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オンライン研修とは何か?Withコロナ時代の新しい人材育成手法

更新日: 2020年6月17日
オンライン研修とはWithコロナ時代の新たな人材育成手法として注目されているインターネットを介してリアルタイムに行う学習です。今回は、弊社が独自に行ったオンライン研修に関する調査と共に、オンライン研修とは何か、達成できる研修ゴールのレベルとその特徴をご紹介いたします。
目次:

Withコロナ時代の人材育成手法とは

 Withコロナ時代において、大きな変革を迎えているのが人材育成です。まず、Withコロナ時代にどのような人材育成方法が考えられるのか、各社の現状からみてみたいと思います。

 

Withコロナ時代の人材育成とは

 社会環境の大きな変化に伴い、自律的な人材の育成が益々求められています。ところが、必要性が高まっていく状況にも関わらず、人材育成の機会は減っているのが現状です。

 それは、「三密」

1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)
2.密集場所(多くの人が密集している)
3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)

 という三つの条件が同時に重なる場を避けましょう、という政府方針が大きく影響しています。

 弊社にて、新型コロナウイルスが2020年度の新人育成に与えた影響について、111社にアンケート調査を行ったところ、人材育成方法が、大きく変化したことが明らかになりました。

 

■2020年度の新人育成おいて、実施をしたこと(複数回答)

(2020年4月・有効回答数111社)

 

 第1位は「eラーニング」(49.5%)、第2位「オンライン研修(社内講師)」(47.7%)、第3位「集合研修(社内講師)」(45.9%)となっており、集合研修よりもインターネットを介した学びである「eラーニング」や「オンライン研修」の実施が多いというのが実態でした。

 「人材育成の王道といえば集合研修」という時代から、大きな変革が求められる時になってきているようです。

 

研修のゴールとは「現場での行動変容」

 そもそもなぜこれまで「集合研修」は数多く行われてきたのでしょうか。

 それを考えるにあたり、研修を実施する目的、ゴールを改めて確認してみたいと思います。ご存知の方も多いかと思いますが、カーク・パトリック氏の4段階評価モデルでは、研修効果は下記の4段階によって評価されるとしています。

 

 上記を参考にすると、研修実施のゴールは下記の4レベルで設定できます。

・レベル1:研修プログラムを受講して、受講者が満足すること
・レベル2:研修プログラムで教えた知識や技能を習得すること
・レベル3:現場に戻ったときに、研修プログラムでの学びを活かして受講生の行動が変わること
・レベル4:研修プログラムでの学びを活かして現場での成果が出ること

 明確に意識していた、いないに関わらず、上記の4つのいずれかをゴールとして研修を行われていたのではないでしょうか。これまで集合研修が数多く行われてきたのは、「レベル3やレベル4に繋がる効果の期待があったから」という1点に尽きると思います。その中でも特に、レベル3の「現場での行動変容」というゴールについては、研修において最も期待されることが多いゴールです。

 最近ではHRの世界にも費用対効果(ROI:Return of investment)という概念が持ち込まれるようになったことで、現場での何かしら具体的な変化をつくって行くことが求められる潮流になってきています。

 レベル4の達成には一定の時間を必要としますので、成果の先行指標となる「成果につながる行動」を特定し、研修プログラムでの学習を通じて、行動変容していくことが求められているのではないでしょうか。

 

レベル別Withコロナ時代の人材育成手法とは

 現在、「三密」を避けるという方針にのっとり、研修自体が中止や延期を余儀なくされています。

 では、上記のレベルを参考に、Withコロナ時代の人材育成手法について整理をしてみましょう。

・レベル1:反応 レベル1を目指して行われる研修はそもそもあまり多くはありませんが、レベル1をゴールとするならば、この時期に限って言えば、ガス抜き的な場を設定するのがよいのではないでしょうか。あるいは思い切って研修開催自体を中止にして、福利厚生や手当の充実などに費用を回すのも一つの手かもしれません。人材育成の成果を期待するならば、自己啓発支援という形で自ら受けたい研修を受講してよいという制度を作るなどをおすすめいたします。

・レベル2:学習 学習レベル2を目指していくための代替手段の一つはeラーニングです。eラーニングには、いつでも受講できるという利便性と、何度も受講できるという反復性というメリットがあり、知識技能の習得というゴールに対しての相性は良いといえるでしょう。日本でも2000年代に入ってからeラーニングは普及しており、既に一般的な選択肢の一つにもなっているのではないでしょうか。PC環境などがない場合は、通信教育や課題図書の配布などを行い、オフラインで課題を出しながら育成をしていくということも一つの選択肢であると思います。
eラーニングに適した学習として、コンプライアンス、ビジネス英語、IT関連の資格取得などのナレッジの学習があります。

・レベル3:行動 行動レベル3を目指していくための代替手段の一つはOJTですが、そもそもOJTでは賄いきれない内容のものをOff-JTとして研修を実施しているケースが多いため、現場に過度な負担を与えてしまい、OJTを担当する現場のトレーナーの負荷により形骸化してしまうリスクもあります。更に、在宅勤務ではOJTが難しいということもあります。
 「コロナ疲れ」をしているのは部下も上司も同じですので、負荷のかけ過ぎは別の問題につながりかねません。そこで、一つの選択肢として急速に注目を集めているのが、「オンライン研修」です。研修をオンラインで行うことで、三密を避けながら学習ができる、という大きなメリットがあり、Withコロナ時代の大きな潮流となって行くことが考えらえます。

注目されるオンライン研修とは

 では、注目を集める「オンライン研修」とはどういったものなのでしょうか?改めて定義化しておきたいと思います。一定の認知度がありこれまでも様々な企業で導入されてきた「eラーニング」に対して、「オンライン研修」については急激に広まってきたこともあり、定義自体も曖昧です。

 ここで注意しなければならないことは、オンライン研修とは、「講義のオンライン配信」とは異なるものである、ということです。講義のオンライン配信とは、講師がいてホワイトボードがあって、という通常のリアル研修と同じ環境の中で行われている講義風景を中継するというものです。

 コロナの影響で三密を避けるためにリアル研修ができなくなり、その代替手段としてオンライン研修が台頭してきたという背景から、「リアル研修 ではできないことを排除した講義をオンライン配信する」という形式をイメージされる方が多いようです。

 実際、アチーブメントHRソリューションズが独自に調査を行った「オンライン研修を行う上で不安だと思うことはどのようなことですか?」という問いに対する回答は下記の通りとなっています。

 

■オンライン研修の実施において不安に思うこと(複数回答)

 結果を見ると、「受講生同士の対話が減少する」「一方通行の研修になってしまう」がともに58.6%で1位となっています。

 オンライン研修とは対話のない一方通行のものというイメージを持っていらっしゃる方が多く、前述した「講義のオンライン配信」をイメージしていらっしゃることがその要因なのではないかと思います。

 では、オンライン研修が、リアル研修のオンライン配信ではないとするならば、オンライン研修とはいったいどのようなものなのでしょうか。

  弊社では、オンライン研修を「研修実施のゴールに沿って、オンライン環境で受講できるように設計/再設計された研修」と定義をしています。研修は「マネジメントができるようになってほしい」「リーダーとしての意識を醸成したい」など必ず研修実施のゴールがあり、そのゴールを達成するためにプログラムを設計して行われると考えています。

 オンライン研修だからゴールがないというわけではなく、オンライン研修でも必ずその研修のゴールがあります。その研修のゴールを達成するために、オンラインという環境の中で可能な学習方法を組み合わせて、設計していくものがオンライン研修である、と弊社では考えています。

 

オンライン研修の特徴とは

 では、オンライン研修が行われるのは、一体どのような環境なのでしょうか。そして、その環境によって可能な学習方法とはどのようなものなので、逆にどのようなものは向いていないのでしょうか。以下に整理をしてみました。

■オンライン研修の特徴

 次に、上記3つをそれぞれ深堀してみたいと思います。

 

意見やアイデアの収集

 オンライン研修の方がリアル環境より向いていることとして、まず挙げられるのが受講生からの意見やアイデア収集です。リアル環境で行う研修では全体で意見を交換しようとすると一人ずつしか発言ができません。オンライン環境の研修ではテキストでチャットができる機能などを使って、同時に意見やアイデアを共有できるため、プロセス・ロスが発生しないことが理由です。

 特にアイデアの創出については、大阪大学の研究でも、対面での会議よりも、文字ベースでの会議の方が出されるアイデアの数が多いという研究結果もあり、リアル環境よりもオンライン研修の方が向いていると言えそうです。

 

実技の模範提示

 実技の模範提示も、リアル環境よりもオンライン研修の方が向いている場合があります。リアル研修ですと、受講生の座わる席の位置によって細かい部分は見えなくなってしまいがちですが、オンライン研修だと、カメラの位置を変えたり、ズームするなどによって、細かい部分まで見せることが可能です。

 

実技の模範提示

 アクションプランなど事後課題へのつなぎは、PCが目の前にある環境の中で受講するのがオンライン研修ですので、気付いたことや実践しておこうと思ったことを随時デジタルデータで記録することができます。事後課題を研修冒頭に予告をしておいて、随時メモをしてもらいながら受講をしてもらうことで、研修が終わった段階で事後課題に必要な材料がそろっているという状態も作りやすくなります。また、同じように、アンケートもすぐに回答できるため、研修を企画する側としては、アンケート集計も楽になるでしょう。

 研修内容の記録という観点では、Web会議システムにもよりますが、Zoomのレコーディング機能を使えば、研修映像の記録に限らず、チャットの発言内容も文字データとして記録することができます。受講生の発言を一つひとつ文字に起こすのは手間ですから、ここはオンライン環境の優位性が活きる部分であると思います。また、リアル環境の研修では、受講生の受講の様子も後ろ姿など一部しか見えないことが多いですが、オンライン研修だと受講生一人ひとりの受講の様子も見ることができます。

 

オンライン研修でも「工夫をすればできること」とは

 リアル環境で行われる研修の基本機能は、オンライン研修でも工夫次第で、実現できると思います。例えば以下のようなものがあります。

■工夫次第で実施できる基本機能

・講師による講義

・課題への取り組み

・課題に対するグループ討議

・受講生同士の意見交換&アイデア共有

など

 最近はネットワークの整備や、配信システムの開発が進んできたこともあり、タイムラグもほぼなく、ストレスなく受講できる環境が整ってきています。

 以下に、特にオンライン環境では難しいと思われがちな基本機能の工夫をご紹介したいと思います。

 

受講生同士でのディスカッション

 課題に対するグループ討議、受講生同士の意見交換&アイデア共有の部分については、件のアンケートで「受講生同士の対話が減ってしまう」という不安の声が多くみられましたが、そこがオンライン研修と「研修講義のオンライン配信」の最も異なる部分です。

 オンライン環境でも、Web会議システムの機能を活用することで受講者同士の意見交換をグループに分かれて行うことができます。例えばWeb会議システムのZoomのブレイクアウトルームという機能を活用すれば、参加者を小グループに分けてディスカッションやワークをすることができます。その他のWeb会議システムでも工夫をすることで小グループに分けたグループワークは可能ですので、リアル環境とほぼ同等にオンライン研修を実施できると思います。

 

受講生同士のネットワークづくり

 受講生同士のネットワークづくりという点も工夫をすることで実現可能です。研修で様々な意見を交換をすることがグループワークを実施することでネットワークがつくれるということもありますし、研修中でも意図的にネットワークづくりの時間を設けることで実現ができます。特にネットワークをつくっていく上では、本音の開示や感情の交流が重要となるため、弊社では「自粛中の今だからこそ送りたい皆へのエール」など、受講生同士で激励のメッセージを書き込んでもらって、読み上げることによって、受講生同士のネットワークづくりのきっかけをつくるなどの工夫をしています。最近では「Zoom飲み」なども広まってきていますので、オンライン研修終わりに懇親会を行うということも可能ではないでしょうか。

 

オンライン研修では「しにくいこと」とは

 最後にオンライン研修では「しにくいこと」をご紹介したいと思います。

 

テンポのあるやりとり

 オンライン研修では「しにくいこと」の代表格は「テンポのあるやりとり」です。オンライン環境でのコミュニケーションは同期性が低く、受講生に発言を促す時も「ミュート解除してください」などと声掛けをする必要があったりと、どうしてもテンポのあるやりとりはしにくいところがあります。

 

物理的・身体的な手法での学習

 物理的なモノを使った学習や、身体的な実技の学習もオンライン研修では不向きです。物理的なモノを使った学習や、身体的な実技の学習は講師による模範提示までは可能なのですが、受講生ができているかをチェックするためにはどうしても画面に映り切らない部分が出てしまい不向きです。同様の理由で受講生個人のアセスメントもオンライン環境では向きません。文章ベースでのアセスメントであれば問題ありませんが、コミュニケーションベースのアセスメントは、非言語的手がかりに乏しいため、正確性に欠けてしまいがちです。

 

受講者同士の近状報告

 研修前後に行う受講生同士の近況報告は、リアル環境ではよくみられる光景だと思いますが、オンライン環境ではほとんど見られない活動です。受講生同士の繋がりをつくったりナレッジマネジメントに有効に機能している場合がありますので、研修中に近況報告の時間を設けたり、研修とは別の機会を用意するなど工夫をする必要があると思います。

 

まとめ

 以上、Withコロナ時代の人材育成について考えてきました。改めて強調をしたいのは、経済活動を回すためには人材育成は改めて重要であり、Withコロナ時代にはリアル研修とは異なる方法を模索していく必要があるということです。オンライン研修は様々な可能性を秘めたものだと思いますし、これを機に一気に普及していくものと思われます。

 しかし、その際に忘れてはならないことは、研修のゴールです。リアル研修が実施できないからオンライン研修とすぐに飛びつくのではなく、研修のゴールを実現するために「オンライン研修」を新たにつくっていく姿勢が重要ではないでしょうか。

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