採用活動において数多くの学生と接触していく中で、いつの間にか選考基準が曖昧になってしまったり、関係者間で判断基準にズレが生じてしまったり……。そんなご相談をクライアントから受けることがございます。その結果、「採用すべき人材」ではなく、「なんとなくいい人材」が集まってしまい、組織に定着せず、ミスマッチが生じてしまっているのです。
その際常にお伝えしていることが、今回のテーマでもある『求める人物像を明確にする」ということです。しかしそうお伝えすると、「うちでも既にやってますよ」とお言葉を頂くことがほとんどなのですが、具体的にお話をお伺いすると、「・・・力」という言葉で表現するに留まっていることが多く、それゆえにミスマッチや判断基準のズレが起きてしまっているようです。では、どうすればいいか。そのポイントは、「自社で活躍している人材に共通している特徴」を、採用に関わるメンバー全員でより具体的に分析し、明文化していくプロセスを踏んでいるか、ということにあります。
「求める人物像」明確化の利点
「求める人物像」とは、自社で活躍できる人材のことです。そうした人材が共通して持っている特徴を分析・明文化し、関係者間で共有することで、選考基準がブレることがなくなり、「求める人材」かどうかを効率的・効果的に判断できるようになっていきます。また、学生に対して、例えば「笑顔が素敵ですね」や「主体性を持っていますね」など、基準に沿った承認を行えるようになるので、学生の動機づけが、より強化されていきます。学生としても、自分自身がその会社と合うかどうか判断しやすく、後々のミスマッチを防ぐことができるのです。
また、実は既存社員に対しても大きな効果を生み出します。「社員としての理想像」が明確になることで、自身の行動を自己評価できるようになり、あり方や行動の基準が高まっていくのです。その結果、採用をきっかけとした『水質改善』による組織変革が起きていきます。
明確化“3つのポイント”
このように、「求める人物像を明確にする」と、採用担当者のみならず、学生や既存社員に対しても良い効果がもたらされます。
では具体的に、「求める人物像」を明確にする際にポイントとすべき観点を、3つお伝えさせて頂きます。一つ目は【定着】です。自社に定着し、長期間パフォーマンスを発揮している人材は、どのような特徴をもっているでしょうか? 二つ目は【影響力】です。具体的な成果を創造し、組織に良い影響を与える人材には、どんな共通点があるでしょうか? そして最後が【成長】です。現状に満足することなく、挑戦している人材には、どんな特性があるでしょうか?
アチーブメントでもこの3つの観点に沿って、採用担当者だけでなく、各部署のマネジャー、そして役員と話し合って自社で活躍する人材に求められる要素を明確化し、「達成習慣がある」「自己承認を土台とした自己概念が培われている」「誠意のある熱意がある」「『人材教育』で社会を良くすることを目的としている」「愛嬌がある」という5点に集約しています。これらは、説明会の中で学生に提示し、この資質を持っているかどうかを学生自身に自己評価してもらいます。
採用において、採用担当以上の器の人間を採用することはできません。だからこそ、「求める人物像」は、一方的に学生に要求するものでなく、採用を行う私たち自身がまずは向き合わなければならないものでもあります。「求める人物像の明確化」が本当に意味することを捉えることで、選考基準が明確になるだけでなく、社内の「水質改善」までもが進んでいくのです。
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大学卒業後、大手就職情報会社にて、新人ながら営業社員1300名中1位の成績を収める。その後、ベンチャー企業に転職し、採用コンサルティング事業を立ち上げ、同社の基幹事業へと育てる。アチーブメント入社後は、コンサルタントとしてクライアントの採用活動成功を請負う傍ら、新入社員研修などの講師も務める。
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