パワハラを防止するにはまず怒りをコントロールする

パワハラを防止するにはまず怒りをコントロールする

パワハラの定義・基準・対応についてこれまで紹介してきました。ですが結局のところ、パワハラをなくせなければ問題の解決にはなりません。では、パワハラを防止するにはどうしたらいいのでしょうか。パワハラが起きてしまうケースとして、部下に成長や成果を期待するあまり、パッとしない成果のままの部下にイライラしてしまい、強く当たってしまうというものが多くあります。強く当たったことがパワハラだと言われてしまっては、せっかくの部下への期待も無駄になってしまいます。そうならないためにも、管理する立場にある人は怒りという感情をコントロールする技術を身に付けなくてはなりません。そこで今回は、パワハラを防止するために管理職に身に付けてもらいたい怒りのコントロール方法をご紹介します。

パワハラを防止するために怒りの仕組みを知る

パワハラを防止するための怒りのコントロール方法を学ぶ前に、なぜイライラや怒りが生まれるのかについて解説します。怒りをコントロールして適切に対処するためのスキルである「アンガ―マネジメント」では、怒りを「第二次感情」と定義しています。そして、「第二次感情」である怒りの根底にはネガティブな「第一次感情」が存在すると言っています。

第一次感情はネガティブな感情

人はそれぞれに、ネガティブな感情を溜めておくことのできる器を持っています。その器に溜まるのは、不安や寂しさ、悲しさ、不自由さ、承認欲求が満たされないこと、楽しくない、睡眠不足から来る気だるさといった負の感情です。こういったネガティブな感情を「第1次感情」と言います。そして、第一次感情は発散されない限り、器一杯になるまで溜まっていきます。

第二次感情が怒り

器が第一次感情でいっぱいになると、それ以降に生まれた第一次感情は、器から溢れてしまいます。この器から溢れ出したネガティブな感情が「怒り」になると言われています。つまり、「怒り」は第1次感情が姿を変えたものなのです。

パワハラを防止するために第一次感情の原因を解明する

では、怒りがどのようにして生まれるのかが分かったところで本題に入っていきます。第一次感情が器から溢れ、怒りが生まれてしまった場合には、どのように解消したらいいのでしょうか。

生まれてしまった怒りは、発散しない限りなくなりません。ですが、人や物に当たるという発散方法を選択してしまうと、パワハラになる可能性があります。ですので、パワハラを防止するには、怒りという感情に振り回されて人や物に当たるのではなく、怒りという感情の根源をなくすことがポイントになります。

ほとんどの人は、怒りを発散する方法として「怒りの感情をぶつける」ことしか知りません。確かに、人に怒鳴り散らしたり、ものに当たることには、怒りを発散する効果が多少はあります。ですが、それでは怒りの原因となった第一次感情の発生を止められず、再び第一次感情で器がいっぱいになり溢れれば、怒りが生まれてしまいます。怒りをコントロールするには、怒りの素となる第一次感情に焦点を合わせ、第一次感情が生まれている原因を掴むことがポイントです。

例えば、部下のミスに対して強く当たってしまう上司がいたとしましょう。この上司の怒りの源泉である第一次感情は、「部下への期待を裏切られた悔しさ」や「自分の責任になることへの不安」などが考えられます。怒りをコントロールするには、まずこの「悔しさ」や「不安」といった第一次感情を認識することが大切です。そのためには、自分の心の声に耳を傾けて第一次感情を探る必要があります。

怒りにとらわれず第一次感情を解消する方法

そうはいっても、怒りが溢れている状態で第一次感情を冷静に探るのは困難でしょう。そこで、怒りが溢れたときには、まず第一次感情を探れる状態を作る必要があります。第一次感情が探れる状態を作ってから、自分の怒りを客観的に見て第一次感情が生まれている原因を解明し、それに対処することで怒りを根本的に解消することができます。

怒りを感じてから6秒間自分を抑える

怒りがもっとも強く感じるのは、最初の6秒間と言われています。これは、怒りを感じたときにアドレナリンが分泌され、それが6秒間かけて全身を巡るからです。ですから、最初の6秒間が最も怒りに支配されやすい時間と言われています。この6秒間を怒りに支配されてしまうと、人や物に当たってしまいやすく、パワハラな言動を取りやすくなります。

第一次感情を探るには、最初の6秒が過ぎるのを待つのがポイントです。6秒数えるのもいいですし、空を見る、目を閉じる、胸に手を当てて心拍を感じるなど、6秒の間感情を抑えられる方法を探しておくといいかもしれません。

怒りを紙に書き出してみる

怒りを感じているとき、自分の感情を客観的に見るのは非常に難しいとされています。「なぜ怒っているのか」「どうしたら怒りが治まるのか」といったことを、怒りながら把握できる人はなかなかいません。怒りをコントロールするためは、最初の6秒間に耐えた後で感情から理性に主導権を移す必要があります。

自分の怒りを客観的に見る方法としては、紙に書くのが有効と言われています。紙に書くときには、「Why」「Who」「What」「Where」「When」「How」の5W1Hを意識して、「何に怒っているのか」「なぜ怒っているのか」を明確にします。

例えば、紙に「○○の態度が憎たらしい」「ミスをするなんてありえない」と書いた場合には、「○○」がWhoに、「ミス」がWhatに当たります。こうすることで、自分が何に対して怒りを感じているかが明確になります。紙に書くことで、自分の怒りを客観的に見やすくなるのです。この過程で解明される怒りの対象が、第一次感情を生んでいる原因となります。

第一次感情を解消するために要求する

この原因を解消するには、怒りの対象に抱いている自分の第一次感情を特定する必要があります。例えば、「ミスをするなんてありえない」という怒りの第一次感情は「ミスが自分の責任になり、評価が下がるのが不安」という感情かもしれません。

もしそうだったとしたならば、この感情を解消するために、ミスをした部下に対して「君が大きなミスをすると、自分の評価も下がるのではないかと不安になるんだ。計画を行動する前に一度報連相をしてくれないだろうか。」と要求することができます。自分の第一次感情を解消するための要求をして、要求を相手が受け入れてくれたら怒りは解消されているでしょう。

パワハラを防止するために第一次感情の発生を防ぐ

怒りを客観的に見ることができれば、怒りの原因となっている第一次感情が見えてきます。ですから、「どうすればそもそも第一次感情を防ぐことができるか」「防ぐために自分に何ができるか」を考えることで怒りの発生を防ぐことができます。こうして第一次感情の発生が減れば、怒りの感情の発生も減り、もし怒りを感じたとしても、怒りに支配されて思わずパワハラ行動を取ってしまう可能性も減ります。怒りの感情をコントロール下に置けるようになるには、日ごろから第一次感情にフォーカスするのがポイントです。自分がネガティブな感情を抱くポイントを押さえておくことで、怒りを感じるタイミングを掴めるようになります。そうすれば、最初の6秒間に耐えることもいくらか容易になるでしょう。

まとめ

怒りという感情は、どんなに頑張ったとしても防止することができません。なぜなら、人の持つ器には必ず限界があり、第一次感情が起きるのを完全に防止することは不可能だからです。ですが、怒りという感情の捉え方を変えることはできます。怒りとは第一次感情が溜まりに溜まった結果、自分に余裕がなくなったことを教えてくれるものです。だとすれば、怒りを感じたときには「今の自分には余裕がない」と認識できますし、周りの人に「今の私には余裕がありません」と伝えることができます。そして、怒りが余裕のないサインであると気付いたならば、自分以外の人の怒りにも同じように向き合うこともできます。怒りを感じてイライラしている人に対して、同じように怒りで応じるのではなく、「相手が感じている第一次感情はなんだろうか」と配慮と思いやりを持って接することができるようになります。そうして怒りをコントロールし、相手の怒りともうまく付き合えるようになったとき、本当の意味でパワハラを防止することが可能になるでしょう。管理職の従業員を対象に、第一次感情によって怒りをコントロールする知識が学べる機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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