じられることになりました。しかし業務は減らず、膨大な仕事量に悩まされるAさん。結局仕事は終わらず、さらにそのことを上司から責められる日々が続きました。その結果、Aさんはうつ病を発症してしまい、最終的に会社を休職するに至りました。これはジタハラの典型例で、全国的にも多発しているケースです。

社員が自殺し、裁判に発展したケース

ジタハラが社内問題で完結している場合はまだ手に負えますが、ジタハラが社外にまで拡大してしまったケースもあります。その一例が、中間管理職の方が部下へのジタハラを食い止めようとした結果、身体を壊し過労自殺に至ってしまった事件です。これはホンダカーズ千葉事件と呼ばれ、最終的には民事裁判にまで発展しました。

この事件では、ホンダカーズ千葉の元店長が部下の残業を減らすために、自らが部下の分の仕事を引き受け、長時間の労働を行っていました。その結果、元店長は精神疾患を患い、自殺することになってしまいました。千葉労働基準監督署は、元店長の自殺は膨大な仕事量が原因であったことを認め、元店長の自殺を労働災害だと認定しました。その後、遺族の方がホンダカーズ千葉に対して民事訴訟を起こし、裁判になりました。最終的にホンダカーズ千葉は、元店長の自殺の原因が、過大な業務によって心理的および身体的な負荷を受けたことにあったことを認め、和解するに至りました。

参考: ホンダカーズ千葉「不条理なジタハラ」の悲劇はなぜ起こったか

ジタハラの対策方法

企業活動に大きな影響を与えうるジタハラですが、それではどのように対策を行えばよいのでしょうか。

ジタハラを対策する方法には、主に3つの観点が重要になります。

・就業時間ではなく仕事量を減らす

・労働力を増やす

・社員一人当たりの労働生産性を高める

では、その3つのポイントについて、詳しくご紹介していきます。

就業時間ではなく業務量を減らす

まずは、組織単位で業務量を減らすことが大切です。業務時間内にすべての作業が終わるように調節することで、社員への負担は減っていきます。これにより、本当の意味での働き方改革が実現していくことになります。業務量を減らすためには作業工程の見直しが不可欠ですし、無駄な業務がないかを逐一チェックすることが必要です。例えば、「会議は本当に1時間必要なのか、30分でも良いのではないか?」など、社内業務における常識をいま一度疑い、改善の意識を社員全員が持つ必要があります。

労働力を増やす

ジタハラを起こさずに働き方を改善していく方法として、労働力を増やすことも効果的です。昨今では、新しく中途採用に注力を始める企業も多く、シニアやフリーランスの力を借りて、労働力の強化を図る企業が増えています。しかし、社員の採用や育成にはコストが大きくかかるため、労働力を増やすことが現実的でなければ、代わりに業務効率化のためのソフトウェアなどを導入することも一つの手段です。ソフトウェアの導入は多くの場合、社員を一人採用するよりも安く済む場合が多いのでオススメです。しかし、ソフトウェアでできることには限界があり、単純な集計や計算、転記などが主な機能となっています。ですから、導入をする際には軽減できる作業がどのくらいあるのかを見極めることが重要です。

社員一人当たりの労働生産性を高める

ジタハラを起こさずに働き方を改善する方法として、社員一人当たりの労働生産性を高めることも効果的です。労働生産性を高めるための要素は多岐にわたり、「企業方針への共感」「仕事内容」「給与」などがあります。ですから、社員の労働生産性を高めていくうえでは、「多岐にわたる要素のうちどの要素が生産性を下げ、どの要素が高めているのか」を明確にしていくことが重要です。

生産性に影響を及ぼす要因とその現状を分析する方法にはいくつかありますが、昨今最も注目されているのが「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは、企業と社員のつながりを示すものであり、エンゲージメントが向上することで企業に対する社員の自発的な貢献意欲が高めると言われています。

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まとめ

ジタハラは、社員の労働時間の短縮を意図した企業の取り組みによって、業務量が減っていないのに就業時間が減らされることが原因です。ですから、企業には就業時間を減らすというよりも、業務量を減らすことへの意識が必要となります。もし、社員の就業時間を減らそうとお考えの方がいらっしゃいましたら、「仕事量を減らす」「労働力を増やす」「社員の労働生産性を高める」という3つの観点から、施策を考えてみてはいかがでしょうか?社員の立場に寄り添った抜本的な対策を実施するために、この記事を通して少しでも貢献できれば幸いです。

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